すべてのおすすめ
頭を胸のなかにいれて
ただしい頭蓋骨のかたちをおぼえる
そのあいだじゅうあなたはずっと息をひそめていた
かるいからだを持ち上げて
ただしい体温のおもみをおぼえる
そのあいだじゅうあなたは ....
光の輪を頭にひとつずつのせて こどもたちは 昨日をすこしずつ食べている ひとりひとりが 光の輪を頭にのせて
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肌を投げ売るきせつのこども わたしたちは いつそこを出たのかしら 皮膚を ....
覚えている。
まつげ。くちびる。あごひげの、長いところ、みじかいところ。つむじ、寝ぐせ、大陸みたいな背中。せまいキッチンの、ほこりをかぶったトースター、使われたことが一度もないみたいな炊飯器。ひ ....
寒の戻りの晩春の
西高東低の風は
足元に散るクワの枯れ葉を
へその高さに舞い上げて
ローン・ウルフを気取るぼくの
たるんだ下腹さえも
その隔てのない包容力で
寒気のまにまに漂わせた
....
うしろ向きに歩く
温い風が背中にささって
微妙な痛みを感じている
「すべての季節がおわったらあいに来てください」と
そう言ってきえていったきみ
はじまりを忘れてしまったか ....
胎内回帰するということは
生まれる前に
だから
死ぬということだ
焼け野原に相応しい
焼死体になって
あの
焦げ付いた口授に
相応しい
呼吸すらしていない
未熟な身 ....
冥王星は遠いし
最果てはもっと遠いし
飛行機は怖いし
人殺しはもっと怖いし
自分は馬鹿だし
隣人はもっと馬鹿だし
結局だれかに支えられたかったわたしの人生と
異世界の哲学に恋 ....
{引用=ジャンクフードからドッペルゲンガーまでを
わたしの小さな世界の一員と認めて陳列したストアで
コスモポリタニズムを宣言するの。
エキセントリックな彼を愛する彼がとても好きだから
シャネル ....
真っ暗な道を歩く
家に帰るために歩く
息が白くて
寒くて
視力がだんだんおちてきたせいで
星は見えない
赤いマフラーをつけた
上級生数人が
わたしの横を通り過ぎる
足が細くて ....
一面に垂れこめる月から
頬笑んだ顔が落ちてきて
ここには
僕をつなぎとめるものなんかない
つぎの船を渡って
みんなみんな行ってしまうよ
指をからませながら
だけど母さん
僕に世界をくれ ....
日焼けしたノートを化粧水に浮かべたら
ゆっくりとしずみまして
鉛筆がしみこみケシゴムでは消せなくなっていた
輪郭だけが浮かんでいる
二年ぶりに再会した人の印象は違っていて
化粧が変わった ....
ねえアリス、私わかった気付いたんだ神様はいないって
昨日の朝ヘッドフォンで耳をふさいで散歩して太陽の光を見ていたら、気付いたんだ
それでね、私がなぜこんな地上の道を歩いているかと言うと、それは愚か ....
安っぽいネックレスに
ラズベリーの色がしみついて
ドライブの途中
夜明けを待たずに
海へ着いてしまうよ
ハイウェイの甘いライトは
ちょっと刹那的だよね
レコードの針が折れちゃった ....
{引用=「しらねえよ」
「条件はコンドームだけだこれでどうだ」
不倫で良いから抱いてよ、とは言いませんけど、
無料で若い奴とできるんだ、何も都合の悪い事はないでしょう
こち ....
えれえるえろてかえろていく
子は鎹親のこころ子知らされず親知らず抜かされずおずおずと出された鉢に手を叩かれて蝿に集られて附けられず続けられず告げられず悩めず出あわず生み出されずなにもつくらず営ま ....
「永遠の純情セブンティーンでいたいです☆」
ってあの娘
汚れてるくせに
あの娘は私と一緒といた頃とは全く違う人間になっていた
私はあの娘がいけいけのセブンティーンだった頃に
わかりもしない哲 ....
「ムササビはセックスした後の精子が固まって栓として膣を塞ぐらしい。次のオスがセックスするときはコルクみたいなペニスでその栓を引っこ抜くのだそうだ。人間の精子もそんな風になっていたら、浮気とか離婚とかが ....
ねえ、きみのなかに、
どれほどたくさんのきみが泣いているのだろう
たくさん、あふれだすたくさんのきみが、こだまする
**
ポカリスウェットとポカリスエット、どっちなの? ....
帰ったら
ご飯を食べようね
バス停前のあの本屋
きっとこの頃は
思い過ごしているのだろう
傘の下のせまい
湿った毛色がとろりと風邪をひく
濃いすみれのようなのは
浮ついた午 ....
あの娘は天使になって太陽の国に行った
神様の迎えがきた
あたしは認められなかった
黒い太陽
黒い官能
あの娘が死んだ
知らないふりをした
知らないふりをした
あなたの言ってる嘘は性的なこと
あたし ....
アベフトシが死んだ昼に新聞記者は訃報を記事に起こし
アベフトシが死んだ夕方にCDショップは特設スペースを作り
アベフトシが死んだ夜にテレビでは追悼番組が組まれた
アベフトシが死んだ夜中に私は ....
ほしぞらみたいに黙っていたら
追憶が加速していった
メリーゴーランドは架空の天気をかかげていた
7月15日は存在すらしなかった
とてもしずかに追い越されたニュートラル
....
タンポポを一輪だけ摘む
何も知らない貨物列車とすれ違う
水のように冷たいものを売っている所はありませんか
と、男の人に聞かれ
あっち、と指差す
あっち、に何があるのか行ったことは ....
iPodから流れる
リロンのさわやか会社員を聴きながら
雨雲の去った青空を見上げてると
心も伸びやかに
どこまでも泳いでいける気がする
いつか親友と走った道
うぶだけど どこかませて ....
夏の十字に光が入れば
胸骨に取っ手
きみの窓だ
浸した腕で開く
引くもの、押すもの
両開き、押し上げ式の
様式は様々で
一度なんて
きみの皮膚全てが一つの窓だった
窓の向こう ....
好きな色は?
と聞かれて
返答に窮する
好きな色は毎日同じではない
座右の銘のように
色が毎日同じにしか
見えないなら
絵は描かない
数値の色は正しい
誰でも同じは
誰でもいいのだ ....
誰のものともわからない唇が
私の背中を通る
このように
戦ってきたけれど
何と戦ってきたのだろう?
垂れ下がる乳房
力をなくしていく腕
もう
遠くには飛べない
....
嘘つきたくて
小柄な爺の世迷い言
小僧よく聞けこの俺は
15の時には家出して
街から街への放浪暮らし
幾度も幾度も死にかけて
山の上から街を見て
谷の底から月を見て
たどり着いたが ....
むしを食べ 手指を舐め 詩思をうたう
飢えた怪物のような向日葵だ
仲間外れの罠にもかからぬふりで
グラウンドを睨んで揺れている
なまぬるい呼気を吐却して
腫れぼったいくちびるから
高ら ....
北斗七星をはじめて見たのは
最近のことだ
ぼくが少年期を過ごした街は
空が区切られて
オリオンの三ツ星しか知らなかった
きみの家にいそいで
枯草の道を歩いているときだ
眼前にあらわれたの ....
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