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※いちにちめ
朝起きたら
靴から花が咲いていた
綺麗な花ではなかったが
あんまり堂々と咲いていたので
迷った揚句に仕方なく
会社へは裸足で行くことにした
※ふつかめ
朝起き ....
濁った沼のある寂れた町に
マリーという女が住んでいた
マリーの本名は誰も知らない
彼女は
夏の真夜中のような眼をした
中々の美人であったが
友達はいなかった
若者はみな都会 ....
道端に
鳥の死骸が落ちていた
それは
不時着した飛行船に似ていた
埋めてやろうかと思ったが
埋められるような場所などどこにもなくて
お祈りをしてもしょうがないが
思わず手を合わせてし ....
・
友人に
擬態する癖のある女がいる
よく家の中で
かくれんぼうをする
二人で
わたしが鬼で
十数えて振り返ると
家の中はしいんとして
空気がうす青い
百年前からこうし ....
帰り道
巨人が追いかけてくるので困った
新年早々
巨人に追いかけられるとは
何と因果なことであろうか
先が思いやられる
とりあえず
通りがかった神社に入って
巨人が通り過ぎるの ....
・
ずいぶん昔
わたしたちは恋人同士だった
あんなにも完璧に
理想的な形で
つながっていたのに
満月の夜だっただろうか
わたしが
あの柔らかな部屋から
いとも容易く
追放されてしま ....
・cigar(葉巻)とsugar(砂糖)
あ、
煙草をやめようかな
と思った
手を伸ばしたとき
箱の中に一本しか残っていなくて
でも寒くて
買いにゆくのが面倒だったから
五分間
....
つまさきが冷えるので
靴下を買おうと思って
鳥の格好をして表へ出た
別に態とではない
暖かそうな上着を着て
マフラーをきちきちに巻いたら
鳥の格好になってしまったのである
ためしに玄関マ ....
▽
どんなに長く電子メールを送信しても
恋人は七文字程度しか
返信してくれないのである
業を煮やしてメールを送信するのを止めると
次の日から
矢文が届くようになった
頬を掠めてすこん
....
*
魚は酸素を知らぬだろうか
暗い水辺に輪を描いて
あんなにも深く潜ってゆく
*
飼育係は放課後に
飼っていためだかを流してしまった
閉じ込められてるのが
可哀相だったって
....
今日もまた
放課後
シーソーの片側に座って
浮き上がれる瞬間を
待っている後藤くんは
自分を宇宙人だと思っているらしい
グラウンドには長く
影が伸びて
僕の生まれた星にも
....
ミサイルが発射される音が聞こえる
母が
台所で家計簿をつけているのである
インキは戦車のキャタピラのように
勇ましく前線を進み
赤い数字が攻撃目標みたいに
点々と書き込まれてゆく
エ ....
明日は晴れだそうだ
一ドルは百十四円だそうだ
独居老人が遺体で発見されたそうだ
宝石はみんな鳥に
持って行かれたそうだ
誰かが売春で捕まった翌日に
似たような誰かが
表彰されてい ....
街灯の並んだ道を
一匹のかぶとむしが
低空飛行して進んでゆく
信号か何かの
赤い光を受けて
目玉も背中も
海老のようにぴかぴかしている
かぶとむしは
曲がり角で
ゆっくり ....
がらんとしたうさぎ小屋には
冬の一等星みたく
赤いまなこが
ひかっている
かなあみに近づくと
わずかに薄荷のにおいがした
君だったろうか
呟いた息が白い
夜空には
おおぐ ....
ふとしたきっかけで
王様と知り合いになった
漫画喫茶だった
王様は玉座に座るように
リクライニングシートにもたれ
隣のブースに居たわたしに
飲み物を取って参れ
と言った ....
郵便受けの中に
蝶々の形をした手紙が
ぎっしり
留められている
わたしは
ピンセットを遣って
ていねいに剥がし
掌に落としていったのだが
手紙は未だ
生きていたらしい
あと ....
毎年この時期になると
瞼が退化するので
夜は
眼をあいたままねむる
口をあいていると
小さい生物の死骸が入るから
歯はくいしばるようにしている
深更
瞳孔がうっとりとひらき
....
*
最近
妻が出来た
嫁を娶ったのではない
わたしは女であるから
正確にいえば
嫁の方から勝手に来たんである
或る夜のことだった
四百円を手にちゃらちゃらさせながら
....
ことうさんの吉田ぐんじょうさんおすすめリスト
(19)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
朝起きたら
-
吉田ぐん ...
自由詩
22
07-3-15
喪服屋マリー
-
吉田ぐん ...
自由詩
17
07-2-25
鳥の死骸
-
吉田ぐん ...
自由詩
10
07-1-4
癖のある男女
-
吉田ぐん ...
自由詩
21
07-1-2
新年早々の話
-
吉田ぐん ...
自由詩
9
07-1-2
断片集
-
吉田ぐん ...
未詩・独白
13
07-1-2
似ているもの
-
吉田ぐん ...
自由詩
12
06-12-25
靴下売りと指人形
-
吉田ぐん ...
自由詩
10
06-12-20
恋人とのわかれ
-
吉田ぐん ...
自由詩
27
06-12-19
飼育係、或いは荒廃
-
吉田ぐん ...
自由詩
15
06-12-14
後藤くんのこと
-
吉田ぐん ...
自由詩
15
06-12-12
家計簿と戦場
-
吉田ぐん ...
自由詩
14
06-12-12
頽廃
-
吉田ぐん ...
未詩・独白
9
06-12-6
かぶとむし
-
吉田ぐん ...
自由詩
12
06-12-4
うさぎ殺し
-
吉田ぐん ...
自由詩
9
06-12-2
王様
-
吉田ぐん ...
自由詩
20
06-11-29
未収
-
吉田ぐん ...
自由詩
10
06-11-17
変貌する女
-
吉田ぐん ...
自由詩
14
06-11-14
妻の話
-
吉田ぐん ...
自由詩
27
06-10-6
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