雑踏
小川 葉
雑踏のオーケストラが
鳴り止んだ夜の街で
耳をすませば
バイオリンの泣く音
チェロの慰める声
そのふたつ届く
どこか遠くで
自分のふりをして
誰かの代わりに
誰かが生きている
今日から明日へ
時が閉じても鳴り止まない
美しい調べは
明日になればまた
雑踏の中に消えていく
自由詩
雑踏
Copyright
小川 葉
2007-10-16 16:59:20