すべてのおすすめ
白んだ月が ビルの谷間へふわりと浮いていて
空と一緒に白んだのだろうかと 埒も無い空想を浮かべて
一度も君を抱きしめられなかった
思い出を
缶コーヒーで追悼する
夕日を好もしいと思う
....
兎だった頃に住んでいた 詩の檻を残らず焼き尽くして
密度の無い灰と残響で鳴く骸を抱えて 地平を見据える
先にぼやけて見えるのは 何だっけか 名詞も忘れてしまったようだ
カフェラテを飲み ....
悪魔さえも棄てた地を目指しては歩く 一つ目の兎
月の代わりに道化師の髑髏を抱え 赤茶けた朽木を踏みつける
こうも詭弁に塗れた世界では 死に追いつかれないだけでも
目の奥が燃える
サーカス ....
窓を覗くはにかみ屋の風
夕涼みの教室で戯れる 置いてきぼりの陰法師
季節外れのうぐいすの声を聞きながら
紡いだ詩をただ砂場に埋めていく
鳴らない鐘に聞き惚れて 翼を運ぶことさえ止めてしまった
....