くれない綴り
千波 一也


その
日没に名前はない

幾重にも
さまよう翼が
無効を告げられるだけ

次々と
帰されるだけ


名もなき標は
明々と燃えながら
あまりに
静謐で

無数の火の粉が
我らに降る

貰い火が
勢いづいて
圧倒的にうつくしい


奇跡のうたが欲しければ
瞳を持てば
それで良い


その
日没に
名前はいらない

わずか数秒の永遠を
約束たちは知っているから

もう
十分だから







自由詩 くれない綴り Copyright 千波 一也 2012-08-13 11:43:20
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