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◇暮れ

年が暮れる
暗い時代の予兆は
そのままに

初日は
それらを
もろに背負つて
出てくるだらう


◇木にぶつかれば

蝸牛は彼なりの歩みを
何昼夜もつづけて
 ....
◇尾瀬ケ原


虹に遇ふ

もつとも

さやかなるときに



◇車窓より


白鷺は立つ

点々と



四、五枚の

刈り田に

一羽



 ....
市場通りに一尾の魚が落ちてゐる
眼は赤く悲しげに潤み
視線を曇天へと彷徨はせる
そして
路面についたもう一方の眼は
闇の地の深みを透視してゐる

魚は期せずして
天国と地獄を
同 ....
夢に月が現れて

どうしてあの山荘に

月見に来なかったか

と咎められた

バイトだよ 

欲しいゲームソフトがあったのでね

そうやっておまえは

取り残されていくんだ ....
 
今朝 
露にかがやいて
咲いた朝顔が

のこらず 
消えてしまつた

―小鳥が来て 
食べてしまつたわ―

と 
その家の母親は 
呆れ返つたが
 
真実は 
その ....
来る日も来る日も
欲しいだけの陽は降り注ぎ
水の恵みも充分受けてはゐたが
代はり映えのしない日々に
嫌気がさして
葉叢のなかの一枚が
ある日 ひらりと裏返つた

―決して気紛れでは ....
それは自然のなせる業にはちがひないが

梢からまつすぐ

命中するやうに頭に降つてきた木の実

重たく硬い木の実


何か不当な打擲を受けたやうで

穏やかではなかつ ....
◇雁

ビルの間を

雁が渡る

窓からいくら叫んでも

届かない

天上の

賑はひをもつて



◇火口湖



火口湖に

白鳥がひとつ

燃えて ....
 


深夜に

マリをつく者がゐる

深いえにしの糸で

操られてゐるかのやうに

マリは闇の奥にのがれていきはしない



人がマリをつき

その手をもう一つの見 ....
 港


港には

船ばかりか

多くの鳥が

入港してゐる





 夏蝶


夏蝶は

すーと

日の果てへ

吸ひ取られていつた



 ....
喪服の婦人が森から出てくる
入れ替はりに
首うなだれて一羽の鶴が
森へ吸ひ込まれる


霧たちこめて
婦人も鶴も胸まで霞んで
二者はどこで擦れ違つたのだらうか
ともにもういづこに ....
山麓の寂しい町に

月はかうかうと照つてゐた

すべての人が

月を見たわけではないけれど

みんな

ボールを胸に抱へるやうにして

眠つてゐた
ことうさんの杉菜 晃さんおすすめリスト(12)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
小詩集__日は出づ__暗き予兆のまま- 杉菜 晃自由詩2007-1-2
小詩集__雪の扉- 杉菜 晃自由詩15*06-12-4
路上- 杉菜 晃自由詩14*06-11-9
月が出た_夢に出た- 杉菜 晃自由詩10+*06-11-3
朝顔のゆくへ- 杉菜 晃自由詩10*06-10-31
気紛れではなしに- 杉菜 晃自由詩15*06-10-25
頭に弾いた木の実について- 杉菜 晃自由詩12*06-10-14
雁__火口湖__山肌__他_・・・- 杉菜 晃自由詩12*06-10-5
マリ- 杉菜 晃未詩・独白5*06-9-27
港__夏蝶__闘鶏__……_- 杉菜 晃未詩・独白7*06-9-21
- 杉菜 晃未詩・独白8*06-9-7
- 杉菜 晃自由詩11*06-8-29

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