昼時とはいえ、冬だというのに大変な暖かさだった。
コンビニエンスストアで買った500円未満の弁当を手に持って、ベンチに腰を下ろす。
さすがに、風が吹けば体は凍える。冷たい空気は固まっている。

 ....
頁をめくる指に
降る水がある
温度とそうでないものとが混在し
それは仄かな懐かしさで
やがて積もっていく
一月の末日
漢方の匂いが漂う診療所の待合室
あなたはまだ誰にも知られていない
 ....
南極のオゾン・ホールが日本の面積の約80倍に....

そんな現実感のとぼけたニュース・テロップを軽く読み流しつつ
某建物の二階にあるコーヒーショップの窓辺からこの文章を書いています。
窓 ....
重工業集積地域を有する日本海に面した地方都市を、分断するように突き抜ける主要幹線道路国道8号線。その通りにある大型電機店の二階、超高画質薄型液晶テレビの前で私は見知らぬ年若いロシア人と隣り合って同じ画 ....
夕暮れの遠くに霞む
四台のクレーン車は
輪を描くように向かい合って
なんだか
太古の昔に滅んだ恐竜の
弔いをしているように見える


朝に洗濯物を干す母親は
太陽に両腕を広げ ....
酒は止めよう

テンション上げて
暴れて楽しい夜もあったが
最近は愚痴率がかなり高くなった

恋愛話なんか
今さらだし
それを語り出せば
結局昔話になってしまうし

飲むと頭の回 ....
霧雨の夜に、歩道橋の上で見た淀む街は幻のようだった。
息絶えた夜の、ぬめっとした幼い声が聞こえてくる。


 修学旅行の記念写真。 片腕の小さな幼馴染。
 3tトラックが走る過ぎる風の振動で ....
青空や涙や鉄や靴
そのようなものと
血が繋がっている子


白昼のなかに
いつかのおまえは佇む
姿かたちはみえないのに
挨拶する声が聴こえる


十二月の終わり
終業式を終えた ....
山に囲まれた盆地で、水を集めて田を耕す友人は、
帰り際に、果物をくれた。


中学時代、いやもっと幼いころ。小学校に通う頃か。
唯一の国道113号線が、地吹雪で渋滞を起こした。

雪 ....
部屋の隅で金を拾い
北海道にスキーにゆく
大きな河の中で溺れるのは
明日の昼過ぎだろう

隣の猫の眼にも百年前の
魚が泳いでいるのが見える

俺の顔も猫になって
阿武隈川の清流で溺れ ....
正午、部屋は光に満ちる。

時計の針がセットされた時間に辿り着く。
耳障りな音がする。

木造の匂いが嫌だ
と、公園のベンチで眠るわけではない。

布団で寝たら、起きれないのだ。
明 ....
振り返る
後ろから来る君がはぐれないか
振り返ること

振り返る
君がいなくても
他にはぐれた人がいないか
振り返ること

多分そんなことを教わったのだと思う
それが本当の愛な ....
少年と少女のささやきが
午後いっぱいの光をあびて
牛になる
と、牛飼いの男がやって来て
どこかに連れて行ってしまう
もう少年も少女の
ささやきはしない
語られる愛と
愛に似たものは
 ....
夜中、リビングに降りると
テーブルがひとりで
テレビを見ていた
外国の戦争映画だった
たくさんの人が
次々に命を落としていった
リアルなくらい
みな清潔な最後だった
突然テーブ ....
世界の端っこのようなところで
僕と牛とがシーソーをしている
ぎったん、ばっこん、する度に
審判の人が紅白の旗を挙げて
正誤を判定する
あまりにも長すぎたね
どっちがどっちなのか
 ....
十月の昼下がり
ガードレールに寄りかかって
ゆっくり喫煙をすると
内側にある熱いものが
とろけるように放出されてゆく

確か理科の時間に習った
高温のものと低温のものを並べると
熱 ....
青信号になる。人の波が横断する。
上場企業のアナウンスがされる。数字は行ったり来たり。
工事現場の警備員が赤いスティックを振る。交通安全と家内安全。
ベルトコンベアー式に一日が流されていく。
 ....
その場に、
軽やかな羽があって、

水に、
必要な、
生きるために必要な栄養があっても。


僕は動かない。
ましてや、毒蛇の授業参観であっても、
僕は動かない。
はじめまして
しょっかくもどきです
むしのあたまにはないけれど
さんねんめになります
ネコをみるのがとくいです
どこまでつづいているのか
ときどきふしぎになります
こんなわたしですが
 ....
地上23階のビルの入り口には、受付嬢が2人いる。大理石の床にはいつも、雨よけシートが敷かれている。エレベーターホールに向かう途中、受付嬢と挨拶を交わす。

「お疲れ様です」
「お疲れ様です」
 ....
その、
 扉が開けば、
  動き出す、風の群れ。

その、
 光が曲がれば、
ゆがみだす、
 大量破壊兵器。

音、
 手拍子、
  飛散された電子。
   収縮する偶然。
 ....
 図書館で『アンチ・オイディプス』『特性のない男』『謡曲集』を借りるが、突然の豪雨に襲われる。
 それはそれとして、今更ながらにドゥルーズ=ガタリは面白い。読み始めたばかりだが、壮大な散文詩と言えな ....
あなたの古い帽子の色を
新しくし続けている
寂しいことがいつも
正しいこととはかぎらないけれど

もう少し、窓を、開けて
虫たちのお葬式が
時々見えるから

小さな座卓では
行儀の ....
早朝の廊下に
自分の小さな臓器が
ひとつ落ちている
拾い上げて
その、つるりん、とした表面を
爪の先で掻いてみる
夕べはここが痒かったのだなあ
ということがわかる
身体に戻すの ....
空から降って来い カネ
道路に整列したマッポを激写するために
失踪したヒロシが いなくなる数日前に呟いたってさ

空から降ってこいよ カネ
今日は、メッケの赤Mが、ボレノバのガーフィーのさき ....
河口のある町に産まれて
背中が痒いことも
何度かあった
自分に似ているものがあれば
それだけで少し嬉しい

昔の知り合いに
夢の中で再開した
春、と呼ばれて
会話をすることなく
 ....
女房と二人で梅干づくりをする。
台風が近づいている。
空は青く晴れているが、蒸し暑く
窓から入ってくる風は生暖かい。
梅の実のいい匂いがする。
昨日、兄嫁の実家からいただいてきたもの ....
今月末、女房の実家に墓参りに行く。
仕事の都合などで、もう三年ほど実家には帰っていない。
鹿児島なので、千葉からそう簡単に行けるところではない。

墓地は高台にある。
眼下にはきらき ....
先日、父方の伯母が亡くなった。
父は十人兄弟の六番目。
兄弟のなかで、この世を去ったのはこれで二人目になる。


雨が降っていた。
最初父は、「お前は来なくてもいい」、と言っていた ....
 〈忘却〉について考える。それは、歴史を見つめることから始まる。そこで問われるのは、歴史とは何か、ということでもある。歴史とは死と生の連続である、と私は考えている。戦争の結果も、科学的発展の足跡も、偉 ....
プテラノドンさんのおすすめリスト(268)
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