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その本を開くと 
一遍の詩が終わる{ルビ頁=ページ}の余白に 
{ルビ紐=ひも}で結んだ「空の鏡」を首からかけて 
両腕をひろげた小人が 
立っていた

その本を手にした読者の 
誰も知 ....
雨上がりの高尾山 
散策の一行は
山を愛するおばちゃんのガイドに 
耳を傾けながら 
濡れた山道を往く 

ある者は 
ひとすじの細い茎の上に
寄り添い
束ねられた家族のよう咲く 
 ....
喉が渇いたので 
駅のホームのキオスクで買った 
「苺ミルク」の蓋にストローを差し 
口に{ルビ銜=くわ}えて吸っていると 

隣に座る 
野球帽にジャージ姿のおじさんが 
じぃ〜っとこ ....
その人の瞳の内に 
永久の春が在り
遥かな昔から
桜の木が立っている 

冬の冷気を越え 
降りそそぐ春の日射し 
今にも開こうとする無数の蕾に 
こころは{ルビ軋=きし}む 

 ....
朝起きたら 
いつも台所に立つ母が 
地を這う赤ちゃんになっていた 

家を出て 
電車を待つ駅のホームには 
はいはいのまま赤ちゃん達が並び 
全ての席は座る赤ちゃんに埋め尽くされ 
 ....
 僕は 詩 というものの縁で、幾人もの友と出逢ってきた。もう会
わない友もいれば、長い付き合いになるであろう友もいる。かけが
えのない友がいながらも、僕等は時に「ひとり」を感じてしまう。 
そ ....
一面に広がる{ルビ金色=こんじき}の 
麦畑の上に浮かぶ 
一本の道 

飛び込み台のように 
道の途切れた向こうに浮かぶ 
{ルビ一艘=いっそう}の船 

途切れた道先に 
組んだ ....


 先ほど、近所を散歩していました。友の唄声(CD)を聞きなが
ら布団に入っていましたが、来年から始まる新たな夢のことを思う
となかなか眠ることができませんでした。外に出ると、深夜3時半
 ....
見上げると 
ひらひらと北風に舞う 
たましいのかたちをした 
まあるい葉が一枚
落ちてきた 

{ルビ煉瓦=れんが}の{ルビ椅子=いす}に座ったぼくは 
腰をかがめてそれを拾うと 
 ....
壁の取っ手にかかった鍵は 
{ルビ紐=ひも}がほどけてするりと落ちた 
それを拾って結んだぼくは 
壁の取っ手に再びかけた 


( 紐をつまんで手にした鍵は
( いつも人の心の鍵穴に
 ....
旅の終わりに訪れた 
夕暮れの善光寺 
{ルビ巨=おお}きい本堂脇の砂利道に音をたて 
紫のマフラーを垂らした 
小さい背中の君が歩いてた 

「 あの・・・○○さん・・・? 」 

 ....
夜行列車「能登号」車内 
すでに電気が消えた
午前二時十五分 

数えるほどの乗客は
皆 {ルビ頭=こうべ}を垂らし
それぞれの夢を見ている 

一人旅に出た僕は眠れずに 
開い ....
疲れた顔したあなたの前に 
一杯のお茶を置く 

( そこにいてほしい 
( くつろいでほしい

長い間 
心に固く閉じていた 
{ルビ蓋=ふた}を開いて 
今までそっとしまっておい ....
( ピエロは独りよたついて
( {ルビ歪=ゆが}んだ後ろ姿で
( 深夜のネオン街を横切ってゆく 


早朝 夢から覚めると 
そこはネットカフェの個室だった 
昨晩は酔いどれたまま
揺 ....
朝の駅構内ベーカリー 
カウンターに座る僕の傍らには 
湯気が昇るホットティーと
サランラップに包まれたホットドック 

開いては閉じるガラスのドアの向こう側で
すでに動き始めている東京  ....
うたた寝をしていた 
週末の終電を降りると 
駐輪場に一台 
自転車は倒されていた 

それを黙って立て直し 
冷えたサドルに{ルビ跨=またが}って 
軋んだペダルを今日も漕ぐ

人 ....
机に置かれた一枚の写真

若い母が嬉しそうに
「 たかいたかい 」と
幼い彼を抱き上げている

年老いた母は安らかな寝顔のままに 
「 たかいところ 」へ昇ったので
彼はひとりぼっちに ....
歩き続けることに疲れた旅人 
巨木の木陰に腰を下ろす 

見上げた冬空の青に 
突き刺さろうと伸びる枝々 

北風の唄に散る 
枯葉の舞 

その{ルビ一片=ひとひら}は 
旅人が ....
遅刻すれすれの電車に駆け込み 
腰を下ろしてほっと一息 

気がつくと 
握りしめた手のひらにささる 
いつの間に伸びた爪 

ふいに
携帯電話を取り出し 
日付を見る 

( ....
細長い緑の廊下 
暗い足音を響かせ 
連れられてゆく黒い囚人 

彼の手から発する不思議な力 
病の男の腫瘍を吸い取り
哀しむ女の涙を拭い 
踏み潰された{ルビ鼠=ねずみ}を再び走らせた ....


 今、僕の手元には、「{ルビ思推=しゆう}」 落合朱美 という{ルビ凛=りん}とした縦書きの
文字が記された一冊の詩集が置かれている。朱色一色の表紙には、
白い輪郭で描かれた一輪の薔薇の ....
 僕が現代詩フォーラムという詩のサイトと出逢い、自作の詩を載
せ始め様々な人の詩を読むようになってから三年の月日が過ぎた。 
自分の詩作について言えばまだ課題はあるが、只、間違いなく言え
ること ....
夜寝る前に読書していると 
開いた本のなかから 
うっすらと光を帯びた手があらわれ 
わたしに差し出されていた 

その手を握ると 
不思議な想いが心に流れ 
明日に怯えるわたしの影は  ....
もし 
きみ が ぼく を 
ガラスの水晶のように 
見てるなら 

少しでも指にふれたら 
汚れてしまいそうな 
壊れてしまいそうな 
世にもきれいなものとして 
見てるなら 
 ....
仕事帰りに寄ったファーストフード店 
一人座って夕食代わりのマロンパイを食べながら 
カウンター越しに君の姿を探す 

パイの中から舌先に広がる 
マロンクリームの甘さとうらはらに  ....
初めて君に声をかけた
あの日の公園 

( いつまでも揺れている
( 無人のブランコ

ぼくの呼声に 
届かぬ場所から振り返る 
君の面影 


ベンチに
長い間置かれたままの ....
本を開くと
そこは遠い昔の日本のお寺 
お金持の人々が行列をつくり 
次々と賽銭箱に大判小判を投げ入れて 
ぱん ぱん
と手を合わす 

そこへ 
ひとりの乞食があらわれて 
薄汚 ....
 今、時計の針は、午前二時半を回っている。この深夜に、何故か
僕はあなたに手紙が書きたくなった。(あなた)というのは、特定
の誰かを指しているのではなく、今、この手紙を読んでくださって
いる(あ ....
夜遅く 
街灯の淡い光に照らされ 
家へと続く道に伸びる 
老夫婦の影 

互いの腕を組み 
びっこをひいて 
揺れている 

( 街路樹の枝に結ばれた、赤い風船 ) 

老夫婦 ....
携帯電話を持たず 
運転免許は取らず 
国家試験も受けず 

やりたくないことには目もくれず 
自分のやりたいことのみ精を出す 

いかなる{ルビ流行=はやり}に流されず 
いかなる派 ....
こめさんの服部 剛さんおすすめリスト(212)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「_空の鏡_」_- 服部 剛自由詩1007-4-15
山の子供達_〜高尾山にて〜_- 服部 剛自由詩807-3-26
車内の隣人- 服部 剛自由詩33*07-3-25
「_桜_」_- 服部 剛自由詩16*07-3-23
夢_〜赤ちゃんの国〜_- 服部 剛自由詩8*07-3-21
詩友への手紙_〜新宿にて〜_- 服部 剛散文(批評 ...10*07-3-19
麦畑の舟_- 服部 剛自由詩16*06-12-20
_あなた_への招待状_〜新たなる夢について〜_- 服部 剛散文(批評 ...7*06-12-18
たましいの葉_- 服部 剛自由詩18*06-12-17
鍵_- 服部 剛自由詩7*06-12-16
旅の終わりに〜善光寺にて〜(仮)- 服部 剛未詩・独白9*06-12-12
夜行列車_〜夢の手紙〜- 服部 剛自由詩19*06-12-12
お茶の時間_- 服部 剛自由詩19*06-12-5
白い手_- 服部 剛自由詩13*06-12-4
新橋駅・午前八時五〇分_- 服部 剛自由詩10*06-12-4
夜道の信号_- 服部 剛自由詩15*06-12-3
母のお守り_〜ある母子〜_- 服部 剛自由詩20*06-11-26
落葉の栞_- 服部 剛自由詩1406-11-26
冬の手紙_- 服部 剛自由詩14*06-11-25
贖いの囚人_- 服部 剛自由詩12*06-11-22
詩人・一期一会_〜其の一・落合朱美詩集「思推」を読んで(上) ...- 服部 剛散文(批評 ...11*06-11-22
詩人・一期一会_〜序章・誰も知らない一本の大樹について_〜_- 服部 剛散文(批評 ...19*06-11-22
「__手__」_- 服部 剛自由詩21*06-11-20
ガラスの水晶_- 服部 剛自由詩12*06-11-19
向かいの席- 服部 剛自由詩5*06-11-16
石_- 服部 剛自由詩11*06-11-14
幸福のパン_- 服部 剛自由詩13*06-11-13
詩友への手紙_〜僕とあなたの間に一篇の_詩_を〜___’06 ...- 服部 剛散文(批評 ...15*06-11-12
夜道のふたり_- 服部 剛自由詩9*06-11-12
時代遅れの男_〜はっとりんぽえむ・その2〜- 服部 剛自由詩15*06-11-11

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