すべてのおすすめ
来る日も来る日も
欲しいだけの陽は降り注ぎ
水の恵みも充分受けてはゐたが
代はり映えのしない日々に
嫌気がさして
葉叢のなかの一枚が
ある日 ひらりと裏返つた
―決して気紛れでは ....
1 追憶の街
(そこを曲がると目的地だ。
(たくさんのヒヤシンスの花が僕たちを見ている。
(そう、あの青い塔のある丘まで競争だ。
(君の長い髪がそよかぜにのって
(春を歌っている ....
わたしたちの
夜の
「わたしたちは
夜のアスファルトに
アルコールの溜息から順に
音も立てずに
わたしたちを、落としている」
を
体中で受け取って故意に ....
渡し場で舟を待つ。
遠くから響く風に耳を遣ると
今しがた現れた
言葉がみんな消えてしまった。
残念なことだ、
水面の紋でさえ
こんなに早くは消えない。
渡し場に佇む。
風に運ば ....
亀、知りませんか?
背中に「さ、の」って書いてあります
それは、自分自身です
こんくらいのやつです
かたちは日々変わるんです
生きものですから
お腹を押すと泣きます
水曜日の午後だけ ....
{引用=
花の種を撒くように
あなたはゆっくりと回転する
スカートが揺らめき
微かな銀色が
しなやかな指先から
こぼれる
それが
遥かに
風花のように
わたしに ....
ちせつな
言葉からつむぐ愛が
どっかへ行ってしまうのと同じように
明日から
せかいは
変わるのだそうだ
ぼくたちは
何も出来ないから
ぴすとるをうつのだ
あな ....
小さな女の子が俺に
だじゃもん ちょうだいっていう
だじゃもん ほしいっていう
だじゃもん ねえ だじゃもん
だじゃもん ちょうだい
だじゃもん ほしい
そういわれ ....
僕は虹が大好きです。
どのくらい好きといって、
僕のランドセルが
6時間分の授業の準備でいっぱいになって、
アルトリコーダーがささってるくらい、
そのくらい好きです。
少しわかりづらいけど ....
台所に座り込み
勝手口から空を眺めると
柿の葉が広がっていた
とても濃い緑
よく耳を澄ますと
じいい、と通奏低音みたいな
音がする
理由はわからない
たぶん夏の名残
もうすぐ ....
そして
冬将軍がやがて
この森にも流星を連れてきます
今夜は月のない晩なのでとても綺麗に見えるでしょう
私が待ち遠しいのは流星、
じゃなく、やさしさ
愛しい人の名前を呟けば
白い息ととも ....
そうです
あれがゾウです
あの巨体の半分は
「優しさ」で出来ています
あれはキリンです
あの長いくびは
星をたべるためです
いいえ
あれはゴ ....
それは自然のなせる業にはちがひないが
梢からまつすぐ
命中するやうに頭に降つてきた木の実
重たく硬い木の実
何か不当な打擲を受けたやうで
穏やかではなかつ ....
みんなが
「ケツ毛バーガー!」
と口を開けて喜んでいるうちに
人が死んだり生まれたり
した
しらないものが多すぎて
わたしたちはいつも
上手におぼれる
陽射しとは
なにを探し出すための
あかりだろう
こたえなどわかる筈もなく
求めるわけもなく
わたしたちはいつも
上 ....
おはようございます。
(みつとみ)は晴れた日が続かないと元気がなくなるようです。
そこで。
道ばたで(みつとみ)を見かけたら、
鉢にいれて、水をあげて、
晴れの日はテラスやベランダに置い ....
*
最近
妻が出来た
嫁を娶ったのではない
わたしは女であるから
正確にいえば
嫁の方から勝手に来たんである
或る夜のことだった
四百円を手にちゃらちゃらさせながら
....
◇雁
ビルの間を
雁が渡る
窓からいくら叫んでも
届かない
天上の
賑はひをもつて
◇火口湖
火口湖に
白鳥がひとつ
燃えて ....
いつの間にか知らない人が
座っていた
「どちらさまですか」
と言いながら
焼きたてのスコーンを差し出して
わたしも座った
誰でもいいのだ
もうすぐお湯が沸く
脈を取ると指先に
セミの鳴き声が
伝わってくる
僕らの身体の中にも
駆け抜けていく夏があったのだ
どうかお元気で
手を振り
手を降り返したあなた
あの日に
友だちでいてくれて良かった ....
わたあめの 中の
といだ 蜜
くぼみに溶かされた
まつり
包めないから
カーテンていうきれぎれに
爪にしか渡れない
ささくれ の 先
夕暮れの 歩道橋
見えるはず ....
プラットホームを行き過ぎる風
の形をした夜、の度に剥離する熱
を見送ってわたしたちは
さらさら、
最後の車両の跡地で長引いて
蛍光灯の微かな痙攣音とも分離しながらわた ....
はじめまして
しょっかくもどきです
むしのあたまにはないけれど
さんねんめになります
ネコをみるのがとくいです
どこまでつづいているのか
ときどきふしぎになります
こんなわたしですが
....
きりきりと張られた
暗い夜道
向かう音のない雨
片側だけで 聴く耳
もうひとつの行方
舗道を流れる
外灯の明りに
寄りすがり
つぶてに 落とされた 蛾
パタパタと 動か ....
小首をかしげて 鳥が
私の胸のあたりを
ついばむ
私は
驚きで声も出ない
鳥は
よくわからない
といった風情で
私の
腕をついばみ
ひょい、と脚に移って
ついばむ
小首を
....
深くみずをたたえて、湿度を高位にくばり、
森に沈みこむ薄化粧の木霊は、
香ばしい季節の賑わいを、端正に、はおり、
浮かび上がるみどりに浸る、
眩い光沢を、透き通る声の上に配して。
流れる ....
チーズになった
わたしとあなた
とろとろ
都会を
とろとろ
地球を
とろとろ
つつみこんでいく
やがて
おなかを空かした
とても大きな
ピンク色した怪獣 ....
「生き春巻」です
店員は言った
メニューを見直す
確かに「生き春巻」とある
生き春巻は時々皿の上でもぞもぞ動くが
その間も気持ちを見透かすかのように
目のようなものでこちらを睨み続けて ....
わたしの あたまを
からから まわすと
なないろの たまが
さいげんもなく でますが
ぜんぶ はずれです
その日
朝起きて鏡を見ると
顔が
武田鉄矢だった。
んなんですかぁ〜って
髪を掻きあげてみる
んなんですかぁ〜って
泣けてきた
女にフラ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17