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君のその白い腕に
ふれたいよ
君のその首すじに
髪の薫りを
かぎたいよ
瞳と瞳を一つに重ね
すべての世界を
溶かしたい
*
( 車窓はいつ ....
平日の夕暮れ
みすぼらしい服を着た中年の男は
公園のベンチに座り
モネ展の「日傘の女」のポスターを手に
喰い入るようにじっと見ていた
それを横目に歩いていると
前から乳母車を ....
その本を開くと
一遍の詩が終わる{ルビ頁=ページ}の余白に
{ルビ紐=ひも}で結んだ「空の鏡」を首からかけて
両腕をひろげた小人が
立っていた
その本を手にした読者の
誰も知 ....
桜舞い散る春の日
正午の改札で
杖を手にした祖母は
ぼくを待っていた
腕を一本差し出した
ぼくを支えに
大船駅の階段を下り
ホームに入って来て停車した
東海道線の開 ....
十字架のネックレスをした女は
今日も「通りゃんせ」の鳴る交差点を
紅いハイヒールで夜へと歩く
人知れぬ部屋で
男に{ルビ接吻=くちづけ}られる
濡れた首すじに
垂らした十字 ....
ファーストフードのレジに並ぶと
厨房に立つ店員は
{ルビ神業=かみわざ}の手つきで
ハンバーガーを さっ と包み
すい〜っと横にすべらせる
「あれじゃあまるで、モノじゃあないか・ ....
植木鉢に身を{ルビ埋=うず}め
体中に
針の刺さった
裸の人形
{ルビ腫=は}れ上がる両腕のまま
{ルビ諸手=もろて}を上げて
切り落とされた手首の先に咲く
一輪の黄色 ....
今迄
子供のように手を伸ばし
あれがほしい
これがほしい
と駄々をこねて
なにひとつ
この手につかめず
「幸せ」はいつも砂になり
指のすき間から流れ落ちた
....
「個人的なジコが起きたんだ」
老人ホームの会議で夜遅くなった帰り道
同僚は先日別れたばかりの
妻と子の話を切り出した
涙を{ルビ堪=こら}えた瞳で手を上げた彼は
交差点を渡って
....
その人の瞳の内に
永久の春が在り
遥かな昔から
桜の木が立っている
冬の冷気を越え
降りそそぐ春の日射し
今にも開こうとする無数の蕾に
こころは{ルビ軋=きし}む
....
昨日はきみを傷つけたので
布団にしがみついて
うつ伏せたまま
闇のなかに沈み
眠った
夜が明けて
目覚めると
窓枠の外に広がる
朝焼けの空
ふわりと浮かぶ
....
コンビニのレジの後ろに
「 迷子です 」
と貼り紙のついた
こどもの靴が置かれてた
つまさきをそろえた
寂しげな迷子の靴
なぜかぼくの足にぴったりに思え
後ろ髪を引かれ ....
昨日は職場のおばさんの
くどい{ルビ小言=こごと}に嫌気がさして
かけがえのない他の人さえ
土俵の外へうっちゃり
しかめっ面でひとり相撲をしていた
昨晩見た夢のなかで
旧友 ....
目の見えない人が歩く
前にいる友の背中に手をあてて
目の見える僕も歩く
いつも前にいる 風の背中 に手をあてて
そうでもしないと
ささいなことで気ばかり{ルビ焦=あせ} ....
幼い頃に広かった幼稚園の庭。大人になって訪れると
不思議なほど狭くなっていた。密かに憧れていた保母
さんは、ふたりめの赤ちゃんをだっこして。お腹の太
ったおばちゃんになっていた。
年を重 ....
ましろい表紙の中心に
産み落とされた
原石の塊
見えない核に宿る(詩)に結ばれ
六つの方角へと
自らの背を伸ばそうとしている
( 遠天の夜空に燃える太陽
( あるいは明け方 ....
朝の駅構内ベーカリー
カウンターに座る僕の傍らには
湯気が昇るホットティーと
サランラップに包まれたホットドック
開いては閉じるガラスのドアの向こう側で
すでに動き始めている東京 ....
北大路京介さんの服部 剛さんおすすめリスト
(77)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
夢の花
-
服部 剛
自由詩
13*
07-4-16
「_日傘の女_」_
-
服部 剛
自由詩
6
07-4-16
「_空の鏡_」_
-
服部 剛
自由詩
10
07-4-15
老婆の休日
-
服部 剛
未詩・独白
12
07-4-15
マグダレナ_〜渇いた女〜_
-
服部 剛
自由詩
10+*
07-4-14
手遅れな男
-
服部 剛
未詩・独白
9*
07-4-12
さぼてん_
-
服部 剛
自由詩
12*
07-4-1
「_両手の皿_」
-
服部 剛
自由詩
9
07-3-29
青炎の花_
-
服部 剛
自由詩
6*
07-3-28
「_桜_」_
-
服部 剛
自由詩
16*
07-3-23
「_夜明け_」_
-
服部 剛
自由詩
11*
07-3-19
「_迷子の靴_」_
-
服部 剛
自由詩
13*
07-3-18
弱者の拳_
-
服部 剛
自由詩
15*
07-3-13
風の背中
-
服部 剛
自由詩
12*
07-1-22
遠い鐘音
-
服部 剛
自由詩
13*
07-1-13
「_反射熱_」_〜創刊に寄せて〜
-
服部 剛
自由詩
16*
07-1-3
新橋駅・午前八時五〇分_
-
服部 剛
自由詩
10*
06-12-4
1
2
3
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