こしごえ


雨にたたずむひとがいた種を蒔き。
私は今どうしようもなく空虚な心
境だ。空の暗さにただ身を沈めた
い。恐ろしく空虚だ。しかし、こ
の恐ろしさもまた 空虚。
生存して居るうちに云えば時はあれから
今まで止まったままだ
雲の先の星の光は未だ届かず
最後に知ることがあるだろうか
希望は涸れぬ、と。
誰にも知られることはなく、それは
冷酷にほほを伝う
一度きりの悲しい重さをもって
空をつかむ虚ろな視線
よどみない静けさを薄いくちびるが発する
さむざむと広がる空のもとを
上昇していく吐息白く
渦巻きながら外縁へ冷えてゆく
熱いのだった
私の体内にひそむ血潮は
凍える宇宙の闇を蒸発させるほどに
息を止めて諦めたらそこでお仕舞
ぽっつら、ぽっつら、ぽっつら、ぽっつら、
ひっそりと響く波紋
しぃんと生ぬるく寒い
声にして見つめよ
茫漠たる海原を。
いっそうの舟に乗り
繰りかえし張りつめる波をゆきつつ
青白い影が解除する
仰ぐ空を雲は黙りこみ
底は無く
この空虚なかなしびに、初めての雨。
雨しららかな
雨に、たたずむ花がある


自由詩Copyright こしごえ 2008-12-27 07:15:03
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