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彼女は
掃除機と
手を組んだ ようだ
横たわる 私の周りを
ぐるぐる
ぐるぐる
包囲した
つもりらしい
しかし
一言だけ
掃除機で
私のことは
吸えや しないぞ
あわあわして
浴室であわあわして
からだにあわあわして
指先で書くでしょう?
でもね
気づいたのです。
相合傘が
あいあいがさが
あーいあいあい
あいあいがさが
もう
だ ....
まもなく世界が終わります。
まだ手続きのお済みでない方は
2階の受付カウンターへお急ぎください。
現在の世界への名残惜しさが捨てきれない場合は
3階のメモリールームで
一部を一時的に預からせ ....
くぐり抜けていく
いつも裸足だ
闇のそばでは
どうして自分だけは
かわらなくていい、などと
つぶやいていたのだろう
ああ、それはちがうよ
タングステン
熱で溶 ....
コルクにあわせた
瓶などないのに
飲み ほしたら
捨て去られるだけなのに
杖のように立って
流れていかないように
静かに仕事をしている
歌われないことなど
気にもしない ....
ぼくらは
ゆめをくう
ねじまがった
すぷーんで
すくいながら
ぼくらは
ゆめをくう
ふるえるうでに
ありったけの
ちからをこめて
くるくる
ひとみをだきしめながら ....
夢に月が現れて
どうしてあの山荘に
月見に来なかったか
と咎められた
バイトだよ
欲しいゲームソフトがあったのでね
そうやっておまえは
取り残されていくんだ ....
かなしいことがあると
星座をつくるの
ぼくのかたおもいしてた
黒いルビーの瞳のおんなのこ
夜空を指差し
星座をつくる
ユニコーン座
ふでばこ座
黒猫座
かたおもい座
そしてあれ ....
くだらない誓いをした日からか
それよりもうちょっと前からか
僕はもう一人ではなにもできません
今まで一人でできてたことが
二人じゃないとできないようになって
とても情けないです
男 ....
あたし、くちびるが花びらで
いつも
ちょっとしょっぱい
くるしい感情はおっぱいがつくってて
って言ったら
すぐわらうきみです
あたしの
おっぱいはまるい
人並みにまるい ....
葉っぱが舞う校庭
都心の小学校
少女は
アーバンコートの校庭に
いつも上履きで駆け出し
そして遊んだ
外履きに履き替えるのは
校庭の隅にある「自然園」に入る時だけ
自然 ....
今朝
露にかがやいて
咲いた朝顔が
のこらず
消えてしまつた
―小鳥が来て
食べてしまつたわ―
と
その家の母親は
呆れ返つたが
真実は
その ....
君の寝ている隙に
本を開いてしまったよ
手のひらと同じくらいの大きさの
くたびれた表紙
真ん中より後に挟まれた栞
海の色をしている
波の音が聞こえそうで
耳を澄ませば
君の静かな寝息
....
十五に満たない女の子が
いのちを
空に差し出した
私は
彼女にかけることばを知らない
生きていれば
きっといいこともあるんだよ
なんて
そんなこと言えない
誰かが
きっ ....
水がめから
水を出して
米を炊く
水がめから
水を出して
みそ汁を作る
水がめから
水を出して
魚を洗う
いろりで魚を
焼く
顔が黒くなる
水がめから
水を出 ....
きょうの風は
きみの笑顔の
香りがする
きょうの空は
きみの心そのままに
澄んでいる
そして
きょう
きみは
きみの中の
海にかえる
かわいた中洲は
鳥に埋もれ
流れはただ
飛沫の跡を運んでいる
望まれぬものが橋をすぎ
影は明るくひろくなり
音や色に梳かれては落ち
にじむように流れを濃くする
....
僕らは縄跳びをします
回数はとっくに僕らの歳を超えて
縄の外、日が暮れていきます
僕らは縄をなくし
それでも縄跳びは終わることなく
気がつけば僕らは形をなくしています
誰もが僕らのこと ....
一日の疲れを
シャワーで洗い流していた
湯舟には
二本の髪の毛が組み合わされ
「人」という字で浮いていた
水面でゆっくり回って逆さになり
二本の毛の両端がくっついて
....
ラジオをつけると
聞いたことのある曲が流れていて
愛とか希望とか自由とか
そういったことを叫んでいた
壁に掛けてある絵は
何の絵であるのか解らなかった
右下の隅に小さな文字で
ユリネ ....
1
西野が平原を歩いていると、前方に小さな小屋が見えた。小屋には東西南北に四つのドアがあった。
西野は南側のドアから入ろうとしたが、小屋の中には入ることができず、そのまま東側のドアから出て ....
うたたね ひつじたち
はる の あったかさ
ひるさがりに
まくらのしたから うまれて
ばんごはんのじかんに
また かえってくる
みどりのにおいの かぜに のって
ふうけいを ....
夜中、リビングに降りると
テーブルがひとりで
テレビを見ていた
外国の戦争映画だった
たくさんの人が
次々に命を落としていった
リアルなくらい
みな清潔な最後だった
突然テーブ ....
さくらがみたいのと
おまえは呟く
けれども
おまえの為に
こんな時期に
桜は咲いてくれないのです
ようちえんにいきたいの
とおまえは呟く
しかし幼稚園は日曜日に ....
いくつかの橋が
思い出せないでいる
名前を覚えなかった川の
こちらとあちらを
思い出せないかたちで
きっといまもつないでいる
完全なものが美しいと
君は言うけれど
不完全なものは
....
音をつまみ
降りてくる
曇の端に
奏でられるとき
わたしのなかの
水であるもの
いつわりをとく
筆を洗う
ふりつもる底
浅い水紋
沈みひろがる
音を見 ....
*
もはや
時の流れは緩やかです。
それはそれは
気が遠のくばかりです。
ええ
そういえばあれから
もうずっと人間を
見ていません。
けっきょく ....
*
彼女は
心音の優しい娘でした。
共に暮らした日々に
確かな安らぎと幸せを
感じました。
きっと
愛していたのだと
思います。
なのに ....
あの
白い薬局で手に入れた
不老不死の薬は
思ったよりずっと甘くて
胸やけなんかしたりするのでした。
どうやら
それが最後の2つらしく
ちょうど「売り切れ」の札が置か ....
避けられ 切りとられた夜を
小さな熱の泡が昇る
風のなかの水の群れ
崩さないちからへ向かう群れ
壁の傷は洞のように
しずくのこだまのようにつらなり
やがてしたたるそのま ....
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