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取っ手のない扉を前に、
僕らは立ち止まった。
誰かは、そっぽを向いて。
誰かは、泣き始めてしまって。
誰かは、殴り始めた。
殴り続けている。
僕はそれらを見て、何もしていない。 ....
まむ
ぎゃべり
まむ
ぎゃ
べげ
べ
まぎゃゆろ。
しゃくゆつから
さやか
しゃくつゅ
や かくら、
しゃにくろさむ
しゃつかゆせ
ほのせ
む ....
窓を閉め忘れて出かけてしまって
冷え切った暗い部屋は他人の所有物のよう
冷たくなるというのは きっとそういうこと
買い物袋を床に投げ出す
床に散らかった本やCDやお菓子の袋や洗濯物を極力避 ....
羽の音が、する
飛び立った男の子と
手を引かれながら
つたなく飛ぶ
女の子のすがた
透けるように薄い
ぺらぺらの羽は
あまりにも、心許ないから
....
お父さん様とお母さん様の全力暴力こみの命令には逆らえないいい子を演じていた僕でも、一時期、小学校には行きたくなかったねえ。
ソコにあるのは胸が苦しくなるよーないじめばっかだったからさあ。
あんなす ....
近くの。通勤の途中にラブホテルが3軒、軒を並べてるんだけど。
まわりがふつうの住宅街なのでおかしな感じだけど、もとはといえばこのあたり、細い路地の入り組んだ下町だったからね。もともとからあるんだ ....
汗と若葉、土地の震え、生々しい野原
肢体を投げ出し翠緑に溶け合う
ねばりつく湿地、からまる草叢
瑞々しい野性の緊縛、ほのかな痛みの中で
焼ける空を肺に入れて
きらめく吐息、静かな放熱
....
魚の眼は
青いモノしか通さない
体の奥に届く
酸素の色を知らない
かわいそうだと
言ってくれると
こころが安らぐ
ここはどこの海ですか。
寂しさばかりが
何か ....
ゴミ集積所に、おにぎりのかけら
落ちていたごちそう。
いちばん最初にすずめが見つけた。
2、3羽やってきて、米粒をひろう。
そこに、あらたな来訪者。
1羽のカラス。おにぎりの近くに降り立 ....
あるべき場所に
それは置かれている
拒絶ではない
豊穣のはての
姿なのだ
そっと手をあてれば
年月のぬくもりが
在る。
ハートの女王は節操ないふしだらなおんな、
スペイドのスフィンクスは真実の口、
浮気のクローバーの若い股を探り、
ダイヤの破片でその首が飛ぶ
とらんぷいゆ、パントマイム、揺れるサーカス、泣くピエ ....
幻のビル群が立ち並ぶ
都会の空の彼方から
沈む夕陽の声がする
( わたしはこの国を、
お前に与えよう・・・ )
群衆に紛れた彼は
空虚に覆われた日々から
脱出する ....
かってなおねがいですが
あんまりとおいと
さみしいので
あんまりちかいと
せわしないので
どうぞそのへんで
うろうろしててください
かってなおねがいですが
ぼくはひ ....
ミズキの花の咲くころとなりました。
山はすっかり初夏の様相で
合間合間に咲く藤が
いかにも淡く
涼しげです。
山がようやく
山らしくなる
今日
こうして筆をとりましたのは
以前あ ....
昼すぎにお母さんから「何が食べたい?」と聞かれて「オムライスが食べたい」と答えたから、僕は今日の晩ご飯はオムライスじゃないかなと思う。
.
雨を遮る為に差していた傘を
あなたに突き刺した
雨水と血液が混ざって
傘の先端から私の手元に届く
傘をまた開こうとしても
あなたの骨にぶつかって開けない
私の両手は真っ赤
頭か ....
僕の姉さんはすぬかんと謂う。
僕にとってもきびしい姉さんだ。
まず御風呂に入るときは
てを先に洗えというんだ。
そのくせあがったときは
つめを切ったのかは必ずチェックする。
僕がアイスクリ ....
ネオン街で同僚と飲んで
赤い顔ではしゃいだ夜遊びの後
やけに寂しい帰り道
終電待ちのホームに並び
線路越しに見える
広告募集中の真白な看板が
自分のこころのように見える
....
(土のなかで、言葉をもたずひっそりと暮らし、日の目をみるのを恐れたまま、やがてねむりに就く生きもの)
今朝は、
泥酔したまま眠りこけた昨夜の愚態を、必死にまたは朦朧と、思い出そうとしていた ....
百年かけて生み出した感情を
書き留めた産声
朝日が煌々と昇ると
夜の影は隠れんぼしてしまった
あさ、
柔らかな呼吸で暴き出した
感動は、
君のひとみに光を与えるのに
少しで ....
あったかくて親密な壁との対話に
身体の内部が地震になるほど
たましいがふるえすぎて沈んでいたんだ
そろそろ何か、雌豹なムードを求めたくて
つっかけ履きで捨鉢気分で
買い出しっぽく突然外へ抜け ....
小学生の頃、父と釣りに行った
昼過ぎから夕方まで
魚は一匹も釣れなかった
はら減ったべ?
タバコを吸いながら父は
僕にそう聞いた
きゅうにおなかが空いてきて
おもわず
....
コンパの語源は
カンパニー
蛙の肌を思い浮かべる
ヌメヌメかザラザラか
隣の奴が話してる
笑いながら話してる
今日は大学へ行った
熊には会わなかった
猿と雉だと桃太郎
....
長い間待ち望んでいた瞬間が訪れる
受付の看護士さんに案内され
病院らしい匂いのする待合室の長椅子に
わたしはひとりで腰掛けていた
手術自体はあっと言う間ですから
こころにメスを入れる ....
澄んだ湖に ぽいっ と
石が投げ入れられた
綺麗な水面が崩れるのを
少し切ない気持ちで
見ている
乱れた湖水をしずめるのに
この手のひらは
水になれぬ野蛮
かき回すことなら
....
残像として揺れるふたりの影が
この揺らぎを生む要因であることを感じ始めていた
奇数月に心浮く理由は
これから終わりに向かうから
ありもしない現実を思い描いていた
黄緑の鎌が花弁の上 ....
にせものの葡萄のにおいがする
光のすきまを
さらに小さな光がとおる
貨物列車 埃の花
すぎる震え すぎる震え
高く遠く
直ぐに昇る鳥
真昼の星
青を青に打ちつけ ....
白んだ月が ビルの谷間へふわりと浮いていて
空と一緒に白んだのだろうかと 埒も無い空想を浮かべて
一度も君を抱きしめられなかった
思い出を
缶コーヒーで追悼する
夕日を好もしいと思う
....
なにも書くことは ないだろ?
そのノートに
立て膝なんかついて つらいんじゃない
そのガタイじゃ いくら 鍛えてるからって
膝は一度ヤッチャッタら 一生のオツキアイだぜ
まあ 立ちなって ....
夫に逃げられちゃいましたとかって
シングルマザーがベイビーを抱えながら詩の朗読をしている日曜日
ベイビー、アイラブユー
ぼくと君は急激に仲良くなった
コンテンツが共有されているのだ
透明 ....
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