すべてのおすすめ
ことばを見つめているとそれだけで、わたしは誘拐されてしまう、こともある。誘拐は融解で、ことばの意味はどろりと解け出して、わたしの内に流れ込んでくる。眼といわず鼻といわ ....
人魚に本を読んで聞かせる
潜水する
ゴリラの頭にまたがった子ども
バランスをとって歩く細い船のヘリ
少女に帽子をかぶせる
少女のような女の人は空を泳ぐ魚をスプーンでペロリ ....
狼
それにしても狼
曠野を駆ける全能の捕食者
我々の祖先たる狼
その誇り高き彼らが
牙も毛皮も持たない猿のなり損ない共と
なに故友好関係を築いたのか
俺にとっての永遠の謎の一つ
信じた ....
午前二時ほどになると
私は解放を許され
意の赴くままに翔べるのです
見慣れた街の尾根をちぎり
おもむろに景色は擦られて
ノスタルジツクな小旅行
海の見える場所まで退屈しませ ....
静かなサーカスから 流星を追い越して
痛みの隙間を 夜明けが埋める
眠れぬワインで嘴濡らす
ジェラシーに踊る海燕
群青の恋を抜け
空の終わりへ 羽ばたく
傷だらけの翼をいたわりなが ....
いつかいつかってそればかりの日々だけど
いつかももしももここへは来やしないよ
お金があって時間があって棲みきれない広い家があって
死ぬまでに味わいきれないと思えるほどにある食べ物に飲み物 ....
見ないでくれ、と
言わんばかりの波の光に
同じ波長を持って感嘆した
素晴らしい嘔吐だ!
(あと、どのくらい乗るのだろうか)
デジタル時計が点滅する
60のテンポ、生活のリズム
落 ....
がりりと土壁を引っかいた
鎌の刃先の
あの放物線が消せない
おまえの山を見たい
祖父は
赤土をこねて
小さな山をつくった
夏へと秋へと
ゆらゆらと山をのぼる
黄蝶のよ ....
私は今 何がしたいのだろう
教えてくれと言っても
俺の周りにそんな先生いるわけでもない
ただ 想像の世界でしかない夢を見ているだけ
私は 何なのだろう
あなたは教えてくれ ....
探さないで下さい、と
誰かに投げる
SOS
ありふれた
白地に赤の標識を
誰も見上げないように
小さな
黒い雲が
広がる空を犯していく
それが
憎しみだったり
うらやみだったり
街は
とりどりの高さと
色だ
俯瞰するとそこは結局
人という生き物が
ひしめいている蟻塚で
....
足元にワインの空ビンが転がる
一滴残らず溢してしまった
一滴残らずひからびてしまった
今となってはただの碧いビン
こうなる前に挫ける努力が必要で
あなたを失ってから気付いた
努力し ....
1986 その映写機は生まれ
歌詞は書き留めずに吹き流すのがいいと
古い頃を見返すように鳴るアナウンス
今夜の一本はロンドンの人の行き交う地下鉄を
セピア色調にし ....
080306
みんな私が悪いのです
テレビのスイッチはリモコンです
タイマーも付いてます
雨なんか降りません
誰が一緒に行くと言いました
責任は ....
家に入ると
音をたてて雨が
降って来た日
僕は心を失くし
愛情の伴わない
告白をした
東京6時41分
金沢6時51分
大阪6時51分
広島7時2分
那覇7時6分
深夜のタ ....
離れていました
ハナタレ小僧の中に
放たれていました
自由を巡る戦い
つまずく刃 出っ歯
身長は斜め45度のまま硬直し
伸びる身体が坂道を表現しました
坂道 そこに開け放たれた窓 銃 ....
春だ!
春は黄砂だ!
黄砂は中国からの贈り物だ!
目と喉に来る砂漠のロマンだ!
春だ!
春は春一番だ!
吹きすさぶ強風だ!
短いスカートはいて出ろ!
風に浮く奴だ!
春だ!
....
おまえはあの日で出来ていて
爪の先には昨日の日付が
小さな黒字で書かれてる
おまえ、おまえよ
ぱちんと弾いた爪の
かけたものの飛んだ先は
明日ではないのだ
おまえ、おまえよ
体 ....
08/03/02
平原児といわれた男
カーボーイ稼業に精を出し
酒も余り飲まず
無駄遣いしない律儀な男
給料を貯めて牧場経営に乗り出して
その地方 ....
類人猿の
波打ち際で
太陽は沈まない
沈まない太陽の
その向こうに
地平線はあった
もう帰る家が
ありません
人が多いと感じました。
けれど、その内の一人でした。
子供がうざいと思いました。
けれど、僕も子供でした。
どこかへ行きたいと思いました。
みんなそうなのかも、知れません。
....
創書日和「月」 往還
月に巨大な鏡を置いて望遠鏡で覗いてみた
レンズの視界のなかで望遠鏡を覗きながら手をふるのは
自分がするよりも少し遅れて手をふる
2.56秒前の私
無数の少しずつ ....
「 もしもし 」
犯人「 おまえのとこの息子は預かった。返して欲しくば2000万円用意しろ! 」
{引用=
(イタズラ電話か?! もしかしたら誰かに試されてるのか? 誘拐ネタか とりあえず ....
十代も終焉に近づき
周囲は透明感を持つ
錆びた滑り台で
僕は雲と交信している
前線は今どの辺りだい?
犬と会話していた
緑の紐持つベージュのコート
公園が散歩ルートの
君に一目惚れ ....
私という人型の中に何が詰まっているのかわからない
何もかもを吐き出してすっきりしてしまいたい衝動と
がらんどうの空虚がもたらす耐え難い寂しさを
背反して同時に持つ
もしかした ....
なまなましいな
わたしはたべることのきょむにつかれた
そうぞうしいな きみは
まんぞくそうな顔であるいている
まるでみにくいものたちのパレード
よ ....
誰かあたしを麻酔薬で眠らせて下さい。
永遠に目覚めなくても良い様に。
誰か致死量の毒を盛って下さい。
もう誰の目にも触れなくて良くなる様に。
キョウチクトウ、キョウチクトウ ....
つまり何を信じていたとして
終わることしか選択肢は、僕らにはない
確率では
コインのその、裏と表のフィフティ:フィフティでは
等式の、左辺と右辺のイコールでは
だから何を疑っていたとして ....
コートジボアールばカカオ農場で奴隷ん子どん
鞭打たーて作らーたチョコラータば色事に使いなすな
とごえとるばい ほんなこつ不埒ったい
だけん なんさま ぬしにゃうちの実家ば長崎で取ーた煮干しで ....
顕微鏡の中で人工のひかりをうけて
雪片が光る
結晶が無言でのびてゆくのを
ぼくは視ていた
浅くつもった雪の中を
きみを迎えにゆく
ローカル線の駅は雪につつまれ
こどもの夢のように光っ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13