すべてのおすすめ
金にあふれる雲間には
鳥も魚も子らもいて
紅と灰の問いかけに
青と銀の応えを返す
にぎやかで静かな暗がりの廻転
こぼれつづけるうた受けとめるのは
やわらかなやわらかな ....
濁流が終わると
うっすらしたものが
膨らむように浮いてきて
「
」
って
言ったわ
ていうか そう言う ....
谷川俊太郎さんと酒を飲んだ
谷川さんが酒を飲むとは知らなかった
鶯谷ではない近くの酒場だった
朗読会か出版記念会のかえりだった
何度か同席したこと ....
とても淋しい人と会って
とても淋しい話をした
とても淋しい店でした食事は
そこそこに美味しかった
それからとても淋しい歌を歌って
とても淋しいさよならをした
目の高さで手を振ると
そ ....
いくらか冷たい墓標の下の
海
さくらがちって
波間に浮かぶ
いちめんの花びら
春でもな ....
ふかあいトンネルを潜りぬけて地層を下る
ちいさな貝殻の明かり
耳の荒野
雨もふらない砂漠地帯だ
草もはえない
さらさらとさらさらと画用紙のように
チリもたたず 砂嵐も ....
蕁草の茂みから
ひろいあつめた言葉たちの匂い
朽ちた戦車が砲弾を着装し
森のかなたへ/詩人が放った
焚き火のなかに原稿をほうりだすように/
もう蛇は春から冬眠してい ....
飛んでいる
飛んでいる
はげしいビートだ
もう世界もおわりだから
走ってゆくしかないのだ
酸性雨が ....
*
目覚めると音のない世界
カーテンの隙間から灰色の光が射している
明けていくカーテン越しの光のなかで
青磁の肌が鈍く輝く
この部屋はこんなふうに朝を迎えるんだね。
僕は君を置き去りに ....
あわくふくよかな海洋特急列車
が ぼくらを南へはこぶ
間断なく規則正しいマリンバのエンジン音
海に敷かれたレールをゆっくりと
エルスール エルスール エルスール
仲間は海に喰われた
....
結婚したてのころ
奥さんがバスンバスン布団を叩く音を聞いて
親のかたきじゃないんだから何もそんなにまで
なんて思ったけど
十年目に
「布団は親のかたきなの」
衝撃の告白
親のかたきに ....
僕は十二番目の牢舎にゐる
僕は二零三と呼ばれる
僕は自分の名前を忘れつつある
僕は粗悪な食事に馴れつつある
君の庭の卯の花は
今頃はもう満開だらうか
此処にゐると季節が判ら ....
赤土の皿に赤い身
濃い溜まり醤油と
潮気かおる雨宵
ここでしか漁れんもんやから
引き戸かたつく飯どころ左隅で
ちらちら横目くれられビールを半分まで
流し込む
わぁ美味しそう ....
わたしはかつて
とてもあまくて湿った土から生えて
花を咲かせることをゆめみた
猫が足元におしっこして
とてもあたたかくてしあわせだった
ちがう土から生えてそだつわたしたちは
た ....
ふかい海にいきている
生き物は、わたしたちからは
奇妙なかたちに見えるけど
奇妙だと思わない人もいるだろうし
ミスターチルドレンが「深海」という
アルバム出したときも、
あれはあれで必 ....
女は
胎内に新しい生命を宿したら
「母親」になるというのに
男は
新しい生命が誕生してから
「父親」になる権利を得る
のだろうか
それは
目の前に細く頼りない道が一本
....
降りしきる雨の中
傘もささずに俺たちは歩いた
死ぬほど歩き続けた
けれどそれで
俺たちが死ぬことはなかった
俺たち いい奴だった
俺たち 輝いていた
俺たちは生の肉だった
俺た ....
日記を、付ける
六月二十三日、昨日から降り続く雨が鬱陶しい
飛沫を弾きながら、打たれるがままの紫陽花を見つめている
我が家の北側の窓の裾、包み込む影は徐々に沈み
零れ落ちた空の色が ....
線路を歩いた
草がたくさん生えていた
誰もいなかった
ずっと前に廃線になったのだ
線路沿いに坂を上っていくと
車両が置き晒されていた
子供が廊下を走っていた
もう少し歩いて ....
帰る場所はないくせに帰るわって私は言った
引き寄せてもらえるのを待っているのに
引き寄せられると急にイヤイヤ
ひとりでいるとふたりでいたい
ふたりでいるとひとりにもどる
ひとりでいると気 ....
ラオウ「おまえの力はそんな程度か」
ケンシロウ「うふっ」と言いながら体が崩れる
(効果音)ちろりりーろーろー
画面には終わりと表示される。
しかし!
(リンが叫ぶ)ケーン
ケンシロウ「う ....
よこあるくスベスベを、イメージの先に融解する。
涼しくさらっていく風が、撫でるのは喧騒だ。
こうしてぼくらは息をしていて、いつもいつも、いろいろな状態をことばにする。悲しい。うれしい。お腹 ....
3月13日於リアルタイム会議室
参加者 山田せばすちゃん、Red Sky、あざれあ、宮有依子、oldsoup、小池房枝、佐々宝砂、沼谷香澄
誰がどの詩句を出したのかはあえて隠しちゃう。
....
ぼくらは電波に乗って。
つい揺れて悔いて後退るぼくの間違いも、変化する内側を訴えるきみの気まぐれも、あけすけで譲らない誰かの嘘も。電波に乗って、浮かんでは飛び交うそれらがもし、全て空気中にう ....
ついに発見されたのですね
青空いっぱいの無色な孔雀の骨
嗚呼ただの伝説かと思っていたのに
雲雀の血のにじんだ五月の空の
気圏のいちばんの上層
きらびやかな氷窒素のあたりから
発見されたので ....
泥のような緑
黙したままの光景に
虚ろがる夢が漂い
わたしは疲れている
コンクリートで舗装された
河川敷をよたよた
歩く老人を見て
わたしは疲れている
反省など冷たく
こおろ ....
サードとショートは楽しそうに話をしている
ああ、いいなあ、と思ってセンターを見る
そこには人数あわせの地蔵
ということはチェンジになるごとにあれをベンチまで運ばなければいけない
はるか彼方 ....
雲のない
ブルー・スクリーンを仰ぎ見ても
語るべきものなど何も残されていない
サイレント、ひとつ
崩れながら包み込まれる
ネイティブ・アメリカンに
インディアン・サマー ....
ハロー、ハロー
周波数はあっているか、こちらはDJ
十三年ぶりに新種のサンショウウオが発見されたそうだよ、皆さん
サンショウウオが好きなDJとしては久しぶりに嬉しいニュースだ
寒い日が続く ....
三日月1号線は
全ての痛みを解いてくれる
ここではないどこかへ行ける
らしい
東に向かって走る
それだけで
僕は毎日のように
日常57号線を
行ったり来たりしているの ....
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