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DIVA
響きのないところに唄は産まれ
伝えようとしている。
幾つかはこぼれ
すでに無くなったのだとして、
ひとつひとつ、
朝日に撫でられて ....
水中ではうたもうたえない
だけど泣いたってわからない
ささやかなゆれはわたしの体温になって
さかなたちの集うよるがくれば
ふやけた指先からあふれていく
あらゆる目線の延長上 ....
眠れない朝にあなたを思う
夜を通り抜けて
窓越しに出逢うあさやけは
そこはかとなくかなしい
あなたを抱きしめるだけの日々に
空で時を知ろうとしなかったから
この ....
君は
僕の知らない目をして
その光景を
眺めている
髪の毛の焼ける
独特な臭いのあとで
君はただ
真っ赤に見える空を
抱く
*
今はもう
塩分と水分に分かれ
....
この草のにおいを意識し始めたのは、
いつからだろうか。
翳る当為が、こおりのように漂い、
透きとおる幻視画のような混濁のなかで、
きみどりいろに塗された、切りたつ海岸線が浮ぶ。
冬の呼吸 ....
闇
から病んで臥せっていたはずの姉さんが這い出てきた
北の海はすっごく寒かったんだから
カラカラと寂しい音が喉からして
手で青を掴んできたわあんた青が好きだったでしょう
ショウの途中で姉さん ....
手のなかに
ことばを握ることがあったね
あるはずもない質量に
身を任せてしまうことが
あったよね
どんなこころ模様にも
ときは流れてゆくものだから
いつか
わた ....
スカアトを持ち上げたわたくしの
内股を流れおちる、それは
ルビイのやうに光り輝いておりまして
わたくしの声を
ただの吐息としてしまいます
生まれでる前に
終はりを迎えたいのちが
恍 ....
?.
七百七十六番目の天使が
翼をなくした
俺は 黙っていた
言葉は全て 汚れているから
俺は 黙っていた
あと十秒
?.
六百六十五番目の悪魔 ....
汚れた雨が蹂躙する街角で
傷をかばいあうために手を繋ぐ
傘を持たない日だけ、どうしようもなく
君の手があたたかくて
切れた指先が痛みを増した
僕の手は
どんな温度で君に ....
空に浮かぶ
小さな、輝きたちを
指先でつまんでは
ごくりと飲み下す
たくさんの色で
彩られた私は
いつか、同じように
あの空に浮かぶこと
夢、見ている
**
....
?.
星を
呼べるんだね
あのロバ
ほら
また流れたよ
願い事三回は
いじわるだね
静かにしていよう
叶わないよ なにも
どうせこれ以上
たどり着こうとして
....
?.
眠っているとき
おまえは
ほんとうだから
なあ
なんで
眠っているときだけ
おまえは
本当なのかな
?.
....
また会えるからサヨナラと言った
雪の残る街
いつものように見送った僕を
覚えていますか
赤いコートの裾が揺れ
乾いた風に凛と鳴る
あしたもきっと青空だね
ふたり信じていた
....
コンコンチキチン
コンチキチン
コンコンチキチン
コンチキチン
祇園祭が始まるよ
祇園祭が始まるよ
祇園囃子の音がすりゃ
京都の夏も本番さ
コンコンチキチン
コンチキチン ....
いつのまにか
溶け込んでいた、世界と
私との接着面に
体温計をさしてみる
ゆっくりと
開いた手のひらと
大気との間
握ることはせず
また、摘まむこともない
少しずつ ....
すやすやと
安らかな寝息を立てる
ちいさなちいさな背中
このちいさな背中に
どれだけの重荷を
背負わせてしまったんだろう
たくさんの痛みに耐えて ....
柔らかな白い歯でゆっくりと噛み砕いていく
罫線付きのノートにあるのは、
二十四本の水平線で
僕たちはいつだって ノートの枠をずっとはみ出した
その先にある白い宇宙に 丸まりかけた鉛筆を使っ ....
はしゃいで飛び込んだプールの底に顔面を泣けるほど打ったけど
涙をプールの水に紛らせ笑った夏でした
カルピスが痰みたいに絡んだけれど
白くて甘い夏でした
台風で傘が根元から折れたけど
....
振り返ったら
影法師しか
あなたの名残は落ちていなかった
雷雨が滑りこむ昼下がり
四角い白い箱の中
些細なことで
笑う
二匹の赤い鈴
あの日
パスタの蝶々結びが
{ ....
かけ足に過ぎなかった
いまでもそれは
よくみえる
ほろにがい
夕暮れの日を
燃え尽くすには
まだ早い
わからないほどに
からまり続けて
いるからね
....
ほとんどの人は、もう
溺れているの
誰も気づいていないだけ
澄んだ指さきが
アルカディア、と答えて
空の一角をさす
新しい風景、新しい秩序
それは
見たことのない宇宙
(行け ....
その社会は
そこに住む人たちを
豊かな生活をさせるために
必要以上のモノを作り
必要以上のモノを買わせ
必要以上のモノを捨てさせ
常に不足への不安と
新しいモノへの欲求を
同時に進行さ ....
花は散り
葉が開く
ベルの音
オレンジ
人に頼られ
人に好かれ
人が優しく
尊敬される
思わぬご褒美
永遠の薔薇を
重圧を感じる
裏切を封じる
詩と、
そうじゃないものの狭間
そんな世界に僕はいる
この言葉が
ただのガラクタでも
僕は呑み込むことを許さない
命、
そう命
そんなものに似ている
かけがえのないもの
君 ....
悲しい夢を見たあとに
声を上げて泣いてしまったのは
その夢が悲しかったからではなく
その夢が現実にほど近い
記憶だったからかもしれません
昔のことですから
もう数えきれないくら ....
餓えているのではなく
影を落とす孤独が
乾いていくということ
砂漠
その影に
息づくものがある
星は照らしているけれど
遠い過去が
輝いているだけで
君が乾くとき
僕は海を ....
それはいつまで経っても明日にならない
俺は始まりからずっと遠くてもっとぶ厚くて
お前の衰弱しきった太陽が忘れられない
明ける夜に挿された首のひやっとした
どの空も拒んで傾いた
それは動く ....
おもてはどこですか
みぎは
ひだりは
うらがわは
問いかけるほど
しずかになるから
物言わずには
いられない
すぐにも
あしたは来るけれど
ちいさな点 ....
もはや自分で立っていることができない
もたれあいの波
惰性と汗と酒臭い息にまみれた
終電から開放されて
深夜の自転車置き場にたどり着いた
鉄道の高架下に広がる広大な空間
明け方ま ....
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