すべてのおすすめ
おきぬけに
大事なことを思いだし
顔をあらって
みつめようとするけれども
それはもうそこにはなく
かわりに
まずい水を
飲み干さなければならない
右あし二回
ターン
左で三歩
それは
すばらしい
が
わたしには
みこすり半にしか
みえない
誕生日に
夜景とシャンパン
精子くさい
演出
おまえら
もしか ....
へやじゅうに散らばるこまかいつぶを一つぶずつ拾いあつめ
へやの
左がわにもっていき
さいごの一つぶを左がわに置いたところで
いちばん左がわの一つぶから
右がわへ
もっていく
死ぬまで ....
死にかけの卵を袂に温めて知らない男に強く抱かれる
そらを見ている
木曜日
ふとんにすわって
見ている
窓枠のほこりが
すこしひかって
あちら側では
木曜日が
ちゃくちゃくとすすんでゆく
ビルが
あまりにもするどく
直角をつきたてている
空はよろこび
(そらはおんなか)
鳥が飛んでいる
たまに焼けながらおちてくるのを
ゆうめしにしようと
待ちうける少女
おめで ....
きみはこごえて
字がかけない
ぼくは知っている
することができる
そんなに凍った足は
すばやくきりおとして
どこまでも歩いていく
おもいが
強すぎて
なにもつたわらな ....
ぞうのとなりで
きりんのあかちゃんが産まれる
月夜、月夜
メーテルになりたかった
冷凍庫から
いちじくを出して
季節のなごりを食んでいる
月夜、月夜
だれかの
アイロ ....
犬まどろむ
午後はみじかい
風は陽射しを忘れ
季節は
かんたんにわたしを置き去りにする
ぼくは
とじこめられた悲しみ
爪を噛むなよ
あきらめろよ
ぼくはとじこめられた悲しみ
届けられない葉書
みわたす限りの
こすもす畑に
種を撒いていた
きみだ
きみだ
きみ ....
あれ以来
すっかりしなびた果実に
水をやりつづけて
きみの指は
完ぺきにふやけてしまった
(夜よ
やさしさは
こんなにも目に見えるのに)
きみは
まだ自分が
強い人間な ....
ないしょのことは
ないしょにするから
それまではあそぼうね
夢でも会えるし
いますぐにあいに行くこともできるよ
のぞめば
のぞめば
いつでも
現実は直角に交わるし ....
よしなさいよと言われても
夜な夜な無意味な逢瀬に応じ
しなしな軋む体は重く
由無い出会いはしだいによしな
女の子が産まれたら
愛子という名前はつけない
愛という字を
書き慣れてほしくないから
女の子が産まれたら
しのぶという名前はつけない
耐えしのぶなら
逃げてしまいなさいと教えたいから ....
ひるまの電車はがらがらで
まるでちがう人生みたいな顔をする
はれていて
あかるくて
がらがらで
まるで
ちがう人生に乗り込んだみたいな
わたしが
わたしだって
だれも ....
降りそそぐのを
右から整列させる
ぼくはもう
だんだん
目が暗くなっている
あかるいテレビから
もれる笑いごえが
喧騒が
壁をつくる
あしもとをぬらす
ぼくは
もう
だんだ ....
わたしが
波になるから
あなたは
なみうち際になって
いろんなものの
死骸が
流木のように
なめらかにうちよせる
そろそろ
語り合うのは
おしまいにして
あた ....
へやに
入りたくない
たとえばの
話をしよう
たとえば
わたしが
あなただったら
とか
空が
海だったら
とか
たとえば
あなたが
あなたじゃなかったら
と ....
なにも言ってなかったけど
おりたたんだ夜をポッケから出して
さあこれからはひとりで生きていくんだよ
と
目は
そんなふうに
そんなふうに
記憶もだんだん
おりたたまれて
からだがかわいて
つかえなくなった
晴れた日があれば
わたしを日なたにつれていって
骨までちゃんと
腐らせてください
残ったのは
氷の溶けたグラス
半分空いたボトル
そのグラスのふちあたり
ボトルの空洞のあたり
過ぎたもののかたちは
残ったのは
口づけ
残ったのは
あなた以外のすべて
....
秋晴れてんたかく、
静止した窓のむこう
水たまりを揺らすような声が
こだまする
静止した窓の向こう。
つらなる洗濯物の束の白(いたい)
枕にうもれた
寝顔のただしさよ
....
せかいがもう
徹底的に
やさしくなっちゃって
きみを
守りたかったぼくは
傷つけるとこから
はじめた
宇宙はこわれて
とろとろの熊になった
やわらかで許された
ひとりぼっちの熊
わたしが出会うのは
その熊の孫の孫の孫の孫
なのだけど
まだだれも知らない
とろとろの熊しかいない
....
空きびんのそこに
ひかりをいれるやりかた
まくらについたにおい
夜のしみついた
空きびんのそこにある
ひかりみたいに
安っぽく
安らかで
失われやすい
性質だったな
....
よるの
うろこぐもみて
あるいてると
およいでる
生きたい
と
おもいながら
生きていける
ようになるのは
いつだろう
それはいつもそこにあるから
しかたなくて
必死にいのちを擦りあった
てんてんと開いたあなから
すこしずつながれだして
しかたないから
必死にいのちを擦りあった
かなしくもない ....
月夜に
クロール
前進は
藍を割って
どこにも
届かない
それでいて
暖かい
指先は
ゆっくり
夜に染まる
わたしたちはそこに腰掛けて
ふたりで缶入りのウーロン茶を飲むの
素敵でしょう
すべての終わりに
そしてそれから
あなたはわたしに傷つけられる
信じられないかもしれないけど
....
ロージー
なあ
いらないよな
しあわせなんて
いらないよな
ロージー
金なんて
いらないよな
ロージー
なあ
季節なんて
いらないよな
いらないよな
ロー ....
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