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「何で眼鏡かけないの?」
と聞かれたので
『目が2ミリくらい一回り小さく見えちゃうから』
とか
『コンタクト恐怖症なの』
とは答えずに
ちょっと詩的なことが言ってみたくなっ ....
空を飛びたいなど思わない
眠ってしまおうとも思わない
そんな明るい雨の昼下がりは
激しく窓ガラスで弾けて
つたい落ちる滴を
ずっと、ずっと見ていたい
大切に飼っていた金魚を
....
つぼみのままだった花が
開いて
背伸びした
鈴として
花びらは
柔らかく
風とお話
限りなく命論ずる人々
もう誰が最初か分からない争い
たった一人の
たった一瞬の
心 ....
あと十分で地球が滅びます。
いつものように何気なく見ていた目覚ましTVで
総理大臣が重々しい口調でそんなことを言った
朝。
あと十分だってよ、どうする?
母さんは僕を見ながら、くひひ ....
ぽきりと
折れてしまいたい
木よ そう思わないか
冷たい 雨と風にさらされて
いつになれば
春は訪れるのだろう
折れて
倒れて
地に伏せば
今とは違う風景が見えるかもしれない
....
雨あがりの道を母と歩いていた
虹だ
おかあさん
虹だよ
ふりむくと母はいなかった
手の感触も覚えていない
母はよく左の胸をおさえていた
あれは母の癖だとばかり
思ってい ....
こんな夜に
どこまで出かけましょう
どこかしんみりと
人の痛みの分かるこの夜
あの日のように
私がどこかで泣いているのなら
その子を今夜
励ましてあげたい。
こ ....
「えくぼ」
六月の風にゆれる
さくらの葉っぱ。
よく見たら
ぽつぽつ 穴があいている。
虫に食べられてしまったのだろうか?
穴は どこかの虫の命を みたして
穴は みずみずし ....
今日も望遠鏡を覗く
代わり映えの無い緑の夜空に
その青い星は浮かんでいた
一年中衛星とダンスを踊るその姿は
この星からはとても遠い
夜空の星屑の雨にうんざりしながら
今夜の降星確率は0 ....
あぁわたし
うっかりしてました
あなたを好きになってしまいました
うっかりしてました
あなたに愛を打ち明けてしまいました
うっかりしてました
あなたのキスを鵜呑みにしてしまいま ....
病窓の 最後の 一枚の 葉っぱ
とは ちがう 美しい まだらな 編み物の
精緻な 空間が 午前の ひかりの なかで
なごやかな シラブルに 響くのを とおく 聞いた
....
わたし 財布を無くしてしまいました
めでたしめでたし
わたし 道を間違えてしまいました
めでたしめでたし
わたし 階段から落ちてしまいました
めでたしめでたし
わたし 羽を折っ ....
それは
わるい季節だったのだと
小さすぎる靴に
むりやり押し込んだ足のような気分で
小雨をついて
散歩にでよう
動かない洗濯機のなかの
洗濯物のように
売れ残るテレビショッピン ....
布団のなかで
好きだった本や
好きだった歌や
好きだった人のこと
考えてみる
それだけなら電気はいらない
暗くなってもさびしくはない
人間の胃袋がまいにちふくらんでいる
それは比喩 ....
「私暗い歌がすきなの」
「死ぬのとか、別れるとか、血がどうとか、イケナイ関係とか」
「だってむかつくじゃない」
「幸せいっぱいでそんな色しかない曲なんて」
「耳にするだけでうん ....
おばあちゃんの命題は
生きることにはないわけで
生きないことにもないわけで
なんだかそんなことを越えたところに
なんだかもっと真実に近いものに
潜んでいるとされています。 ....
1.
風邪が押してきた
したがって私は引いたのだ
それならばと
風を押してみた
すると、私は実に無力であることを
思い知らされたのだった
2.
趣味も思考も
全く違う ....
私の眠剤は
胃の中の闇に溶ける
ふかーい
ふかーい
闇に溶ける
私の眠剤は
広げられた風呂敷を
四角くたたんで
明日へ持って行く
のこのこ ....
いつか
すごく詰まらない詩を
書いてしまって
私はそれを破り捨てた
なのに君は
破られた詩を
四苦八苦しながら繋ぎ合わせて
時間をかけて読んだ後に
すごく良いね
と笑った
本当に君 ....
歩く速さは一緒なのに
想いの速さは違ってた
貴方は『恋』を『愛』に変えたくて
私は『好き』を『恋』と呼びたかった
初めて会った夜に抱きしめられ
さりげない会話に「一緒に暮らそう」と
....
2年ほど前になるだろうか。
僕は落とし物をしてしまったのです。
それはとても大切なものだったので、ずいぶんと長い間、血眼で探しまわっていました。
でも、それは決してどこにも、その欠片さえ ....
たとえばそこに私がいるということ
炭酸水の泡の中に私がいるということ
生まれては消え消えては生まれる
連鎖する中にほんの一瞬私が見え隠れするということ
たとえばそこに私がいるという ....
夜に
眠らなければ
朝は来ないと
信じていた
子供の頃
けれど
そんなことはないと
知ってしまった
午前5時半
朝日は無情にも
私の好きなオレンジ色だ
ぼくは悩んでいる。
毎日毎日悩んでいる。
そう、悩むことがすでに趣味なのだ。
ぼくたちは小さな悩みをどんどん大きくしていくことが楽しみなのだ。
世界の難しいことがらのほとんどは ....
おまえが絶望していると言うから
俺は絶望していられなくなった
おまえが取り乱すところを見たから
俺はもの凄く落ち着いた
おまえが傷ついているのを見たくないから
俺は自分のことを棚に上げた
....
音もなく降る雪
泣いているのかもしれない
白い
空の向こうで
殺された小さな手と
殺した大きな手
どちらもあなたに似せて造られた手
耐え難く
愛しい
泣いているのかもしれない ....
わたしはゴルフがきらいだ。
外したのをよろこんで拍手するギャラリーにはなりたくない。
そういうみにくいこころのうごきがきらいだ。
あいてのミスをねがうこころのいやらしさがきらいだ。
わたし ....
うたを綴る
ひとつ ノォトに
うたを紡ぐ
ひとつ こころに
今日の言葉を装い
明日吹く風を纏う
雲に似て
恋に似て
刻々とかたちを変えるその憧憬を
留めるため
小さな引き出 ....
川沿いに歩いて ようやく
国道まで出た
ぼくたちは、しばしば
夜を迷う
ぼくたちには靴がなかったけれど
それはたいした問題じゃなかった
歩くべき道を
さがすだけの、夜を
迷っていた
....
【運転室】
ミステリーツアーの
ほんとうの行先は
汽車の運転手さえ
知らない
行先はレール任せなので
運転手は楽譜を前に
指揮を振っている
振りをしているに過 ....
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