朽ちた花さえ
髪に挿し
わたしは明日も
笑いたい
絶望からは少し違う此処で
頭を垂れてぽつりと咲いた
誰にも気付かれないような色で
僕にも気付かれないような色で
普通すぎる僕にはあまりにも
それは不気味で心地よい季節だった
夢を見なが ....
数日前に何気なく口から走った
くだらない言葉が
ぼろぼろになって帰ってきた夜に
あんぐりと口をあけて
その夜にほうりこんでいく
方方巡った小さな言葉は
無い皮膚を剥がされ
無い指を切られ ....
母が買ってきた食器を
祖母は押し入れにしまう
母はそれに気づいて
いるがなにも言わない
祖母はかちゃりとも音を
させずに食器を移動させる
祖母の顔は真っ白で
太陽の匂いもしない
....
電車の自動扉から
春が吹き込む
そして夏が来る
アナウンスが夏を告げる
夏はにこやかに笑いながら
春を押しのけようとした
春はなみだを流した
アナウンスは夏を告げる
駆け込み乗 ....
思う言葉をなくした
何もしていない土曜日だった
今日もカラフルなため息を吐いている
駅前は とても 賑やかすぎた
何も言わずに
一人で夢を見ていたようだった
するべきことがあっ ....
ぼけの花愛でたい花や花びらが枝枝咲いて桃色匂う
乳白の花びら開き散る前に姿とどめよ木蓮の花
山吹の水仙を手にひそり立ちナルキッソスの水辺を映す
はるあさく みどりをまつは 黄卵と よるのせにさく ふくらみゆく月
寄り添うは虚ろだと知る夕べから髪と糸の鳥もとめる二人
とげが棘ひかりが光に刺さるのは鉛筆の森はらわたの森
音をただ携えて無の道をゆく冬を後ろにかたちなき ....
お金
ならない
お金はキレイ
花のよう
鈍く光の沈む
夜のあんな猫背の
色した鉛の玉の鈍く
街灯にあんな空と
椋鳥の霊
そんな奴に
セキレイが近づく
白い頭と黒い ....
灰色の風が
冷え込んだ甘い匂いに吸われてしまう
電車の窓ガラスも
街路樹を伝う宵闇も
一本の薄いストロークにのって
色落ちしてゆく
弓のぼやけた冠を
空におくり
人びとは門を閉 ....
からだブン投げて
青柿割り
咲いた
咲いた
青柿
咲いた
婆さん
咲いた
生きてた婆さんの名前 何だった
私を愛して
咲いたか
咲いたか
あの夜
....
畦道にむかう足は
ゴワゴワと、カエルのように
ないて、河川敷に沿って走る
白い、マーチを追い越して
目と、髪が戯れている先の
先まで進み、カラスか
はたまた違う鳥か
とらえて、はなし ....
ぼんたん飴をすりつぶしたように
雲がうじゃうじゃ
あとは青
みんなみんな神宮橋を渡る
横から波と風、羽、工場からのガス
大きな風車がいくつもいくつも見える
車はまっすぐに走れ
....
成田へあれも
弧を描き
うつむき加減に
落ちてって
果肉むさぼる
木々や
倉庫や
薄暗い濁りが
街路まで
漂っては灯火を運ぶ
星を食う
彼は
季節外 ....
ほの暗い飲食店で
たった一人食パンを食べている
六枚切り位の厚さだろうか
食べ終わると給仕が来て
新しい食パンを置いていく
本当はご飯の方が好きなのに
運ばれてくるパンばかりを ....
あなたしかいないと気付かされるたび 何度も0に戻る失恋
起きているときと眠っているときのひとりは違う孤独みたいだ
もうあなたのようなひとには会えないと思っても光る十 ....
素面(しらふ)で詩なんぞ書けるものかね
と赭ら顔の詩人は言った。
カウンターの隣で飲んでいた俺は
思わずバーボンを吹き出した。
そうだよ っと詩人は手が震えていて
表紙の擦り切れ ....
空中で爆発したように雨が急に降る
まるで捕らえられたように射抜かれる
それは突然の電話のように
それは生まれる運命のように
私であって私でない私に訪れるもの
受け入れがたい事象 ....
焼酎を
ひたすらに呑む
同じ曲を繰り返し
繰り返しかけながら
お湯割りで
残ったおかずと
煮干しと
白菜の漬け物と
古びた恋の憐憫と
夜の更けるまま
ひたすらに
呑む
行者の合図
クルリと翻す風
縦笛と砂ぼこり
枝の囁き
沈黙の月
眠る黒猫
右手の挨拶
マーブルチョコレート
揺れる青葉
軋む廊下
駆けるメトローム
歪な氷
飛び交うフク ....
冷たさを増す風に震える
荒野の先のやわらかな双丘をそのままに
奥に流れる寂寥とした音色に耳を澄ませている
何処かに隠した水瓶から溢れ出す
指先を濡らすほどのちいさな泉を大切に護って
....
蒼穹も黄金の砂丘も皆寝静まって
全ては動かない
ひと棹の楽器も横たわっている
微風さえもが画布に張りついて
夢の ゆ の字
黒い少女の纏う長衣の
この世ならぬ配色は
仄かに艶めかしい ....
あめのおとを
きいている
とおもっている
わたし
ひとのこころが
みえている
とおもっている
あめ
のようなきがして
まっている
すてられた
とう ....
砂と瓦礫の上、子供たちが石のような目をしてそれを投げ合うとき
わたしはぼんやりと胃凭れ気味な朝を迎えます。
やわらかくなめらかな肌にすりつぶして、塩コショウとマヨネーズをかけてそれを食します ....
半年が経った。
半年後のちょうどその日は
目が回るほど忙しくて
半年が経ったことに気づいたのは
その翌日のことだった
友人の誕生日を忘れたときのような
ばつの悪さを感じながら
つ ....
誰にでも
素晴らしい時があった気がする
ただオレにとっては
その時がいったい
いつのことだったか
もう思い出せないだけ
オレはそうして
静かに目を閉じる
101020
キュウロクと言ったら
9600型蒸気機関車
大正の初期に純国産機として生まれ
長い昭和時代を日本全国を駆け回り ....
かがやきを熱さを廻す途切れ指
夜からむ夜かきむしる夜がゆえ
岩の上また岩の下数億年
硝子にはひとりのすがた波ばかり
....
リモコンがリモコンを喰う朝ぼらけ
アマゾンの箱をひらくと射る瞳
ピンどめの天使の影の浮く便所
ぐぬぬより二文字多いぐぬぬぬぬ
....
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