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かつて潔く閉じた手紙は風を巡り
伏せられていた暦が息吹きはじめている

朽ちた扉を貫く光は
草の海を素足で歩く確かさで
白紙のページに文字を刻みはじめ
陽炎が去った午後に、わたし ....
擦り切れている背表紙を
後生大事に持ち歩く
付箋に躓くことを繰り返してしまった

左手には一束のシャレード
紐解いている間に
夏の森は
微笑や涙やトキメキを頬張って
色彩を奏ではじめて ....
ある日
贈り物をしようと出掛けた
セーターを買いに行き
サイズを聞かれた
わたしは答えられない

靴屋に行き
やはりサイズを聞かれ
答えられない

ネクタイを買いに行って
好みの ....
硝子細工の
幾つかの重なりは
小さな風の溜まり場をくるくるとかき混ぜて扉を揺らし
丘に続く小道を夢見るのです

夏が降り
気まぐれな模様を織りなして
あのひとの指に留まった雨粒が私の
 ....
中心へ向って途絶えない無数の
緑の中に駈け寄って

眼の後ろで呼ばれた光は
しだいに
向かい合わせた最後の場所で
塵に変わりゆく扉に刻まれても
痛みのオウトツを識らない

薄まら ....
エスカルラータさんの藤丘 香子さんおすすめリスト(5)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
日付を打たない手紙- 藤丘 香 ...自由詩63+*07-9-1
夏の鍵盤- 藤丘 香 ...自由詩42*07-4-30
春にうまれたあなたのこと- 藤丘 香 ...自由詩41*07-4-10
或る夏の理由_「風の通り道」- 藤丘 香 ...自由詩33*05-5-21
楡と扉- 藤丘 香 ...自由詩30*05-5-16

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