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凍える桜の枝を煮る
花の色に染まる
記憶のひとひら

なくしそうな
砂のらくがき
ため息で
消して

あなたの指した
電柱の奏でる擦弦楽の季節
手をさしのべても
触れるもの何も ....
セルロイドの筆箱が
カタカタと
     そんなふうに
胸の{ルビ襖=ふすま}を揺らす
何気ない言葉

  風、もしくは紫陽花
  色を移しながら

みんな好きというあなたは
きっ ....
便利さの
果てに
背負ったもの


子や孫に
背負わせるもの
{ルビ香辛料=スパイス}という宇宙なのです
すべてを包括していく宇宙なのです
包み込んでいくのです
溶かし込んでいくのです

カレーに国境はありません
たとえば、カレーまん
インドの ....
行方もない風たちを
帆にはらませて
もう帰らない船の
船笛の消えていく先
短い呪文
アストロラーべ

二人の旅路を
羊皮紙に書き出しても
深海の底に
沈む姿があって
透明な海藻に ....
街に吹く薄汚れた上昇気流
舞い上がる鳥たちは
自由に見えても
危うい乱雑な流れで
時に墜落する

それは風が裏切ったのか
その美しく夜色の翼を
暗闇の代理人は
タールで固めた道が
 ....
花が咲き乱れ
緩やかに風が渡る高原を
想うのはもう やめた

  飛べないのではなく
  飛ばない虫

穏やかな海に向かう
明るい窓を
開けるのは やめた

  鳴けないので ....
親父の趣味は小さな鉢植え
鉢の順番を並べ替えては
玄人じみたため息をついて
またはさみを入れる

たどり着けない完成に向かって
まず渋茶をすするのも

たどり着けない完成に向か ....
行ったことのない所ばかりの
詳しい地図には飽きたから
パチンコ屋のチラシの裏に
勝手な地図を描く

縮尺や図法なんて知らない
知ってる場所を適当に
描き出してみるのだ

   小学校 ....
       封じ込めたい
       想いだけでは
       精製できない
       透明な水結晶

純粋でない核        宇宙との狭間
命を拒む冷気        気圏 ....
これから明けていくというのに
どんな闇より深い
口笛が
聞こえる

とぎれがちになるのは
灯台が
瞬くから
そして波が
騒がしい

そう、音が
熱をともなって
肌を
突きぬ ....
ひどく壊れた
{ルビ短笛=ピッコロ}の夜
胸の隙間にしみこんで
かたく凍った涙が
この身を裂く音

修行者のように
振り仰いだまま
静寂に刻む
生きたまま
この身を裂く音

  ....
歩道の残雪を
踏みしめる律動
声でもなく
音でもなく
歌でもなく

  白い吐息に飽きて
  見上げる
  大気の天蓋
  一弦の
  その楽器

  透明におびえ
   ....
あの暗闇は
くらやみではなくて
照らされていない
本当の姿

あの光は
まばゆいのではなくて
その向こうが見えない
闇の別名

くぐり抜けて
会いに行く
降る雨も、雪も
肌で ....
大阪駅
十一番線

遠い目をした
電気機関車

  彼方への思いだけで
  切符を買いはしなかったか?
  帰るという意味を
  部屋に忘れてこなかったか?

いつもどこかに
 ....
だれもが
等しく
同じスタートラインに
つけるなら

秒針を合わせろ

最高の権威的存在に
身を任せ
命の脈動を
誰もと同じにしたいなら

秒針を合わせろ

もしも
 ....
  皮膚という薄皮の中に
  なまあたたかい
  生がある
  そう思いこんでいる

骨にまとわりつく体を
巡っていく流れに
生がある
そう思いこんでいる

  あなたとつない ....
雪ばかり融けずにいる
針が突き刺したような
星夜の暗闇が恐ろしいのです

あまたを溶かすはずの暗闇が
かすかな影のいいわけを
裏切るのです

ひどく凍らせる結晶に
張り付いた切り絵を ....
折れてはじけた針の先
小さく鋭い小さな痛み


難しい言葉なんてほしくない


せめて 恋の証として
ただ一つ残された瞬間の
君の末梢を

いつでも
思い出せるように
奇妙な事だ


君と僕の距離は
星の運行と
無関係


だから
神には祈らない
誰にも支配させない
君との距離


僕はしない
存在の曖昧なものに
心を預けたりしない
 ....
夕陽の色を集めれば
溶かせたでしょうか


旅行く雲に焦点を結べば
胸に焼き付くでしょうか


風に吹かれる風車も
いつか飛ぼうとするように


いつまでも見つめているだけでは ....
部屋の電話線は
きっと
つながっているのです
耳をそえると
懐かしい雨音まで
聞こえてきます


ロウソク工場の煙が東へ流れて
小さな雑草の黄色い花が
激しく雨粒に
たたかれてい ....
君と

ばいばいって

約束もなしに

手を振るとき

誰かが

波打ち際で砂を踏むのです

僕の胸の奥の

小さな

渚で
二本のレールはずっと平行線
交わる時は必ず分岐点です

  言い訳の出来ない
  ダイヤグラムでは
  二つの時間だけが時折
  交叉していきます

ホームの対岸から差し入れられ
 ....
怒りを
この体に
押しとどめるなにか
それはこぶしでしょうか


掌のかたちにそれを
開き、放ってもまだ足りない
その病が
揺さぶるのです
だから震えてしまうのです


 ....
メールでは返信を促しているようで
そんなことを期待しない今日の私は
便箋に走らせてみようと思うのです


書き出しは、季節のことや天気のこと
やわらかに二人がつながっている
なんてことを ....
シリンダーから彗星がほとばしり
縄跳びの軽便鉄道は
宵の明星を目指すんだ

薄暗い星雲を踏みながら
ほら日本海、漁の送り火が
暗闇に星空をまねる

おなじ目的地の
 ....
はじけてしまいました
裂けてしまったんです


中身は半透明で
つぶつぶが少し混じっていましたが
甘い汁と一緒に
流れ出してしまいました


裂けた皮だけが
残ってしまいまし ....
吹かれるように手を振る
ススキの群れの中に
枯れて埋もれていきたいと
いや、そんな最期のために
生きていきたいのです


西風が波を走らせて
遠泳の息継ぎのように
{ルビ水面=みなも ....
ビジネスホテルの白い天井に映される
窓枠の形は青白く
夜の闇にある光源を証明します


いつしか街で一番高いビルの
冷たく四角い丘の上で
僕も証明されたいと立ち尽くすのです


月 ....
ルナクさんのたりぽん(大理 奔)さんおすすめリスト(276)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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