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時間は、斜めから溶け合う頃になって
辺りはいつの間にか曲がり角になって
それは
人生、
とは呼べないような私たちだったり
生きている道のことだったり
例えなければ綺麗だったのに
....
藍色を少し混ぜる
空の端の盛り上がった場所に置く
それだけで一日は暮れていけるし
僕らもゆっくりと、眠ることが出来る
あの日、あの壁の落書き
木に刻んだあなたの名前
遠くへ行けるようで ....
そのように、生きてみたいと願う
いつまでも二階より上の景色に臨めなくても
遠い車窓に同じ肩幅で揺れているだけだとしても
ノイズ混じりのカーラジオの表面に
透き通らない感情を混ぜている
....
いつの間にか
とは言っても気付いてはいるし
知っていることと、そうでないこととの狭間で
見えているものは見えている
遠天
空が遠くなった
うつむいて歩いても、どこかで触れているような気 ....
空に、鳥の滑空していく
きん、とした音が響いている
いつも何かが足りない
青いだけの視界を補うように
手のひらはいつも、上を向いている
いつも着地する景色には
逃げ出してしまう色が ....
想像して
君はよくそう言うけれど
実際のところ僕は、何も思い出せずにいる
海沿いの寂しい国道を夕暮れに倣って左に折れると
何もない町があるのか
君の住む町があるのか
もう、どこにも行けない ....
空転しそうな少年は
風が吹けば背を向けるしかなかった
夕日からは目を背けずに
焼け付く色を一日でも、忘れずにいたかった
誰かを愛したことはあった
それを背負うだけの重さなんて
誰にもな ....
どれだけの言葉を飲み込んで
君は生まれていくのだろう
統制のとれた四角い部屋に
白い壁、のような服
悲観的な視線たちが
埋め尽くしてしまいがちな世の中に
「ほら、窓の外はこんなに明るいよ」 ....
「天井に穴が開いてね。いつまでも眺めていたら、
なんだか塞ぐのが、勿体無く思えてきたんだ。
ほら、そこから突き抜けていけそうだろう?」
一割ほどの ....
長い髪を引かれた後に、残していった重さ
開いては閉じて、を繰り返す手のひらに
理由を隠す隙間なんて、どこにもないことに気付く
もうここにはないもの
空をかき混ぜた手
海から斜めに ....
何もない景色があった
見たこともないものを、憶えているのは
緩やかに消えていく光のせいでしょうか
眠れない、夜ならば
明日の仕業にしてしまおう
結局、かたちばかりが残った
匂いが泡立つ ....
朝が来るごとに
あなたが私を忘れていく
遠い誰かの名前を呼びながら
階段を上っていくその背中は
その先へ、飛び出していくように見えて
私はそっと指先を噛む
目の奥を覗き込みながら
通 ....
西日の頃には
空は白く霞んでいたらしくて
滲んだ街の、ビルから生える空の景色を
ふうわりと、抜けたくて
前後左右、サングラスの目線で
せわしなく行き過ぎる人たちからは
あの強い、レモンの匂 ....
路地裏の台所
いつも泣きながら言い訳を調理する
どこに傾いても、コンセントに差し込む場所が見えないので
とりあえず玉ねぎを切っていた
ということにしてみたい
*
電子レンジに生 ....
歩行者注意
そう書かれた建て看板から
色が失われてからどれくらい経つだろう
すっかりと白い顔の少年がこっちを、見ている
注意を向けられたことなんて、ここにどれだけあるだろう
大きな予鈴
僕 ....
その川と海とがぶつかる場所で、誰かが手を振っている
回転を続ける灯り、列になって逃げていく光
そのどちらにも負けないように小さく、手を振っている
海はどこでも引いていき、魚が飛び跳ねる
月へ向 ....
流されていく言葉の端にも
空の順列が
少しずつ結び付き始めている
この街にも人は零れていて
青でいっぱいになって、いつか身動きがとれなくなる
沈んでいけるのなら
そこに沈み込みたい
....
あの人へ
何が、残せますか
つぶやいた言葉には、行方がありますか
いつも夏には
揺らめいて、薄れていくものが
近くにも、遠くにも
留めて
確かにそこに居たはずの
陽炎の ....
あの人は
そこが好きだと言っていた
いつも夏には水性で
書き残す言葉から消えていくものばかりで
うっすらと昇る、煙
焼けている靴の底から
縮んでいく
人たちは
....
悔いなんてなにもない
なんてどうでもいい嘘をついた
その部屋は冬の海のように
優しく揺れ続けている
雪に咲いたあの花の名前を
結局思い出せないままだった
君は時計とともに僕の部屋へ来て ....