どこからかまた盗賊が来て
盗んでいった
かまぼこ板だけなら良かった
かまぼこまで盗まれたら
僕ら家族はかまぼこを食べられない

子供たちは泥棒さんが来た、と大はしゃぎし
とりわけ下の子は ....
せっかく外に出たのだから
妻と娘に土産を買って帰りたかった
二人が泣いて喜ぶようなものではなく
小さな包みのもので構わない
ほんの少し甘いお菓子で
お土産買ってきたよ
あら、ありがとう ....
机が坂を滑り落ちる
その形状を保ちながら
机が坂を滑り落ちていく
誰に目視されることもなく
他に滑り落ちるもののない坂を
机が机として滑り落ちていくのだ
ああ素晴らしき滑走!
け ....
子供が行きたがっていたはずの
遊園地に行った
子供が恐がるであろう乗り物
恐がらないであろう乗り物
そのひとつひとつに順序良く
そしてなるべく丁寧に
乗っていく
スタンプカードがたまった ....
サンディの煙草は誰にも止められない
と、誰もが思っていることを
サンディはなんとなく知っている
黒く長い髪
茶色のひとみ
その他の身体的特徴
にもかかわらず
サンディといえば
 ....
子供たちでなくても笑顔が
そこにあることは
どんなにか素晴らしいことだろう
ただ だ
今を笑い飛ばせることこそ
生きる知恵と思う今日
はいさおじさん

陽気さを
噛締め ....
  
  わたしの中に森が生まれたとき
  その枝は音もなく広げられた
  指先から胸へと続く水脈に
  細く流れてゆく愛と
  時おり流れを乱す悲しみ



  わたしを立ち止まら ....
もし月が地球に落ちてきたら

全世界の人々は両手を天に掲げて

月を支えようとするだろうか
 
  
すれ違うままに、時折り消えていく存在。

かすかに足の裏が傷む。その感覚が拡張され、次第に、体全体へとその痛み蔓延する。血流の呪いか、はたまた肌に溶け込んだ電子の波の影響か。
大量に流れ出る汗は ....
かくとは
どういうことだ

なまくらの安包丁
長く使い過ぎ
先がひん曲がって
薄肉を切るにも逸らされる
研石を買ってはみたが
いま切るのには役立たない


天井に匂いが立ちこ ....
トムソンはがぜる
がぜり続ける
健やかに育ち
育ち続ける梢と梢の
間からメニューを覗き
何という名のファミリーレストランか
ハンバーグを和風セットで注文する
まるで都会だねここは
 ....
影の、模様が、オレンジ色の光の混ざって、
ひときわ目立つ、クリーム色の壁。

朝には、日差しが、ベランダの、遅起きの昆虫を、
執拗な温度で照らす。

次の日も、町内に響く、下校のチャイムが ....
海に行く
護岸の上でいつものように
体操をしているおじさんと挨拶する
釣り糸を垂れる
魚が一匹釣れる
魚を一匹殺す
やがて日が暮れたので帰宅する
途中おじさんはもういない
今日 ....
私はやはり、と
言わざるを得ない
やはりあの{ルビ畦道=あぜみち}を
脇目も振らず
私は歩いていたのだと


炎天、真昼、陽炎
夏が侵攻していた
それはいつも匂いから始まる
濃厚な ....
波が押し寄せてくる
出し抜けに吸い取っていく過保護なアルコール
君が冷房を消してくれたから

世界の温度がすこし下がった

雨が降るのも、それが理由なのも
走り出す、それだけの、焼きつい ....
見上げている空にも
今ごろ風が吹いているのでしょうか
雲がゆっくりと
あるいは形を変えて

あのやがては消えていくものたちのように
わたしももっと強くなりたい
僕はドイツの肉屋の息子
来る日も来る日もホルモン刻み
父ちゃん変態血まみれレバー
逃げた母ちゃん弁護士探す

僕と父ちゃん血まみれ厨房
来る日も来る日もホルモン洗い
排水溝には白いカス
 ....
終わらない夜の中を一人の少年が歩いていく
顔につけた 角の生えた仮面
自分の顔を隠したつもり
自分を自分の身を守るつもり

声をかける人 優しく触れる人
みんな
その角の生え ....
もういやや。

もういやや。

もういやや。

もう・・・  。


(ここで突然、私が

英語を喋り出したら面白いのにな。

何かに取り憑かれたみたいに

知るはずもな ....
曇った窓ガラスに
家の印をつけて
それから
母の勤めている店の印をつけて
でたらめな道でつなげる
窓が汚れるから、と
後で怒られたけれど
それがわたしの初めて描いた
世界地図でした ....
君がぽかんと口を開けているのは
口の中で風が吹いているからだ
その正体が何であるのか
問う方法も知らないまま
ある日突然に
君は君であることに気づくだろう
そしてそれは
君が君で無いこと ....
渦巻くのは散々だ。ひとつ通り越せば円形の日々がまたたく前に振り落ちてくる。ゴーイング午後。そしてその先から、定規で引いたような白線が舞い上がり、先走る道をただただたどたどし、く、たどり。ただその、嘘。 .... てっぺんでは

からすがしんでいる

この長い坂で

唯一すれちがった女の嘲笑を

不可解には感じたが

歩みを止める権利のない僕は

そのまま

遊園地へむかうとする
君は脱ぐ
同時に着る
どんなに脱いでも
君は君の核心から遠ざかっていく
まばゆい光の中
生まれたての姿になり
男たちの暗い瞳でできたプールを泳ぐ
淵に腰掛けていた男たちは
 ....
 私の部屋を嵐が行過ぎた
 隣人の部屋に避難する

隣人の部屋
 
 廊下には、泥水をかぶって、折れた枝
 幾重にも髪がからまり、とぐろぐろと黒い

雪が降り出した
雪は圧縮すると燃 ....
九月三日、僕は死んだ
メキシコのティファナで

 黄色い風は心をすかし
 物売りの少年は
 人生を今だと言う


二月十日、僕は死んだ
ポルトガル領マカオで

 外国の顔 ....
高温のベランダ。光が照らす形。光に溶けていく体。ここから先へはいけない。夜が待っている。
蛙は水田で鳴く。鳥は空で鳴く。人は蛙と鳥のあいだで鳴く。ここから先へはいけない。朝が待っている。

芸術 ....
ああ
はぐれていこう
ああ
わたしはここにいる
ああ
雨の日に傘はいらない
私は涙
ああ
晴れの日はアスファルト
太陽よりも熱く
燃えてしまえ
あああー
 ....
私の葬式がささやかに執り行われ
友人らが久しぶりに集まった
青空には透明な道が果てしなく続き
新緑に人々の喪服が映えて美しかった
一滴の涙も流されず むしろ
想い出を懐かしむ声で
小さな式 ....
{引用=私イコール作者だと信じる純朴な読者は、読むな。}


夫のいびきが隣の寝室から聞こえる
ここは私の部屋で ここにあるのは私の取り分
大きな書棚 たくさんの本 オカリナ ちゃちな顕 ....
プテラノドンさんのおすすめリスト(268)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
盗賊がまたやって来た日- たもつ自由詩1805-9-16
漂流- たもつ自由詩3105-9-6
孤独- たもつ自由詩1205-8-31
飴玉- たもつ自由詩1805-8-18
サンディのこと- たもつ自由詩43*05-8-14
ニコニコマーケット- デニスホ ...自由詩1*05-8-14
森の風景- 嘉野千尋自由詩36*05-8-12
もし- たもつ未詩・独白1105-8-12
不確かな存在3(風が起きるまで)- チャオ散文(批評 ...3*05-8-10
包丁- 大村 浩 ...自由詩10*05-8-9
トムソンはがぜる- たもつ自由詩1005-8-9
住宅地の陰口- チャオ自由詩3*05-8-6
海に行く- たもつ自由詩1405-8-4
侵攻する夏_(2005.8.3)- 和泉 輪自由詩1605-8-3
Iiwake(渚にて)- 示唆ウゲ ...自由詩305-8-2
童話(雲)- たもつ自由詩1005-8-1
ドイツの変態肉屋のジュニア- haniwa自由詩3*05-7-31
赤い角- HARD自由詩2*05-7-29
妖怪子供。- かのこ未詩・独白405-7-28
童話(指)- たもつ自由詩3805-7-27
子供- たもつ自由詩38*05-7-23
金鳥(リプライズ)- nm6自由詩805-7-23
六ノ坂- コトリ自由詩5*05-7-21
ストリッパー- たもつ自由詩2305-7-21
隣人計画_3- 英水自由詩2*05-7-20
生と死のリフレイン- Tsu-Yo自由詩405-7-20
光の声、闇の声。一つの声- チャオ散文(批評 ...4*05-7-19
あの子は赤いハリケーン- デニスホ ...自由詩4*05-7-18
昇天日和_(2005.7.18)- 和泉 輪自由詩3105-7-18
鏡を割りたくなるわけ- 佐々宝砂自由詩15*05-7-16

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9