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夏の夜に
いくつもの太陽を揺らすひまわり達 
仕事帰りの疲れた男に 

 わさ わさ わさ わさ 

大きい緑の手のひらを振る 

日々の職場では 
密かな善意を誤解され 

  ....
雨の降る夜の路地裏を 
酔っ払いの男は一人
鼻歌交じりに 
傘も差さずに歩く  
涙色の音符を背後に振り撒いて

雨は降り続き 
路上に散らばった音符は濡れて 
よろけた男の後ろ姿は  ....
パソコンが
空っぽの箱に見えてしまったら 
部屋の明かりを消して 
Tom Waits の「GRAPEFRUIT MOON」を流そう 

グラスに入れたぶどう酒を{ルビ喉=のど}に流せば 
 ....
{ルビ埃=ほこり}がかったランプの下 
赤{ルビ煉瓦=れんが}の壁に{ルビ凭=もた}れ
紙切れに一篇の詩を綴る 

クリスマスの夜 
遠い昔の異国の街で 
一人の少女が売れないマッチに火を ....
久しぶりに巨人戦を見ていた。 
0点に抑えた上原と
勝越しホームランを打った二岡が
試合後のヒーローインタビューのお立ち台で肩を並べ
アナウンサーの決まり文句の質問に答えている。

( 二 ....
地面には 
ぺちゃんこのかまきり 
おどけた鎌を振り上げて 

お前は偉いな 

踏みつぶされても 
踊ってる
幾枚かの{ルビ花弁=はなびら}が舞い落ちる 
淡い光のあふれるいつかの場所で 
あの日の君は
椅子に腰かけ本を読みながら待っている 

いたずらに 
渡した紙切れの恋文に 
羽ばたく鳥の ....
早朝 
{ルビ浴衣=ゆかた}のまま民宿の玄関を出ると 
前方に鳥居があった
両脇の墓群の間に敷かれた石畳の道を歩き 
賽銭箱に小銭を投げて手を合わす 

高い木々の葉が茂る境内を抜けると  ....
休憩室の扉を開くと 
左右の靴のつま先が
{ルビ逆=さか}さに置かれていた 

ほんのささいなことで 
誰かとすれ違ってしまいそうで 

思わず僕は身をかがめ 
左右の靴を手にとって  ....
机の上に三冊の本を並べる。 

一冊目を開くとそこは、
林の中の結核療養所。 
若いふたりは窓辺に佇み、 
夜闇に舞う粉雪をみつめていた。 

二冊目の本を開くとそこは、
森の中のらい ....
夜になってから急に 
庭の倉庫に首を突っ込み 
懐かしい教科書を次から次へと処分して 
家の中に戻ったら 
腕中足中蚊に刺されていた 

それを見た母ちゃんは、言った。 
「あんたはつよ ....
愛は、{ルビ脆=もろ}い砂の{ルビ塊=かたまり} 
この手に掴もうとすれば
指のすき間から零れ落ち
{ルビ一時=ひととき}で姿を消す 

優しい陽射しのこぼれる 
窓辺の下にそっと置かれた ....
そうしていつも、一つの愛は
踏み{ルビ潰=つぶ}された駄菓子のように
粉々に砕けゆくのであった 

そうしていつも、一人の{ルビ女=ひと}は 
林道を吹き過ぎる風のように
{ルビ昨日=かこ ....
私は今、顔を猿のごとく真っ赤にして酔っ払っているのである。 
なぜ酔っ払っているかって?
それには深い、深い、わけがあるのである。 
女に振られたって?
そんなのは日常茶飯事朝飯前であ ....
うたたねをして目覚めると 
一瞬 {ルビ黄金色=こがねいろ}のかぶと虫が
木目の卓上を這っていった 

数日前
夕食を共にした友と 
かぶと虫の話をしていた 

「 かぶと虫を探さなく ....
しゃわーで汗を洗い流していたら 
いつのまに{ルビ踝=くるぶし}が{ルビ痒=かゆ}かった 

ぽちんと赤いふくらみに 
指先あてて、掻く爪先も
痒みの{ルビ芯=しん}には届かない 

見 ....
数日前の夜
ホームページの日記で、
遠い空の下にいる友が恋人と別れ、
自らを罪人として、責めていた。 

( 自らの死を越えて
( 生きる明日への道を見据えていた
( 彼女の瞳は光を宿し ....
長い間
{ルビ棚=たな}に放りこまれたままの 
うす汚れたきりんのぬいぐるみ 

{ルビ行方=ゆくえ}知らずの持ち主に 
忘れられていようとも 
ぬいぐるみのきりちゃんはいつも
放置され ....
「純粋」と「不純」の間で 
へたれた格好をしている私は 
どちらにも届かせようとする 
執着の手足を離せない 

一途に腕を伸ばし開いた手のひらの先に 
「透明なこころ」 
( 私は指一 ....
炎天下の路上に 
{ルビ蝉=せみ}はひっくり返っていた 

近づいて身をかがめると 
巨人のぼくにおどろいて
目覚めた蝉は飛んでった 
僕の頭上の、遥かな空へ 

瀕死の蝉も、飛んだん ....
 私は今、七年ぶりに訪れた遠藤周作先生の墓前にいる。墓石の下
に供えた僕の第一詩集「風の配達する手紙」の表紙が夏の日に照ら
され、白い薔薇の影が、表紙の余白に揺れている。私が生けた赤・
白・黄色 ....
押し寄せる人波を
私は独り、逆流する。 
東京駅の地下に蒸す夏。 
目の前の{ルビ陽炎=かげろう}を掻き分けて。 

日常の流れに{ルビ弾=はじ}かれて、立ち止まる。 
重い{ルビ荷物=ト ....
人間は汚れている。身も心も。 
人の世のニュースを写すテレビ画面の中で。
私の姿を映す鏡の中で。
全ての日常は、色褪せていた。 

  * 

一人旅の道を歩いていた。 
信濃追分の風 ....
「幸福」を鞄に入れて、旅に出よう。

昔日、背の高い杉木立の間を 
見果てぬ明日へとまっすぐ伸びる 
石畳の道 
君と歩いたあの日のように 

( 舞い踊る、白い蝶々を傍らに。 

 ....
 昨日は寝る前に、原民喜の「心願の国」を読んだ。被爆者である
彼は、自らが作家・詩人であるという使命感から、その体験を書き
遺した。戦後間もない頃、母も妻も失い自らに残された弧絶の夜を、
彼は歩 ....
夏の涼しい夕暮れに 
恋の病にうつむく友と 
噴水前の石段に腰掛けていた 

( 左手の薬指に指輪をした
( 女に惚れた友が 
( 気づかぬうちにかけている 
( 魔法の眼鏡は外せない  ....
照りつける夏の陽射しの下 
墓石の群を横切る私の地面に頼りなく揺れる影 
一瞬 頬に見えた{ルビ滴=しずく}は 涙なのか汗なのか 

( {ルビ嘗=かつ}て 一途だった少年の恋は
( 夏の夜 ....
私達は知らない 
戦時中にかけがえの無い妻子や友を残して 
死んで行った兵士の 
爆撃で全身が焼け焦げてしまった少女の 
青空を引き裂く悲鳴を 

( 昔話の地獄絵巻は深い地底に葬られ 
 ....
小雨の降る夜道を歩いていた。
ガラス張りの美容院の中で
シートに座る客の髪を切る女の 
背中の肌が見える短いTシャツには

「 LOVE 」 

という文字が書かれていた。 
 ....
私とあなたの間には 
いつも一枚の窓があり 
互いは違う顔でありながら 
窓には不思議と似た人の顔が映る 

私とあなたの間には 
いつも一輪の花の幻があり  * 
互いの間にみつめると ....
こめさんの服部 剛さんおすすめリスト(212)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ひまわり仏_- 服部 剛自由詩17*06-9-19
雨の夜_- 服部 剛未詩・独白10*06-9-18
恋文_〜Tom_Waits_を聞きながら〜_- 服部 剛未詩・独白7*06-9-17
詩ノ灯- 服部 剛未詩・独白10*06-9-13
日曜日_〜巨人戦を見た夜〜- 服部 剛未詩・独白3*06-9-10
標本_- 服部 剛未詩・独白11*06-9-9
花吹雪の中で_〜出逢いの日〜- 服部 剛自由詩13*06-9-7
駒ヶ根_- 服部 剛自由詩14*06-9-5
- 服部 剛自由詩24*06-8-31
「閉じられた本の中」_- 服部 剛自由詩11*06-8-29
歩く花- 服部 剛自由詩15*06-8-27
風の流砂- 服部 剛自由詩7*06-8-27
晩夏_〜蝉の臨終〜_- 服部 剛自由詩12*06-8-27
新連載?はっとりんは今日もゆく〜その一〜- 服部 剛散文(批評 ...11*06-8-27
探しもの_- 服部 剛自由詩16*06-8-22
「痒み止め」- 服部 剛自由詩6*06-8-22
「空色の手紙」_〜蝉の伝言〜_- 服部 剛自由詩10*06-8-22
棚の中のきりちゃん_- 服部 剛自由詩21*06-8-20
鳥の影絵_- 服部 剛自由詩12*06-8-18
路上の蝉- 服部 剛自由詩14*06-8-14
遠藤周作の墓前にて。- 服部 剛散文(批評 ...5*06-8-13
東京駅_- 服部 剛自由詩11*06-8-13
信濃追分の風- 服部 剛自由詩17*06-8-10
幸福の谷_- 服部 剛自由詩14+*06-8-7
「踏み切りの前に立つ人」_〜原民喜「心願の国」を読んで〜- 服部 剛散文(批評 ...13*06-8-4
呼声- 服部 剛自由詩20*06-7-30
渇いた夏_- 服部 剛自由詩26*06-7-26
名前の無い街_- 服部 剛自由詩10*06-7-24
「汚れた足」- 服部 剛自由詩21*06-6-14
傘を差す人_- 服部 剛自由詩21*06-6-9

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