2008年1月某日
雪模様の曇り空
LARKの箱みたいな空の下
いつもの道を逆方向へ曲がり
果てしなく果てしなく進む その先、海

道路標識はややこしくっていけない
→(こっち)海、とか ....
一円の雪が降った朝
十円のゴミを収集する車が
難しい顔をして通り過ぎる
百二十円のココアを
二千九百円の手袋で包み
三円分のリップクリームを塗った唇に持っていきながら
それを見つめていた
 ....
寄りかかるって結構難しいことだと思う
楽ちんなようで実は不安定で
揺れる電車の中とか
車の後部座席とかで眠るときは
頭をごちんごちん言わせながら
壁に寄りかかって眠る
寄りかからないで眠る ....
無人駅の廃れたホームに立ち
缶コーラの
残り数滴を啜り
サヨナラのハンカチがたくさん舞うような
一月の空のメランコリーを見ていた

時間は午後
暫定的に午後
そうと知ってい ....
一、たらちね

ふるさとの町は
訪れるたびに輪郭を変えてゆく
けれど
夕暮れどきに帰りつけば
あいも変わらぬ暖かさで
湯気の向うから微笑みをくれる
あの人のおかえり

ただいま、と ....
そして俺たちの間には再び沈黙が訪れた。それは一見いままでの沈黙となんら変わりの無い取り付く島も無い断絶のように見えたが実際のところそれよりもずっとたちが悪くなっていた。腐臭はほんの一時でも .... 感情を上手く話そうとして、何度も口を開けては閉ざした
感情を上手く捉えようとしていたが、目の中を覗き込むほどの
信頼ひとつそこにはあるわけではなく
不安の色は青空を埋め尽くす雨雲みた ....
町から街へ
子供から大人へ

僕の小さな足が
大きな坂道を下る

池の周りを囲う家並み
そこら中で
夕食の匂いがして―

母さんも料理を始める
僕は父さんの為に
ビールのグラス ....
凍えた指先にへばりつく意地だ
壊れた玩具に染み込んだ過去だ
廃れた音楽に閉じ込められた未来だ
硬く閉じた唇の中で四散した言葉だ
数えた死体の数は歳の分だけ
逃した獲物の大きさは身の丈 ....
浸された水は
つめたく
ねがえりもできないほどに
なぜか凍みたまま
あの人ごとをさらって
いって

かなしい
のふちにいるあの人
たしかにいかされ、芽生え
一つの
さむさの中にい ....
歩む側から忘却に放り込まれるような日
空に向かって突き上がる厳しい風を見たような気がして
傷つくはずの雲を探した、長いこと、眼を凝らして
昨日、少しだけ降った雨の後
呑気な冬が重い腰を ....
時間の狭間は裂けながら君を飲み込もうとしている、逃れる、逃れないじゃなく
それが運命というものだとしたら君はどうする?古い雑誌を読んでいた―忘れたものを取り戻そうとするみたいに
野良犬 ....
飲み干したカップの中、いつのまにか
紛れ込んだ蟻のリングワンデルング
嗅ぎ回り、手を伸ばし、無機質だけどリアルに
生を体現していたその稚拙さ
単純になりたいと思った、刹那だけ
求 ....
美しかった言葉
怪物の中に
悲しみをまさぐる怪物がいる
彼方までの距離を測ると
すべて等しく平行で
いつまでも
いつまでも
途方のないまま
そんな父と母は出会った




 ....
眠りが浅くて
何度も同じ夢を見る
形にならない世界
言葉にならない世界の夢


破れたシャツばかり身にまとって
午前零時には目を覚ます
冷たさに曇った窓を見て
カーテンの ....
うつろな夜に足元をもつれさせながら踊る
おまえのことを不器用だとは思いたくはない
月明かりは冷たく、病のように青白く
半身起こしたベッドで夢魔の尻尾を逃した


うつろな夜に ....
? 冷雨


踏みしめるたびに僕の右足の靴底が
ひゃあひゃあ
鳴っている


今日はやけに
ひゃあひゃあ
鳴っている




*****


? その息吹を ....
瞳を閉じて
静かにしていなよ
いまのおまえには
むずかしいことが多過ぎる
瞳を閉じて
自分が呼吸している事を確かめるんだ
空気が鼻から来て
また出て行くのをたしかに感じるんだ ....
薄暗がりにぼんやりと浮かぶお前のシルエット
 振り切れそうなフーリガンが俺の中で騒ぎ出す、堤防は決壊
濁流の中に投げ出された思春期の残り香がもがきながら見えなくなっていく

 あらしの ....
その夜に刻印は無い、とくにこれといって
しんとした冷たい、しんとした冷たい―隙間風が入り込むだけ
綿毛のように逃げていった古い名前と
綿ぼこりのように積みあがるいらぬ記憶
街路を通 ....
戻れない時間に眼をこらして
お前は明日への抜け道を探そうとしてる
新しい場所へ踏み出す勇気が無いんだろう
明日がいつかの焼き直しみたいになっちまうのは
紛れも無いお前自身のせいさ
 ....
「 北大路くーん、
  AからZまで 全部のアルファベットの字 やってくれって 言ってたでしょー 」


昨日は
"ノー残業デー"でしたので、T字(定時)で帰らせて ....
君は凄く不器用で
僕の手を借りなきゃ左手の爪も上手く切れないような娘だった
だけど不思議なくらいこころに届く微笑みを所有していて
触れると指先からラベンダーの香りが流れ込むような娘だ ....
「女子アナと結婚したい」ぬかすから

 寝てる背中に カラシ塗り塗り
社会を うまく泳ぐコツは 凡人になりきること 教会の裏庭で
もう使われていない
左側面に大きな穴の開いた焼却炉にもたれて彼女と愛し合った
それをしたいと言ったのは彼女で
僕らがもう少しで別れ話をするだろうことは目に見えていた
 ....
派手に着飾って、香水を叩いて
俺を迎え入れる準備をするんだ
不手際を見つけたら二度とは訪ねないぜ
完璧なスタイルで物事を始めるんだ

街路には迷子が散乱してる
年端もいかない母 ....
夕焼けが雨雲に隠れて
使った後の絵具バケツみたいな色になる
マクドナルドの店先で備え付けの灰皿に吸殻を押し付けながら
やがて来るだろう雨の気配に唇をゆがめている
「オレンジの缶詰を買ってくる」 ....
いま、わたしは玄関の隅のしおれたパキラの、枯れた葉を一つ手に持って
騒々しく消えていった大切なひとつの
約束のことをまざまざと思い出していた

「キンモクセイが香る季節などに嘘をつ ....
シューズボックスの中で朽ち果てていく過去は
いくら叫んでももう遠く届かない場所
あのころおまえが一番好きだった
動脈を流れる血のような紅いヒール

汚れた爪先にくちづけをして
 ....
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