凪と鉛
曇が地へ落とす火
色より広いまぶしさの
まなざしのふちを洗う雨


水を踏み
坂をのぼり
鈍を振る
頭は 音になる


空に浮かぶ火が薄まり
他の火を ....
(旅立ちの日)






「…… … ……朝尾、伸介」
「はい!」
「…… …… …… ……… …… …はい。よく頑張ったな、おめでとう」
「…… …… …… … …」


 ....
解っていく
静かに解っていく
己がどういう人間なのか水を汲み出す度に
解っていく




解っていく
静かに解っていく
桶を沈ませる度
自分に何が足りないか解って ....
 過去のことを思い出すことが極端に少ないと気づいたのは30代に入ってからだった。「何も覚えていない」と人に言われることが時折あるのだ。そもそも私には思い出話をする習慣も無い。そう、私は「今」か「これか .... イチョウの木々をくぐりぬけ
暗く乾いた食堂に集まるのは
ヤクザ
インテリ
ろくでなし
ブンヤに
ニート
詩人
音楽家
革命家
小説家
etc.
彼らは互いに値踏みし合っている
 ....
没入する
汚して食う
汚して食う
かき混ぜて絡ませて
汚して食う
没入する


没入する
汚して書く
汚して書く
切って貼って うごかして
汚して書く
没入する


そ ....
拝啓マグロ
この一週間
雨ばかりで
少し嫌気がさしていたところです
海の方はどうでしょうか?
3日くらい
休みをとって
こちらの方に
来れないものでしょうか?
ところで
エミリー・ ....
丹田呼吸法breathing exerciseを数分行ない
額の中央(第三の眼)へ朝日の破片が
熱い速度で注ぎこまれた
わたしはジェダイの騎士、ヨーダだ、
そして宮本武蔵だ、と十回ほど唱えると ....
聴力を失ったDJフランキー・ワイルドは
視覚できる振幅を音楽に換えた
超音波は直進性に優れており
音響の異なった物質間の境界面で反射がおこる
受信までの時間を元に物質の位置を計算できる
反射 ....
穴のような家に一日潜んでから
日が暮れて
空気を吸いに外に出る

あてもなく街を歩き
喫茶店と本屋をはしごして
何をしたいということもない

そうして雨に降られて
人気の無い大通りを ....
現在、20歳と211ヶ月のワタクシは、彼女居ない暦32年くらいになる。正確な年月は数えると気がめいるので、だいたいそのくらいにしている。
 その間、色恋なんぞに胸を焦がされなかったか、というとそんな ....
きみを覆いながら
明け方
恋は側溝であった
大木を根こそぐ竜巻の強さでわたしの右足を巻き込む
この浅さで溺れる

母に嘘をつき
父を裏切った
上睫毛と下睫毛を固く結んで拒んだ景色
目 ....
 たまの休日に友人と会って話をしていても、近頃はすぐに「何か面白いことないの?」と、まるでそれが合言葉であるかのように、たがいの口からとびだしてくる。生活に刺激がないのは、環境が違えどみんなおなじで、 .... 今日も妻と


市場でリンゴが安かったのよ
という妻の言葉を
忘れえない
揺れる電車でそっと
僕につかまってた妻
一緒にいつもいつも
続けた伝道ボランティア
今日も妻の三枚目の ....
 色彩アラベスク

黒い空 黄色いライト
オレンジの腕 汗は光る
コンパスはあちこちと動き
ベイジュと紫
赤の縁どり

白い球はくるくると舞い
無花果の実は赤し
オレンジの足は地を ....
おれの妻には
感心する
女の共通なんだけど
純粋なんだね
演技なんて
全然ない
嫌いと好きが
はっきりして
俺のこともぼろくそに
言うが
時にはめっぽう
褒めてくれる
計算もな ....
月曜日
仕事から帰って
メイク落としシートで顔を拭いた
ゴミ箱に捨てる瞬間
シートがため息を吐いたような気がした


火曜日
上司に怒られた
理不尽なことが世の中には詰まっていて
 ....
ケェキに
蝋燭たっていない
ケェキに
名前入っていない


晩飯は

ケェキだ

酒の肴は

ケェキだ

明日の朝飯は
忘れなければ
多分
間違いなく ....
銀色の
波に揺られて
揺れる
七色

ちらり
ちらり
降り積もる
銀色の
鱗の雪の下で
手を
伸ばしてみる
七色


銀色の
波の下に
静かに波打つ
七色

お ....
潜ったことは
ないけれど
ここにはやっぱり
夢がある
宝が一杯詰まってる


カワハギ
白鱚

穴子

マゴチ
メゴチ

黒鯛
メバル
カサゴ
墨烏賊
イ ....

むかぁし
学校帰りに
知り合いになった猫が
そのまま家についてきて
とても愛らしい顔した
上品な
そして礼儀正しい
奴だったのだが
家で大目玉食らって
知り合った場所まで送り届 ....
窓の向こうの暗がりを
めまぐるしく流れてゆく
幽かな光の群れ

一日の終わりと
そして あたらしく
始まるための
束の間のひととき

仕事用のデータを
サーバに投げ ....
朝起きて食べたご飯は夕ご飯 ゴミ箱を作ったので
いらないものを捨てた
だけど、ゴミ箱はまだ満足していなかった
仕方がないので
最近、増えすぎて
持ちきれなくなった不安を捨てた
ゴミ箱は少し満足したようだった
その日 ....
平日の昼間から僕のアドレス帳に登録されている人間たちに片っ端から
「雲を見に行こう」とメールを送りまくった。
来てくれたのは友人の一人モモサキだけだった。


彼はメールの一時間後、ピストル ....
石井が死んだ
石井が死んだ

あの夜 僕と石井と巻田と藤原と4人で
火を囲んで はしゃぎあった

深夜の公園
ごおごお 燃え盛る炎を囲んで
いろいろな話を      した
グラビアア ....
 定子がこの山間の小学校の臨時講師をするようになって、半年が過ぎた。いまだ戸惑うことが多い。それはけして近年盛んに報道されるような子供の素行についてや、モンスターペアレンツなどと呼ばれる極度に過保護な .... ぼくが、
ぼくだけが
知らずにいるこころは
どこにありますか

どんなふうに
転がっていますか



ぼくが
たずねることで

だれかを
知らずに傷つけるとしても
汚 ....
きみが本気になったりしたら
わずかな時も持ち堪えられずに
やっつけられてしまうに決まっている
恐れを感じるなんて初めてのことだ
黙っていよう
きみに才能があることなんか
きみは ....
銀閣寺遊侠伝(その一)

けちなやくざと
笑うがいいさ
強きを挫き
弱きを助く
そんなそんな俺なのさ

ぐれてはずれて
十五十六
入れた刺青
将棋の王将
そんなそんな俺だよ
 ....
ヨルノテガムさんのおすすめリスト(220)
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