今、私が見ている世界は
本物の世界なのだろうか
この離心症的な感覚のうちに
春を迎えた
産土神の境内で幼児が駆けまわる
ミズスマシの様にくるくる回り
分子が突進して炸裂する
子供と死 ....
いつのまにか消えて行く風景を
私たちは いくつ持っているだろうか
記憶の中の風景が ひとつひとつ
消えて 入れ替わるたびに
在ることの認識は 立ちつくす
ある日 空き地になったところ ....
(世界は、毎日終わっているのになんで誰も彼も平気なの!)
さんざぐずった女の子は、清潔なシーツですぅすぅ眠る
おもたいミルクの呼吸が、部屋中に立ちこめる
22時、最終 ....
記念日の光
見えない春が
口をつぐんで佇んで
蛙の子供を待ちあぐね
ぴょんぴょんぴょんと
跳ねている
spring has come
毛羽立つ砥の粉
見えない光のそ ....
気にしても仕方がない
の精神で
逃げようとして
結果はいつも残酷だった
結局は繰り返すことで
黒い円を描いて
同じ場所に戻りながら
落ちていくばかり
小さな幸せを
....
ひとつの
しずかなうた だけが
うたわれている
ふるいふるいむかしから
いつも うたは ひとつ
たったひとつの
きこえないほどの うたが
みたされているなかで
わたしも ....
めのみえない
さかなたちと
ふかいみずのそこを
およいでいる
ふかいみずのそこに
ひかりは とどかない
かきみだされた
みずのながれだけが
さかなたちの
そんざいを つたえる ....
真夜中、ロボットは
痛めたうでをかばいながら
他のおもちゃの手当てをする
文句を言いたそうな
他のおもちゃをなだめるように
タイヤのとれたスーパーカー
支えの折れた宝箱
首だけになったお人形
....
わわくとは衣がほつれるという意味のようで
ろらんとは人の名のような電波航法のような
いずれにせよタイトルの意味が分からない
分からない場合は食事をしてからニュースを見て
あさっての方角に ....
尖った爪の先で
地面を掻く
見慣れぬ生き物の
陰鬱な唸り声
影が揺れる
長い執拗な行為の持続
無数の線が刻み付けられ
あるいは
何かの想念を
かたどるものであるかのごとく
しかしま ....
貧しい人の手は、いつも淋しいかたちをしていて
貧しい人の目は、いつも悲しい言葉を探している
(本当は、とても綺麗な詩が書きたいのです)
雪降る夜の寒さは、震える指を動かして
して、そして
....
ひざのうえで
てのひらのなかに
あたたかくまるまった
ちいさなねこが
しらないうちに
つくってくれた
やはりちいさな
とおりみちを
きょうはすなおに
とおりぬけて
もう ねむること ....
なにか
ことばにならない
ふくざつなりゆうで
あれをはじめたり
これをやめたりする
そうしなければ
なにかがちがうことだけが
わかる
とつぜんにおわった
はなびのように
し ....
ステッカーでべたべたに汚れた地下の、
非合法の
秘密の
非日常で飾った
そんなライヴハウス
そのパンク・バンドは
いつもは虚無主義だとか
厭世主義、
退廃主義、悪魔主義
無政府主 ....
背伸びして
金網の奥のは
なにがあるかなって除いてみた
そこにいたのは僕と同じ
背伸びしてこっちを誰か見ていたけれど
モザイクが掛かっている
イヤホンで聴いていた
....
Farewell Party
色つきチョークの粉が舞う
ツイスターもなにもわずらわしくて
音も立てずに逃げだした
雪が頬照らして
しんしん静かな世界
ドアからあなたたちが出てき ....
ふしぎに しずかな
いまの ここで
めを とじて
みずを おもう
くろく あおく ひろがる
よるの すいめんを
おもう
うみのことも
かわのことも
おもう
てに ながれ ....
もちろん 夢だとか
期待だとかいったものからは
さめないほうがいい
実は 何もかも見えていても
見えないふりで
熱中していたほうがいい
だから
それができるときは
そうしていた ....
ほんをよむ
うたをよむ
ほしをよむ
かぜをよむ
さきをよむ
ふみをよむ
がくをよむ
ありをよむ
いしをよむ
あいをよむ
ときをよむ
しおをよむ
たくさんよむ
なんでもよむ
....
狂い咲きの花が
手をすべり
奈落の底へとしずむ夜
逆さまにのぼる 落ちていく
奈落の底へとしずむ夜
奈落の底では また奈落
だから墜落が
絶えない
これからだっ ....
北風の声が少しずつ
冷たさを増す12月
いつもと同じ帰り道
佇むように咲いていた
小さな体いっぱいに
陽射しを浴びてのんびりと
場所を間違え根を伸ばし
季節を忘れて咲い ....
コタツで寝て、何が悪いの。
「風邪ひくじゃん」って言うけど、
ぁたぃバカだから風邪なんかひかないもんねーだ。
コタツあったかくてキモチいーじゃん!
ベッドなんて寒いじゃん。
....
悔いなんてなにもない
なんてどうでもいい嘘をついた
その部屋は冬の海のように
優しく揺れ続けている
雪に咲いたあの花の名前を
結局思い出せないままだった
君は時計とともに僕の部屋へ来て ....
あなたを思うことが
こんなにも苦しいなんて
やさしいあなたの声で
あたしの名前を呼んでほしい
夜がつめたくなる前に
あたしの名前を呼んでほしい
苦しくて
せつなくて
....
剣と盾
アナタはどっちを選ぶ
破壊を繰り返し殺戮の
レクイエムを流す剣と
心を守り自分を守り
自分を否定し何事にも
否定を繰り返す盾か
剣と盾どっちとも
....
空がこんなに青いからって
自分を責めることはないさ
世間が眩しいからって
君がいないほうがいい
なんてこともない
握り締めた土くれには
君の跡が残る
降りしきる生死の中
涙 ....
黒に近い深緑から
白のうたが聞こえていた
たくさんのものを失って
望まぬちからを得た最初の日
こんもりとした光のかたまり
まるく息づく色はほどけて
指を撫で
指と指 ....
通勤の途中にね。大きな川があるのだ。
もぅ海にも近くて、潮の満ち干きにあわせて、
川の水位がずいぶん変わるの。今日なんかは、なんての
もうほとんど水がなくて、はるか向こう岸まで歩いていけるの ....
不安であるのなら
そっと その空白を抱きしめてみればいい
解離した私のその 右腕と左腕は
まるで前からそうであったかのように 自然に
それを包むだろう
包んだ空白は きっと
紛れも ....
世界はつながっているというのに
僕はまだその本当の姿を知らない
どこかで争いがおこっているというのに
僕はただ祈ることしかできない
それなのに僕は
まるで赤ん坊のように
泣 ....
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