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押し出されてゆく
押し出されてゆく
波打ち際を
海へ
風が背中を押す
バルチック海ではない
鎌倉の海でだ
実朝が幻の建造船を ....
エトピリカを待つ
絶滅寸前の
マボロシの鳥
600mmレンズを据えて
何時間でも
ポイントを決めて
弟とぼくと
二人のカメラマンが
....
にぎやかな街のなかには
派手な歯科医がたくさんあり
誰もが知ってる眼科医がいる
ひよこも街の住人である
にぎやかな街のなかには
派手な産科医がたくさんあり
....
きょうはぼくの誕生日
62歳になった 年齢はワープする
きのうまで27歳 パリのカルチェラタンを歩いていたのに
きょう ぼくのスニーカーは田舎道の ....
谷川俊太郎さんと酒を飲んだ
谷川さんが酒を飲むとは知らなかった
鶯谷ではない近くの酒場だった
朗読会か出版記念会のかえりだった
何度か同席したこと ....
いくらか冷たい墓標の下の
海
さくらがちって
波間に浮かぶ
いちめんの花びら
春でもな ....
ふかあいトンネルを潜りぬけて地層を下る
ちいさな貝殻の明かり
耳の荒野
雨もふらない砂漠地帯だ
草もはえない
さらさらとさらさらと画用紙のように
チリもたたず 砂嵐も ....
蕁草の茂みから
ひろいあつめた言葉たちの匂い
朽ちた戦車が砲弾を着装し
森のかなたへ/詩人が放った
焚き火のなかに原稿をほうりだすように/
もう蛇は春から冬眠してい ....
飛んでいる
飛んでいる
はげしいビートだ
もう世界もおわりだから
走ってゆくしかないのだ
酸性雨が ....