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突然の{ルビ雷=いかずち}に目を覚ましたわ
隣りにいるはずのあなたがいない
どうなってるのよ
違う女と枕を並べて眠っているのね?
そうよ
あなたはいつだって
私の涙を ....
深い悲しみの色だわ
胸に漂う紺碧の思い出たち
今でも夢に見ているの
あなたと出会った嵐の夜を
もう一度愛がよみがえるなら
私のすべてを捧げてもいいわ
あなたの腕の中で生きられたら
何もい ....
ぼくが持ってるこれと
きみが持ってるそれを
合わせてみよう
そしたら何か
生まれるかもしれない
もし上手くいったなら
それを恋と呼ぼう
郵便配達員がポストと
駆け落ちをした
四畳半の小さな部屋だった
配達員は毎日
せっせと手紙を書いて投函した
春という字を書くと
いつも何だかくすぐったかった
集配時間には
ごめんね ....
額の汗を無造作に拭うあいつより
きれいに畳んだハンカチで汗を拭う
そんな男のひとに憧れてしまう
えっと…そんなひとなら
細い指先に挟んだボールペンを
くるくる器用に回したりして
わたしのこ ....
どうしても捨てられないものがある
幼い頃母に買って貰った運動靴
靴入れの奥に今も大切にしまってある
いつかあなたもシンデレラになるのかなと
七歳の誕生日に買ってくれた運動靴
そういえばこの季 ....
さびれた歩道橋の上で
夏を見上げると
空、空
本当に海まで続いているのだろうか
この橋の下を流れる車の群れが
緩やかな河口付近の川だったらいい
時折陽射しに煌めくヘルメットが
....
いつまでも気付かなければ良かった
と思うことがある
熱帯夜の寝苦しさに目をふと覚ますと
わたしの知らないおとこのひとが
わたしの横で寝ていて
二つ並んだお揃いの枕と
ふたりで寝るには狭いベ ....
日曜の午後はいつもそうしている
適度な速さ、心地よい風があればいつでも死ねるから
ひたすらに距離を減らしていく、どこに行くのかもわからないのに
戻る場所はいらない、鮮やかな夢もいらない
だから ....
瞼の裏に
ゴロゴロがある
閉じてみる
小さな円を
眼球で
ゴロゴロが動く
痛みはない
そこにない
ゴロゴロらしい
タバコに火をつけてない
咥えたまま
....
にわか雨は窓ガラスを叩く激しさで
海辺の汐臭さをわたしの部屋まで連れて来た
波音のひたひた寄せるテーブルで
いつか拾った貝殻の擦れる音色がする
ハンガーにかけたわたしの白いブラウス
温もりの ....
{引用= あのひとの記憶がしずむ海は、いつしか防砂林で見えなくなった
越えられない高さに、すこし安心した}
砂が、降って
深く深く沈んで 底まで
皮膚 ....
春の光よ
降りそそげ
我に
君に
太陽の季節の予感に
この胸の情熱よ
目覚めよ
新緑の風に吹かれる
緑の香り
その頬を
撫でていく
嗚呼 ....
深夜の浜辺で
青白い顔をした青年は
{ルビ焚=た}き火の前で{ルビ膝=ひざ}を抱えている
肩を並べていた親しい友は
すでに家路に着いた
胸の内に引き裂かれた恋心
誰の手に ....
君の走ったあとを
僕が追いかけて追いかけて
追いかけても追いつけなくて
同じ道を君の背中を見ながら走って
いつもいつもあとからついてくことしかできない
君の歌ったメロディ ....
散る散る ちるらん
花びらの
風に任せた行く先は
夏の匂いの西方か
揺り揺る ゆるらん
水面に降りて
さざめく海に恋がるるか
思えば君に逢うた日の
宵は海辺に砂嵐
さらさ ....
時には詐欺師が人を欺くように
わたしはあなたを欺きたい
飲めぬ程に苦い毒薬であっても
この世に喩えようも無い甘美さを
死を迎える程耐え難い苦痛であっても
五臓六腑に熱い何かが駆け巡り
....
ギガバイトのうねりのなかで
わたくしの三半規管
忘れない 忘れたくない
あなたの 優しい こえ
花蜜から花蜜 あまりにも
気まぐれ過ぎる あなた
プラトニック と プラスチック
....
私、とても卑怯。
泣くこともしない
笑えない
君の姿に焦がれてばかりで
いざ、自分の実力が試されることに
ひどく怯えてる。
どうしてあなたは今もそこで
ずっと動かないの
ず ....
空は 晴れて
緑が 萌えて
鳥は 唄う
どうしようもなく
春で
朝で
まぶしくて
どうしようもなく
私は
女で
せつなくて
風が「る」のような ....
『もういい』
、で片付けられたらいいのに
落ちてくる雨が
まるで
あの日を思い出させる
窓から
眠る街を覗けば
切なくなるのはなんで
背中から
ひんやりと 伝わる温度に
真っ白に
過ぎていく時間が
じんわりと滲んだ
....
新しい私を見て
称賛して欲しい
あなたらしい
貴方になりました
と
その時 春風は吹いた
と
新しい人は 現れて 朗うでせう
傷つくのはもう嫌
何よりも痛い
あの痛みを知っているから
だからといって
逃げていては
いつまで経っても強くはなれない
私鉄沿線のダイヤに則り
急行列車が次々と駅を飛ばして先を急く
通路を挟んだ窓を
横に流れるフィルムに見立て
過ぎた日を思えば
思わぬ駅で乗り降りをしたわたしが映る
網棚に上着を ....
「おとうさん」
「おかあさん」
「ありがとう」
ね
なんて ふふ
「うそ」だよ
「お」 も
「あ」 も
久しぶりに 言ったね
アルコール
....
未来の僕は幸せですか
答えなんて求めていません
ただの独り言
ちょっと呟いてみたかっただけ
だから気にしないで
少し気になっただけだから
このままでいいのか
解らなくなっただけだから
あいたい あいたい
あなたの気持ちが離れないように
いますぐ あいたい
わたしの気持ちが消えないために
いつも そばにいて
いつも 抱きしめて
いつも 声を聴かせて
あいたい ....
生きる意味に悩んでいるなら
悩んで悩んで悩み抜いて
大いに苦しめばいいよ
それでも君は幸せなんだから
今すぐにでも死にたいのなら
遺書のひとつでも書いて
とっとと死ねばいい ....
元気ですかというのは
元気でいてねという期待
でも過剰な期待はしたくなくて
ただ存在がなくならないでという
願いだけしか持てない
だったらいっそのこと
元気でいてねと言えばいい
だけ ....
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