空を行く
風ほどに軽く満ちていたい
鳥の翼を
ささえ得るほどに

空に吹く
風ほどに軽く満ちていたい
様々な音を
伝え得るほどに

何かあるように見えなくて
それでいい
雲はた ....
大事なことは
お金では買えません
そんなふうに書いた本を
お金で買った

愛は
平等とは程遠い
愛は地球を救わない
チャリン
誰かがコインを投げる

因果応報とは

食物連 ....
教えてほしい 
あの空の青みの 
ほんの隙間の翳りの中に 
何を見いだし詠うというのか 

たおやかに流れる川の
水底に沈む
ひとかけらの悪意を
掬って頬張った 
その後の嗚 ....
干渉には謎が多い
さんずいが移動すれば
汗歩
スウェット・ウォーキング
肌着が ほんの少し 
重くなり


川を
もう腕まくりしている
実在の生物のような
「水」の鱗が
死なな ....
君は控えめに微笑む

今僕がここで笑ってもいいのかなって

君はそぉっと思いやる

おせっかいにはならないかなって

まだ

子どもの大きさしかない君は

その内側で

広 ....
私 帰るから

駐車場で 車に荷物を入れている 夫に
私は 口走っていた

何か言ったか とふり返った時
もう 走りだしていた

このまま 新居になんか行きたくない
結婚なんてしなけ ....
薄暮れて
眠り続けた一日が
黄昏に、朝と夜とを迷う視界に
君の小さい、窓辺に向かう後ろ姿が


棚引いて


まだ平原には届かないから
打ち寄せる波がこちら側を削っていくのを
た ....
私は今、顔を猿のごとく真っ赤にして酔っ払っているのである。 
なぜ酔っ払っているかって?
それには深い、深い、わけがあるのである。 
女に振られたって?
そんなのは日常茶飯事朝飯前であ ....
トマトのように
赤々として
たのしそう

トマトのように
ぐちゃぐちゃとして
にくらしそう
その日の朝早く雨が降っていた
夜明け前からその雨は降っていた
雨は静かな音を響かせていた
それが本当の雨だったのかどうか
わたしにはわからない
すぐにまた眠ってしまったから
その日、だれかに呼ばれたような気がして、家から外にでた。近所の、さくらの並木通り、書店でコミック雑誌を買う。花を見ながら、小学校の前を通りすぎ、病院へと向かう。となりのレストランの、外壁の大きな鏡に、 .... 紫陽花が咲き乱れるそんな雨の日には
ひっそりと人は死んでいくのだと
昔 誰かに教わったような記憶がある

新薬開発のアルバイトで
一週間も引き留められて雨のなかを帰宅する
玄関口 傘も ....
そう、処置された者達。

醜いか


美しいか


その身に抱えられた2つの半月は
常にその者達の所有となり
つまりは
人から、空へ。

大激痛と塩辛い水によって
形成 ....
僕には、
{ルビ鈴香=すずか}、{ルビ京香=きょうか}、{ルビ由香=ゆか}の三姉妹がいました
{ルビ次郎=じろう}君は彼女たちと一緒に暮らしていました
彼女たちにはそれぞれ次郎君の子供がいて
 ....
一.

 俺の知らない赤で
 雲が光の中で
 死んでゆくんだ
 今も

 おまえの知らない青で
 波が砂の上で
 壊れてゆくよ
 ほら

 見ろよ
 カモメの親子が今
 俺 ....
      ――Sに



ばらばらにされる
    (君のせいで)
        俺が歩く その先々で
俺は自らの破片をばら撒いてゆく
    路上に
        天井に
 ....
語らう小鳥の 囁きも
野を渡り疲れた 風の旅行着も
みんなみんな小綺麗に 仕舞い込まれています
雨の衣服のポケットに
消えた森、そのものが すっかりと
畳み込まれているのです

 だから ....
探しものは
なんですか?
もしかしたら
「あの時追っていた夢」
ですか?

あ〜〜〜
残念っ
それならばもう
消費期限が過ぎて
腐ってるみたいです

もし・・
あきらめる事が ....
あなた方の先祖は
地図も持たずにこの地にやってきた
古老は語る
女王に出会った古老の声は
氷に響き
すべてのものを永久に循環させる
無限を与えられたものは
氷に封じ込められる
なべを火 ....
夏のおわりが近づいたのだよと雷鳴が耳元で囁いた夜
わたしは小さなわたしの左の乳房にもっと小さな小さなひとつの石を見つけました
まるで岩陰に潜んででもいるかのようなこどもの石です
いつのまにこんな ....
失われた街が視界のなかを流れる。
忘れられた廃屋に寄り添う墓標の上で、
目覚めた透明な空が、
真昼の星座をたずさえて、
立ち上がる高踏な鳥瞰図に、赤い海辺をうち揚げる。

繰り返し、磨きあ ....
唐突のようではあるが私の中に歴然としてある、死体観及び廃墟観について述べたいと思う。死体観などと云う言葉はないけれど、詰まり「私にとって死体とは何か」を今ここに記したいのである。

死体は、死んで ....
回転木馬が
ひっくり返って
首がない

恐ろしい光景を
日常化する
ところてん

風景が摩耗化してからは
錆びたナイフで
リンゴを切った
ジャムは
煮詰めるから
どんなに甘く ....
数日前の夜
ホームページの日記で、
遠い空の下にいる友が恋人と別れ、
自らを罪人として、責めていた。 

( 自らの死を越えて
( 生きる明日への道を見据えていた
( 彼女の瞳は光を宿し ....
                           (喪失の物語)



彼女が大切にしている
ガラスの瓶には
嘘のかけらがたくさん詰まっていて
かけらをひとつ噛み砕くたび
嘘をすら ....
はたらけど
はたらけどと言う
ほど働いてないし
空を眺めてると
涙が出そう
 って君は嘘をつく
ときどき
そういう意味のない嘘が
心地よくてしかたがない
今日も
暑い一日
蜩は
まだ鳴かない
相変わらず僕は間が悪く
グラウンド ....
昆布の匂いがする、と

おんなの言うままに
おとこはそっと確かめてみる


漁師町で育ったおんなは
季節ごとの海の匂いを
知っている

おとこは
ただなんとなく海がすき、とい ....
りんご農園の気配の残る

最後の番地を通り過ぎた

その先の道のりの限られた長さが

無限に区切られているかのような

実在しない旗の行列

この世の果てを先送りにして

にぎ ....
自動販売機のなかには
シーラカンスを気取るのが居て
夜になると
腹びれを振るわせて
反対側の中州に登り
ニイタカヤマノボレと
大きな顔して
電話して
スクワットする夜間割引券と
交換 ....
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