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色吸いはたとえば
女のこたちのまつ毛のなかに住んでいる
彼女たちがねむたげにまばたきをするときには
世界の端の七色を
色吸いたちがひそやかになめているのだ
だれもきょう
ここにいなくても良いのだ
錆びたてんびん座
図形
意味なしのことば
切り分けられる空間
ここにいなくても良いのだ
うつむかなくてもいいし
生きていなくてもいい
....
そのときわたしは息をとめていたし
世界はないも同然だった
前でも後ろでもおなじことだ
どっちにしろ転ぶのだ
夢のような一瞬ののち
美しいさびしさとひきかえにして
すずめたちがやって来て
シーツに吹きだまる夜を食べていく
身体があんまりかるいのに
心ばかり重たくてやりようがない
びしょびしょにつかれるまで身体をつかいあって
腕もあがらないで笑っ ....
たのしかったことを
思いだして
はずかしくひかっている
夜になるともう少しつよくひかるから
待っていてほしい
待っていてほしい
それを
なんと言うのかわからないでいる
なぜうつむくの
笑いながら
一日ぶんのいとしさは胸へ仕舞われて
綴じるばかりで待っている
幸福のさなかで
なぜうつむくの
言葉にしなければわからないのに
言葉にしたら終わってしま ....
ライオンがほえている
わたしは古いつめを捨てて
たてがみをなでてやる
わたしたちはもう
遠くへは行かれないのだ
望んではいないから
いつだったか
夜のふりをした朝が
あなた ....
夜明け
繰り返される 割れ を
完璧なものにするために
うしろむきにとぶ
じゃあじゃあ流れつづける時間
それ わたしのだよ
ひねる うねる たおれる
それ
音よりさきに
....
群れからはずれた ひつじがいっぴき
光に打たれて たっている
かなしいでも
誇らしいでもなく
ひつじがひとり たっている
まるく くらい 影をおとして
ひかりがひつじを 打っている
....
だんだんと
忘れたように
白くなる手足をして
朝 晩 かまわず
ひとを待つのは
あさましいことと思いながら
紙のような心に
置いた石ひとつ
どうにも平べったくて
転がることも ....
朝で、
きみの床に光が当たっている。
しずかな街は
すこしずつ意味を手ばなして
もうすぐ、見られるようになる。
わたしたちの床にも
光の当たるところを、見られるようになる。
....
鉄塔がみえる
ランプがみえる
看板がみえる
夜がみえる
明滅がみえる
街の端
夢を食べればいいじゃない
これが何か
わからないなら
泣きながら眠っている
わたしの夢たち ....
あなたが息を吐くたびに
わたしが息を吸うこと
あと何度めで気付かれるだろう
ちぎれかけた紐
抜けかけた柵
割れそうな風船
コップのふちに集まる悲しみ
こぼれかけ続けて
すっかりわか ....
あんまりつよく抱かれたもので
そこだけ空間が色づいています
さわってみると、
わずかにわずかに
抉れています
夕暮れは欠落を得ていっそう華やぎ
わたしは
わたしは、
いったいど ....
ざらついた紙に他人の夢をうつすばかりで
自分の願望をみるひまがない
どんどん器用になるきみを
抱くことができなくなりそうだ
雨の降るように泣くんだから
嘘を言ってくれよ
その痣みた ....
女の子たちが夏休みをしている
いろんな陰のなかで
いろんな汗をかいたり
夕焼けが日ごとに赤くなるのに
あせったりして
わたしもかつて女の子だったけど
いつの間にかそれらは失われてしまっ ....
良いのかどうか
問いかける気持の裏がわで
浮かんでいるふたつのひざ小僧
がさがさで傷だらけでちいさくて口をつけたら割れそうだった
ママ
と言ったかどうかは
おぼえてない
言いたか ....
花はまだ
文字をしらない
文字をしらない花を抱いて
庭に二人ぶんの影を落とすと
わたしもまた、
文字をなくして
おそろしいくらいのすべてに
抱いてもらえます
年老いた椅子
かわいそうに
傾いで
奇妙な靴を履かされて
わたしたちがした
キスのようなもの
抱擁のようなもの
こみあげ続けた
愛情のようなもの
は
でも
最後まで溢れは ....
みんなうたわなくなった
夜も 朝も 雨の日も
すっかりあかるくなった
鼠はいなくなった
もぐらはとっくに死にたえた
人びとは 健康であった
ギターもピアノも自動で鳴らされる
楽譜 ....
なにひとつ
ただしくはなかった
空白をうめるようにする
女のからだでは
ただしくはなかったかもしれない
すがるように言葉を編むこと
空を濁らせる 嘘を吐くこと
つめたい気持ちに線 ....
ため息のような光をむすんで
いくつかの夜に糸を張った
いまやそれはつめたい手のように
こぼれおちる影をやさしく拾っている
あなたの黒い長い髪がうたうたび
わたしの胸はいちいちこまかく傷つきました
海岸のガラスみたいになめらかにちいさくなっていくわたしを
拾いあげて陽に透かして
その美しい呼吸を一瞬でも止め ....
なにか忘れそうなきがしている
なにか
雪が降っている
空が濃く青い
皮膚が張っている
忘れそうな
あなたは昨日から
水色のズボン
なんだっけ
夜は冬の気持
水玉の靴下
泣きご ....
あおじろい保安灯に
むくんだ肌がうつっている
こちらはかさかさに渇いているが
蛇口からは水
春はゆっくりやってきた
さいごは けれど
引き鉄をひくように
桜をたべたら甘かった
....
0が1を
たべつくして
朝になっても
明るくない
うすく凍りついた水たまりを割ると
世界の底で
あなたがスープみたいに眠っている
1000日まえに
あなたがはじいた額のうぶ毛が
わたしの下腹であわい振動となって
いまではすっかり花のよう
つぼみとも種ともつかぬ時間が
おいしい毒になって
いつかあなたにも届くと ....
よごれて
あなたは笑っていた
ちかちかする電灯をつけて
陽気な詩を読んでいた
「星がながれるころ」、
歌いだしたとき
詩だと思っていた
( )を忘れたい
ほとんど白い ....
ひかりはやみとあらそいながら
ちいさな点を穿つのだ
愛の横でみたされながら
永遠にあしたは来なかった
きれいな線をひきながら
境目づいたからだのなかで
ひかりはやみと抱きあいながら
....
ここがどこかわからなくなってしまう
眠っていたわけでもないのに
あなたはわたしと太陽のあいだにたつので
そうか、いつも
ちょうどまぶしい
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