浅ましい魚に餌をやるように君は俺に言葉を与える
殺したいから死にたくて音楽はごまかすために聴くばかりだと
死にたくて動けませんが通じませんだれか俺にゆすらうめくれ。
つらいのは ....
梅の花を 数えよう
生まれた 花びら達を
目の前に ちりばめて
踏みつけることの ないように
腐臭にかわる その前に
チンチロリンが 聞こえる季節に
肌官房の木々をみて
寒々しい 思 ....
入れ子だよ君は僕のマトリョーシカ
金環蝕キーンカーンキーン
みかづきがぼんやりうすい場所がある
爪工場で働くこびと
あの頃わたしが持っていた
やさしい言葉の群れは
ぜんぶ捨てたよ。
曇天。呼び出しに答え、すぐに放り出されたあと、ひとりで水族館へいく。
締め切り時間間際にくぐるゲート。入ったあとすぐに、うしろでシャッターが閉まる音。
館内は暗く、ごく控えめな音量で歌詞のない ....
近頃だせーダッフルコートを
ファミレスで脱いだ娘は今どき見上げたショートボブ
カラーリングもメイクも知らない
つぶらな瞳を見開いたまま
発育を15で停めた18歳のレジスタンスは北風の中
孤立 ....
どっかのホステスの
脇の匂い嗅がせてもらった後
誰かに土下座して
そんでもう覚えてない
変な椅子に座って
喋っていたんだって
星が綺麗だった日の話を
熱心に話してんだって
俺が ....
彼岸前雨に濡れてる植え込みにささやかに咲く沈丁花の香
今しがた風呂吹き大根炊く母がとろとろ火かけ黒き碑
点滴の音やかましき隣には空いた花瓶を洗う細君
気散じに蘇州夜曲を口遊む火吹き男の碧き虹彩
無花果のひとつ転がり胞衣壷に翅を揃えて番う ....
花よ
祈れ
花よ
癒せ
花よ
鎮めよ
花よ
救え
魂に
手向けられた
花よ
悲しみを
汝等が背負え
手向けられた
花よ
生き残ったものの
....
小学生の頃のいきつけの内科医院は いつも
消毒薬と漢方薬の匂いがしていた
医者の奥さんが受付の奥で薬を調合していて そこでもらう薬はとても粉っぽくて
飲むと必ずむせた
待合室から小さな裏庭 ....
三月雨、が降る
ほろほろとこぼれて少女は涙する
はちみつ色の瞳を濡らし鼻筋を濡らし
ああけれど溶けてしまうから唇をきゅっと結ぶ
盛り上がる雫は春の水 それとも冬の水
少女に言葉はいら ....
「むかえにいくよ」と、
男が言う。
「きっと、むかえにいくから」
そう、いつも私に言うので、
「いつむかえにきてくれるの?」と、
訊けば、
「ロトシックスが当たったら!」
大真面目に男が ....
{引用=テーマ/SF(サージカル・フィクション)}
こないだのGO
雪国まいたけのGO(*)は
思慮を醸した声音が好ましかった
がついこの間出ていたGOは
顔面が何か不自然で
目元が ....
頭痛
倦怠が成層圏から降ってきた
うっすらと頭痛呑み込むパスタかな
氷床の軋む音する頭痛かな
頭痛飛び地球を巡り海に墜つ
雨
生まれ ....
暗い 暗い 夜の淵を歩いていると
君が生きていた頃を思い出す
君は何も話さないで
静かに笑っているだけ
何も考えずに歩みを進めてみる
そのうちに僕は痛みがあることも忘れる
だんだんその ....
暗いそらのした
森の樹皮質のぬくもりが、
重さをました広大な冬の夜をささえている
不思議な安寧をやくそくされ
みちびかれるように 生きる
神々しく 雪をいただいた山のうちふところで
....
カンザシの
椿の花に
メジロ来る
深夜の海で独り船に乗っていた
やがて風は強まり、波はざわめき
震える両手をあわせ、必死に祈った
遠い暗闇からひかりの人が
こちらへ、歩いてくる
ずっと昔から私をみつめる目が
....
八方塞がりとは
こんな気持ちをいうのだろうか
こころの深い奥で
前に進もうとしても進めない
強い何かで ....
120114
無自覚な試作品の顔を撫でながらも
失敗作だと悔やむ
青空の製作は難しくて
寒がりだから
何回作っても天井にへばり付いて
なかなか降り ....
ひとはいつ自分の間違いに気づくのだろう
だれかが去っていってしまったときなのか
深夜に目醒め眠れぬ夜を過ごすときなのか
満員電車で家畜の様だと想ったときなのか
あなたはそれに気づいたこ ....
今日を生きることに疲れた心を連れて行ってあげる
追憶の岸辺には様々な物が打ち寄せられている
陽に晒されて白く乾いた流木の傍らに
幼稚園に母が持たせてくれた馬車の模様の小さな青いお盆
好きな ....
いつも夢を見ていた日を忘れた
流れる季節は いつも 僕の目の前を通り過ぎていくだけ
目を、
流れていく微かな魚のきらめきは 季節の中を どこに泳いで行くのだろう
朝起きたら、外に出よう
白い息を吐きながら
此畜生と吐きながら
年始の客に酒蒸しか
エスカルゴバターにしようと
前夜スーパーで買ったはまぐりを塩水に浸けた
途端に気泡をプクプクッと吐いた
息をついている
命を摘まれるとも知らず
中国の沿岸で狩られ
淀 ....
笑顔がきたないね
産み落としたその沼から
たばこくさい泡がぶくぶく立ちのぼる
円満とか
円滑とか
そういうのの前ではわたしの思いなんて
あとまわしにされるべきなんだよ
どこに行っ ....
僕には君が何を考えているのかわからないよ
こんなに好きなのにね
君を本当に好きなこの気持ちを今さらどうやって伝えようか
きっと君にはわかってるんでしょ
だから僕の呼び掛 ....
水色の陽射しが降る 浴槽に
14歳の夏の終わりを浸して
青いと 吹き渡る 風の音色
わずかな力で笑っている
白い馬に乗って どこへ行こう
....
言葉はしめっていたがよく燃えた
ガス・スタンドの男と
寝てきたせいだろうか
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