しずかな曲線を描いて
落ちていく
最後の一日が
地平線のあたりで
手を握り合う
もう二度と
離れてしまわないように
やがて朝がくる
信じるよりもあきらかに
疑うよりもたやす ....
祈りは
誰かにむけるのではなく
私の中に沈んでいくだけだった
地下鉄は
風景なんて
みえないんだ
しらなかったよね
電車に乗って
どこまでも
見渡す限り
風景が ....
水族館のデンキウナギが
発電しているのは
何のため
自分を感電死させて
遠いところで待つ
恋人に会うため
遠いところで待つ
恋人が発電しているのは
何のため
旦那さん ....
路上の水溜まりに
人が落ちていく
見上げると
空を魚が泳いでいる
見えていなかった
世界の本質が
突然そのように
あらわれることもあった
今私は魚の餌になっている
愛する人が何も ....
雲は
空のことが好きなのだ
ある晴れた日
どこからともなく
雲はやってきて
やがて空のすべてを覆いつくし
ひとりじめにした
そして泣いた
泣いて泣いて
涙がかれたら
雲はあ ....
彼は彼の心の中の都市で
素敵な歌を歌う
僕は時々その歌を聴きに
都市に行く
そこで彼は誰からも理解され
誰のことも理解している
眩しい太陽
美しい恋人
すべての人々を魅了し
すべて ....
天使はやさしすぎたので
天国に連れて行かれました
その意味がわからない
一匹の猫は
黒い海を見ながら考えていました
お母さんのことを考えていました
お母さんは天使のようなおひとだった
そ ....
わたしは夜を求める
濃紺の空と赤い星を求める
きみは夜を求める
藍の雲としろい月色を求める
ふたりが求めた夜の中で
風見鶏は廻ってゆく
流れ着く先を知らず
また
愛情、の何かも ....
常に 眼前に 執着せよ
垢抜けた 子の如く
お前の 裏切りに 寛容であるな
月曜 太陽の 白痴ぶりが 子らを
合掌する!
ピアノ線が 割れている 病んでいる
肺病 ベトナム兵士からの ....
都会に住みはじめ一番変わったのは
靴が汚れなくなったこと
母に駅まで長靴持ってきてと頼んだのは
実家に帰った際の笑い話しとなったし
でこぼこ道に足をとられることもなくなった
色とりどりに ....
何色もの絵筆を洗った様な
川の底に積み重なる
限り無い顕示欲
夜更けの鼓膜を這う
暴かれる為に在る嘘の
衰弱した響き
愛する人と見知らぬ人の境目を
見失わせる極日常的な失意
....
二本目に火をつけても咽せなくなった。
屋上は広い部屋に過ぎず、
大きく見える飛行機も壁紙のようなものだ。
カッターシャツが二枚、
影を落としている。
(羽虫がまったく入ってこない。
四 ....
ずっと
背伸びをしていよう
10センチだけ高くなる
視界に
感慨があるうちはそうして
ただ一列に並べられた
交差点は
信号機は
佇んだ
その左折標識を
そこは明るい
そこ ....
ついさっきそこにいたのに
今ここにいた
瞬きの瞬間
別の世界に紛れ込んでしまう気がして
ジッと目を開け我慢した
三分と持たなかったが
おかげで俺はここにいる
空は ....
小道でつぶれた猫をみて
泣いて弔う ふりを、した。
人々は、まるで聖女でも見るかのような顔で空を仰ぎ見たけれど
私はそれを嘲笑した。
ひしゃげた命を踏みつけて、私は鏡を得たので ....
僕が詩を書く理由は
ナルシズムの披露でも
ストレスの発散でも
リハビリの一環でもない
同時に理解してもらうこと
届けることを意図していない
本当は深い意味な ....
本当は明るい詩を書きたい
ラブアンドピースって歌ってみたい
だけどなんだか虚しくなる
音楽は神じゃない
辛いって言ってはいけない
死にたいって口にしてはいけない
....
悲しいのか何かは知らないがよくわからないものを抱えて
コピー機の上に座ってみた
コピー機はしばらくの間ウィィィンと思案して見せたが
すぐに働き者の知恵を発揮して
ガッガガと印刷をし始めた
や ....
存在するために
薬さえ飲む
どうでもよいことばかり
世界にはあふれていて
秋の微弱を感じては
明日という名の薬を飲み
夢を好む
昨日の事が
縮図のように
うごめいていた
春でした
黒い道路を
雨が流れて
激しい雨が
夜を始めて
光が映って
楕円に歪で
激しい
雨が
降って
鍵盤を
両手で
駄目な
両手で
ちぎれ
....
秋の空は澄んでいる
そう思ったら
澄んでいたのは
わたしの方だった
あのひとは今
春なんだな
そう思っても
わたしの気持ちまで
春になるとは限らない
ふとポケットに手を入 ....
暗い森の中を走っていた
見えない何かから逃げるように
傷だらけの体を引きずりながら
静かに暮らせる場所を探していた
だけど二人は気付いていた
楽園など何処にも無いと
これから二人は ....
雑踏のオーケストラが
鳴り止んだ夜の街で
耳をすませば
バイオリンの泣く音
チェロの慰める声
そのふたつ届く
どこか遠くで
自分のふりをして
誰かの代わりに
誰かが生きている
今日 ....
三日月のベッドに揺られて
星達の子守唄を聴いて
さぁ今夜はおやすみ
買えなかった玩具も
転んで擦り剥いた傷跡も
すべて忘れて眠りなさい
君が見る夢は ....
響くサイレン
遠のく喧騒
静観するのは
聡明な眼差し
疎らな星空
侘しい空気
縁となるのは
心の松明
此処が闇でも
其処が果てでも
勇敢な瞳に
恐れ ....
崩れた積み木を放り投げた
夢の設計図は白紙に戻った
諦めるという選択肢もあるけど
イメージは次々と溢れてくる
限られた制作期間の中で
何か一つでも形に出来るかな?
明日 ....
例えば君の身近にあるすべてを
一つだけ残して捨てるとしたら
僕はどこまで生き残れるかな?
水や空気や地球といった
数多くの強敵を打ち倒して
最後まで勝ち残る事は出来るかな?
....
シャボン玉に
うつした顔が
空を舞い上がる
はじけると
わたしは幼く
母の布団の中にいる
目覚めると
またシャボン玉が
空を舞っている
季節を彩る緋色の落葉も
秋風に揺れる山吹色の木も
くすんだ藍色のテーブルクロスも
この目には映らない
愛は死んだの
貴方が去った日
曲がり角にある鳶色の家も
しんし ....
吐気がした
私は悪い夢を見てるらしい
私の目の前に広がるのは
あまりにも
塗り重ねられた世界だった
人間臭さに支配された
惨めな世界だった。
全て
計算 ....
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