「挙手なさい。指名しますから」

 と、言っておきながら先生は今回も、窓の外を憂鬱そうに眺めている由美子を選んだ。
 由美子が渋々立ち上がり音読を始めると、皆が黙って聞く姿勢。まあしかし、一部の ....
オープニング
どこまでも行く
つきあたりを右折
空港がある
  教師のAさん(仮称)は空港を黒板に板書していく
  重要なところは赤いチョークで
  重要だがそれより重要度の低いところは黄 ....
   裏庭について – それからすこし家の話

 北里、という地名がある。しばらく住んでいた時期があるが、そこの風景を思い出そ
うとすると、まず祖父の家の入口が面している道路から左手 ....
時計は空を飛んだ
時間のことなどすっかり忘れて

町工場の青い屋根と
遊園地の小さな乗り物と
チャペルへと向かう花嫁が見えた
風景はずっと続いているようだった

やがて良い感じのする原 ....
 
夜明け前の校庭で
父が賞状を受け取る練習をしている
もう賞状なんて
誰からももらえるはずないのに
ひとつひとつの段取りを
生真面目に確認している
毎日この時間になると
不自由になっ ....
父の髭を剃る
一週間たった柔らかいのを
電気で剃るのは難しい
首など歯のあたりにくい所は
よく伸びる皮をひっぱて剃っていく

その薄くなった皮膚の下に
赤くて細い血管が透けて見える
こ ....
セックスは小さな死だという

それならばこれは

五万字の熱情がこもった
劇薬による死だ



女は出産することもできるが

男は排泄しかできない

その事実に
絶望一歩手 ....
 
 
1.
ハイスクール・ボーイなりの事情でひきのばしたまま、と、自身の怠惰らしき怠惰な事情を知りつくしたまま、で、まったくアップテンポな27歳その年にして彼は、初めて煙草を口にした結果かどう ....
食べても

食べても

満たされないの


溢れるくらいの

優しさも

もったいくらいの

気遣いも


まだ

まだ、まだ

まだ


足りないの
 ....
造られた仮面は

私の傍に転がっていて



「さぁ、お好きなのを選びなさい」と。



私は傍にある仮面を片っ端からかき集めて
全部ちょうだい、と言って笑ってみせた


 ....
手が、震える


繋がる術を、なくしてしまった

温かい手はなくしてしまった



あぁ、手が震える



この手を握ってほくない

と、言ったら嘘になる



 ....
午前1時

待ち焦がれるは
君だけの着信音

部屋中に鳴り響く
君だけの着信音

気まぐれな君の事だから
「一時間も何してたの?」なんて
責められない

惚れてしまった私の負け ....
先生?

ちゃんと見てよ

小さなSOS

見て見ないフリしないで。


先生?


『イジメられる方も悪い』


って?


あぁ、そうだね。

私にも原因が ....
捨てないで、なんて
自己中心的な話


おいていかないで、なんて
迷惑な話


君の手に、なんて

すがりつけない
頼らない


でも、もし私が
壊れてしまったら

 ....
敵の居場所は知っている

私の中の私自身


不細工な顔でこちらをみてる


敵の居場所は知っている

私の中の私自身


敵が憎い

敵が嫌い

敵は無力


 ....
ぼくは潜水艦になる
押し入れのハッチを閉じて
ながいながい航海にでる
まっ暗の中のひとすじの光は
消えることのない流れ星

ぼくは潜水艦になる
黒いごみ袋に入って
埠頭についたパパとマ ....
 
たくさんの鳥

そして少しの懐かしい人を乗せ
他に何も無いような空港から
飛行機は飛び去って行った

覚えていることと
忘れていないことは
常に等量ではない

夏の敷石の上で ....
俺はマイナスイオンを浴びようと思った
おだやかに泳ぐブルーギルたちを眺めながら
支流にある光明の滝をめざし
七北田川を自転車でさかのぼった。
野村で湯葉専門店の看板を見つけ
自転車から降りて ....
走りきて吾が手をとりて飛行機雲
指さす孫は 1才と半


{引用=
   (孫=まだものが言えなかった頃)
階段が出港する
上る人も下る人も
その時だけ水夫になるのだった

ドラを打ち鳴らす男、今日も支配人

石の庭に椅子を出して座ると
どちらが本当の笑い話か
ほとんど区別がない
階段の近くで生まれました
階段で話をして
それから歌い
お互いの名前を呼び合い
Tシャツ、セーター、靴下、下着の類
何度も着替えをしました
時々触れて
時々離れて
おしなべてそのどちら ....
カブトエビ、という
小さな甲殻類がいるそうですが
さっきから門の前では
牛に良く似た人と
人に良く似た牛とが
縄跳びをしています
縄跳びが終わったらあの人と牛に
カブトエビの話を聞い ....
 崖のふちに立ち、足の下を眺めた。吹いてもいない風が、体を崖の下へ突き落とそうとする。思わず後方へ重心を移動させる。視界が、下から上へと上がる。そこには青く透明な空があった。

 大学時代の友人が ....
 東京に上京してから、全く耳にする機会がなかった蛙の声を、出張に行った帰りに聞いた。それは、東北だったか、広島だったか。どちらだったかは覚えていない。
 その時、急に鳴きはじめたわけでもない蛙の声が ....
 今日は休みだったので、十日位前から駅のポスターで見て行きた
いと思っていた「オルセー美術館」が催されている上野の東京都美
術館に行った。展示されていた詩情ある名画の数々は、やはり味わ
い深いも ....
               2007/03/06

アラビア風に
目の下を
コール粉で
黒く塗る
世紀末の
ガングロの起源かと思ったら
直射日光の
眩しい反射を遮って
目を
 ....
隔たりを埋めるために

どこまでもどこまでも下ってやるんだと思っている

今数々の生き物たちと別れを告げて

新しい出会いと別れという

いわゆるお涙頂戴を繰り返しながら

たまに ....
国際的なホテルの前には、立派なスーツを着たベルボーイが立っていた。
駐車場から出る車の警告音が鳴らされる。
人々は、まだ見ぬ車の姿におびえ、左右どちらかに少しばかり、ずれる。

大きな旗と、大 ....
空からは 降りてくる
土からは 起きあがる
手をさしのべて
のびをして
あくびする
呼ぶ声にこたえる
うつくしく
わらう





                    { ....
1

スタンドミラーの前に彼女は立っていた。
肩越しに覗くと、ブロンドの髪の少女と目が合った。

女装クラブの更衣室は、何故かG・K・チェスタトン「木曜の男」を思い出させた。

2

 ....
プテラノドンさんのおすすめリスト(268)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
山道で蹲る、由美子- N哉自由詩3*08-1-25
オープニング- たもつ自由詩808-1-9
【エッセイ】裏庭について_–_それからすこし家の ...- mizu K散文(批評 ...5*08-1-8
準備- たもつ自由詩907-12-18
表彰- たもつ自由詩707-11-28
髭剃り- たもつ自由詩707-11-26
プラス十万字- 佐々木妖 ...自由詩5*07-11-9
ハイスクール・ボーイその後- nm6自由詩407-11-8
はらぺこ- 三奈自由詩2*07-11-3
仮面- 三奈自由詩6*07-11-2
夜にオモウコト- 三奈自由詩6*07-11-1
午前1時- 三奈自由詩4*07-10-31
先生?- 三奈自由詩4*07-10-30
ガラクタ- 三奈自由詩6*07-10-29
未来- 三奈自由詩10*07-10-28
潜水艦の季節- くろねこ自由詩1107-9-18
綴じ代- たもつ自由詩2607-6-21
光明の滝- 構造自由詩507-6-17
昭和五十五年- むさこ短歌7*07-6-16
旅立ちの額縁- たもつ自由詩507-5-22
木漏れ日隠れ- たもつ自由詩1107-4-27
小さな甲殻類- たもつ自由詩807-4-12
ダニエルは飛び込んだ!- ブライア ...散文(批評 ...1*07-3-31
蛙声- ブライア ...散文(批評 ...3*07-3-17
ゴッホとの対話〜オルセー美術館にて〜_- 服部 剛散文(批評 ...407-3-9
アル・コール- あおば自由詩10*07-3-6
マントル- 石田 圭 ...自由詩3007-3-5
無視する声- ブライア ...自由詩1*07-2-28
はる- 渦巻二三 ...自由詩11*07-2-26
Queen_of_the_town- んなこた ...自由詩107-2-22

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9