悲しみの後に消えていく
そっと手をのせて
一枚の風に夢を描き
先へと羽ばたけ
「夢はララ」
何所かで聞こえる音色
ララ
底辺から響く
そっと貴方と夢に“ララ”
洋服を着せられたマルチーズが
貴婦人の腕に抱かれている
デブの貴婦人。何を食べたらそんなに太る?
マルチーズの眼差しは白い
きっとマルチーズの中は空虚でいっぱい
首につけられた宝石が重か ....
僕はまだ人に愛される感覚をしらないのです
胸を焦がす様な恋心はいつも一人で完結しています
寂しいという言葉にのせられるだけなら
まだ幸せなのでしょう
でもそのなかには複雑な成分 ....
彼女はきっと
宇宙を知る為に
隕石に乗って
やって来たんだよ
my sweet
(moon)
honey.
少し
シュールな手紙は
君の目に
どう写 ....
仕事がんばんなきゃな。
慰めではなく
その場しのぎのお世辞でなく
ただの本心から
「自分を美しいと思う女より
自分は美しくなれると思う女の方が美しい」
そう言ってくれた人がいる。
百万のことばに傷つけ ....
風が強いから
真っ白な兎のロングマフラァを
首の後ろで
きゅっと結びましたわ
まるでわたくし
絞殺されたがっているみたいだった
兎に殺されるんだわと思うと
それもいいかしらと笑いましたの
もう出掛けなきゃならないってのに
まだ、おまえにすがりたい。
冷え切った体がおまえの温もりを求める。
こんなんじゃ駄目だって昨日も感じてたのに。
今日もまた、
お ....
爪が肉に食い込み皮を剥ぎ
周辺から背骨を通して
首筋まで響く声の無い
信号を
押し込めるように無視する
風呂上りに冷蔵庫を開けると
限界を越えた腕の筋肉は
悲鳴をあげながら
固 ....
どこにでもありそうな道端に
どこにでもありそうな大きな石が一つ
座っていた
ある人は
何の関心も示さずに通り過ぎていった
ある人は
怒りを感じて棒で叩いた
ある人は
その美 ....
正月ぼけで出勤すると
コーヒーメーカーで淹れたコーヒー
汚い共用灰皿からこぼれる煙草
不愉快だったり
コンピュータのご機嫌と上司の会議
会議中の上司への電話
俺には意味不明な伝言
....
あの日子宮に辿り着いた時
私は多くの仲間を蹴落として
一人の女を犯した
彼女はとてもきれいな
色をしていたから
私は穢したくて
嫉妬していたのだろう
彼女と一つにな ....
月澄みて
鐘 響きあう
奈良の除夜
今年から親父の頭が初日の出
唄を浴びてみた。
ケータイから流して。
シャワーのように。
目を閉じた。
頭から、どんどん濡れてって。
全身に浴びて。
唄が終わって。
体が冷えて ....
ゴキゴキ
ガキガキ
削るよ削る
職人さん
ピッカピカの
ダイヤモンドを作るんだ
でっかすぎると粋じゃない
小さいところが良いんだよ
サファイヤなんかも
綺麗だね
大きすぎると粋じゃ ....
茜色の夕陽が沈んだ
輝いた今日は地平線の彼方
夜の帳が下ろされて
明日の舞台の準備が始まる
もうすぐ今日が終わりを迎える
昨日は今日の別名でもあり
明日は今日の別名でもある
そう ....
年末になると
山から神様がやってくる
御札を持ってやってくる
勝手口へとやってくる
ママが2000円
払う
来年も火事に遭いませんように
油で汚れた古い御札を
ガスレンジの脇の壁から引 ....
ざぁざぁ。
でも私の心は雨じゃないです。
でもいっそ雨に打たれたいの、ね。
ざぁざぁ。
ざぁ ザー …
嗚呼 溢れ出そう
全部ながしてくれるんですか ....
クリスマス・イヴという日は
みんながモノと思い出を探す日
何がほしい?
何を買ってあげようか?
どんな夜を過ごそうか?
特別な日
モノを想い
人を想い
時を想う
その年に起き ....
一杯。
背負い酒は、
ふたり酒。
だから今宵も、
ひとりふたりの酒を飲む。
二杯。
「他人の酒まで飲むほどに、
....
貴女の 事を 想うと
私は 貴女の 胸を 刺したくなる
官能なんて 姥捨て山の
乞食が 食べているさ
ああ そうだ
私は 昔 黒い 斑点を
飲み込んだ
腐乱した 斑点
光だ
斑点 ....
枯草を老人が畑で燃やし続ける
白煙が空へと昇る
冬の空は黒い雲が覆い、煙を呑み込む
竹薮で餌を漁っていた雉の群れが飛立つ
夕暮れは寒さだけを引連れてくる
寂しさが私の ....
やたら騒ぎ立てる
警官たち
をわたしは
片手で制し言った−
片手−といっても手錠に
よりもう一方の手も必然的に
従ったが−
クリスマスなんて関係ないねと
モテない奴らが強がってる
そして俺もその一人で
この時期だけ仏教徒になっている
メリー メリー 南無阿弥陀仏
お手々のシワとシワを合わせて年の瀬
祇園精舎のイ ....
名前を知らない人にとっては
五つの星にすぎないけれど
カシオペヤは輝いている
名前を知らない人にとっては
七つの星にすぎないけれど
北斗七星は輝いている
そして中心で輝 ....
三丁目にある教会のマザーがこう言った
私だってファックって言いたくなるのよ
なぜってドキドキするからよ
女の内側が燃えてきそうになるの
ブレイクファーストを運ぶ彼女はいつだって
....
波にかき消され
あるく音も聞こえない
アヴェ・マリアもかき消され
カモメの白い羽音もかき消され
太陽をまっすぐに浴びて
誇らし気に弧をえがく
かすんでゆくまま波にかまれ
風船はつなが ....
巨人の足跡に舟を浮かべ
わたくしたちは向かい合う
ここは空の真下
もう片方の足跡は
はじめからなかった
{引用=一九九八年二月二四日}
きみは中から凍えていくようだけど
私はきみに触れている指先から凍傷になっていく
きみからぶら下がる氷柱が落ちて
私の足を貫くから
もうどこにも行けなくなるよ
私は冷たい水しか持ってい ....
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