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碧い鉱石を
もう、ずっとながいこと
求めつづけて
彼は
自分が
空に渡っていった
海であることを
憶えていない
※
夕日の熱は
裏切りという罪を ....
ほんの、ひと握り
どの
手のひらにも
負えるくらいの
ちいさな
ちいさな
身の丈で
ほんの、ひと握り
ねがいを載せて
せせらぎましょう
いついつまでも
....
真夜中に
ひとりで開く小説は
難しさを持ち合わせない
さみしさの入り口、
でした
なりふりかまわず
一途にさまよえたのは
誰にもやさしい夏の日で、
つめたい雨のひと ....
その
日没に名前はない
幾重にも
さまよう翼が
無効を告げられるだけ
次々と
帰されるだけ
名もなき標は
明々と燃えながら
あまりに
静謐で
無数の火の粉 ....
その夕刻は
果てなく寂しい金色でした
誰か、
いや、何かに
からめとられたような拙さが
その時ばかりは輝いて
どんなに小さな約束ごとでも
あなたにやさしい髪飾りとなって
わたしは長 ....
一斉に
咲け、と命令されたから
季節たちは
夢中になって
駆けぬける
ひかり、が
まぶしいものであるほかに
匂うものでもあることを
なんとなく均衡に
ふりまいて
....
言いたい放題
言われてしまった
でも、
自分は
たしかに
大した器じゃない
けれど、
大した関わりもない人が
たぶんに狭い了見で
よくもまあ
あんなに細々
あんな ....
滅びの歌に怯むとき
ひとつの命を
わたしは
築く
終わるわけにはいかない
消えるわけにはいかない
と、
明日を願って
止まないで
陰鬱な影の主が
華やかな都 ....
ねじが切れると
メロディは
ゆっくり
終わりを
始める
それは
寂しいけれど
唐突ではないあたりが
優しくて
たぶん
わたしの一生も
こんなふうに
終わりを始めるの ....
灯台は
海をさがしている
それゆえずっと
船にすくいの
手をのべる
灯台は
自らの眼を
ながらく持たない
おのれを見つめるものたちの
ことばの向こうを
....
よく晴れた日に
おまえは旅立ったから
空に
おまえを探して
けれど、見つからなくて
わたしはなおさら
寂しくなった
道ばたの
すこし汚れた草たちが
いつかの ....
我が家(実家)には2匹の犬がいました。
約10年前、
年上だった1匹が亡くなり、
きょう、
もう1匹も、
亡くなりました。
とはいえ、19年も生きたのですか ....
たくさんの淋しさは
胸の奥でそっと
優しさになる
それは
くわしく語らなくても
しみ渡ってゆくように思い
いつしかやわらかく
言葉のあやから
遠ざかる
おびえてし ....
えらばれた場所でだけ
かなう願いを
託して
しまいたい
分けられてなお
うつくしいものも
きっと、ある
降る雨の
そのずっと奥のほうで
飾りをえら ....
きみのバスが遠ざかり
ぼくはちぎれて
半分になる
照れくさいぼくを
きみが思い出すとき
薄闇はきっと匂うから
けなげに告げよう
離れた場所で
あすの名を
....
{引用=
一 ゆらゆら、尾ひれ
いい匂いがしたもので
いい気になって
追いかけて
できないことは
どこにもない、と
一目散に
忘れも ....
満月が
飽和してゆく
そっと
するどい涼しさは
船乗りだけの
うろこです
ただ一言でかばわれて
消え入ろうにも
悔やまれて
丸みを帯びた
涙の甘さに
....
あの日を
あの日、と呼ぶことは
思いも寄らないことだろう
あの日の
僕には
時は
流れてゆくものだと思う
追い越せないことは
確かだけれど、
離れ過ぎずに
ちょ ....
海が眠る
その貝殻を
ためらいもなく
拾い上げて
ひとは口々に
語り始めるだろう
春を
春のための春、に
何をも待たず
つとめて実直に
見失うだろう ....
きみの言葉の行く先を
わたしはひとつに
収めてしまう
無限に広がりそうな
孤独の定義の
予感に
おびえて
きみの言葉に
息づくものと息づかないもの
....
理由はありません、っていう理由について
もう少しやさしくあれたら、
と思うんだ
さびしい時刻が生え出したのは
ぼくの、背骨を笑う
星のした
だ ....
わたしの肩が
知らず知らずに
雪を溶かす、ということ
それは
もしかすると
物語ることを知らない
ほんとうの物語
容易には
何事も信じないけれど
疑うとなれば
....
夜を、
わたしの、夜を、
誰かがたやすく追い越して
ちがう、
誰か、は、
待ちぶせる
かけら、
手のひら、かけ、ら、
わたしの言葉は瞳を閉じ、て
もうじき嘘になる ....
水晶を砕いてください船底でふゆの花びらかくまうように
捨ておいた言葉に幾度も拾われて星座のたもと鋭角を知る
閉じかけた波音の日がよみがえる月の鏡の無言を浴び ....
運ばれてゆく
ものがたりについて
ずっと聴けずにいたことを
ようやく受け取ったのは
はやすぎた夏、の
たてがみ辺りの
なごり風
眠る、ということが
どれほどの守りで ....
くじらはどこかと
島が問う
空をよこぎる鳥の背中も
きっとだれかは
島と呼ぶから
雨は
もうじき
降るだろう
あまつぶは
ふね
乗るも乗らぬも
う ....
潔いさよならを
口づけられて
風は目覚める
おびえたように
冷たく急ぎ
風は目覚める
それを
避けるでもなく
受け入れるでもなく
花は巧みに散ってゆく
孤独の定義を
....
虹は
見つかることで
虹になるから
虹かもしれないね
僕たちこそが
あの虹の
おもいでの
半分くらいを
間違わずに済ませたら
上出来だとおもう
ごらん
途 ....
胸は
すぐに
いっぱいになります
それゆえわたしは
多くを連れて
行けません
あなたを
はじめて呼んだ日に
こころの底から呼んだ日に
海は向こうになりました
永 ....
過保護な獣は病みやすく
保護なき獣は
{ルビ傷=いた}みやすい
野に{ルビ棲=す}む者よ
たがいの{ルビ荒=すさ}びが
見えないか
涼しさ寒さは紙一重
闇夜も夢も
紙一重
....
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