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 西の空、山の先がわずかに明かりを残している。周囲のビルの明かりは灯されていた。西の空が青と言えなくもない色から、闇に変わる。エレベーターホールから覗く外の空はすでに夜だった。自動ドアの前まで歩く。ド ....  友人の結婚式で訪れた故郷。山が四方を囲んでいる。幾多の虫の音が聞こえる。駅のホームには人の姿が疎らだった。日焼けをした高校生の男女。運動部の学生だろう。大きなボストンバックに汗をふくためのタオルが、 ....  駅前のカフェでサリンジャーの短編小説を読んでいた。ブラインド越しでも西日がきつく、窓を背にする席を選ばなかったことを後悔した。木製のイスも座り心地はよくはない。空調も若干効きすぎている。要するに ....  君が東京につく頃までには、この手紙を書き終えたい。そして君が東京を去るときまでには、この手紙が君の下宿先のポストに入っているようにもしたい。難しくはないんだ。余計なことは書かず、必要最低限だけを .... I want the toys of other boys
I want a knife and a gun and things
But Mom and Dad will not give  ....
モーパッサンの短編に『口髭』というのがあって、口髭にある種のフェティッシュを感じる女性が延々と口髭愛を手紙にしたためているという作品なんだけれど、その手紙の結びにある、「最後に――口髭万歳!」という部 .... 千歳空港から羽田空港までの約一時間のことだ。下降を始めた飛行機の窓から外をのぞいていた。新木場の臨海公園だろう。夜の街に輝く観覧車が見える。その横は真っ暗な海が広がる。観覧車の光は海をわずかにでも ....    裏庭について – それからすこし家の話

 北里、という地名がある。しばらく住んでいた時期があるが、そこの風景を思い出そ
うとすると、まず祖父の家の入口が面している道路から左手 ....
 崖のふちに立ち、足の下を眺めた。吹いてもいない風が、体を崖の下へ突き落とそうとする。思わず後方へ重心を移動させる。視界が、下から上へと上がる。そこには青く透明な空があった。

 大学時代の友人が ....
 東京に上京してから、全く耳にする機会がなかった蛙の声を、出張に行った帰りに聞いた。それは、東北だったか、広島だったか。どちらだったかは覚えていない。
 その時、急に鳴きはじめたわけでもない蛙の声が ....
 今日は休みだったので、十日位前から駅のポスターで見て行きた
いと思っていた「オルセー美術館」が催されている上野の東京都美
術館に行った。展示されていた詩情ある名画の数々は、やはり味わ
い深いも ....
地上23階のビルの入り口には、受付嬢が2人いる。大理石の床にはいつも、雨よけシートが敷かれている。エレベーターホールに向かう途中、受付嬢と挨拶を交わす。

「お疲れ様です」
「お疲れ様です」
 ....
 図書館で『アンチ・オイディプス』『特性のない男』『謡曲集』を借りるが、突然の豪雨に襲われる。
 それはそれとして、今更ながらにドゥルーズ=ガタリは面白い。読み始めたばかりだが、壮大な散文詩と言えな ....
女房と二人で梅干づくりをする。
台風が近づいている。
空は青く晴れているが、蒸し暑く
窓から入ってくる風は生暖かい。
梅の実のいい匂いがする。
昨日、兄嫁の実家からいただいてきたもの ....
今月末、女房の実家に墓参りに行く。
仕事の都合などで、もう三年ほど実家には帰っていない。
鹿児島なので、千葉からそう簡単に行けるところではない。

墓地は高台にある。
眼下にはきらき ....
先日、父方の伯母が亡くなった。
父は十人兄弟の六番目。
兄弟のなかで、この世を去ったのはこれで二人目になる。


雨が降っていた。
最初父は、「お前は来なくてもいい」、と言っていた ....
 〈忘却〉について考える。それは、歴史を見つめることから始まる。そこで問われるのは、歴史とは何か、ということでもある。歴史とは死と生の連続である、と私は考えている。戦争の結果も、科学的発展の足跡も、偉 .... ショッピングセンターによくある、店長に一言みたいなやつ、あれって読むと結構楽しい。まあ何を書かれても(批判でもバカくさい意見でも要望でも)とりあえず店長はあやまっておくってのが基本姿勢のようだ。
「 ....
 平野啓一郎氏の『文明の憂鬱』のうち一篇を読み、メディウム(medium)から発生した語がメディア(media)であり、それが中間を意味するものだと知った。この「中間」というものは、人間にとってはとて ....  『ゲド戦記』、読んだことはあるだろうか。
一巻目は傑作だと、私は信じている。
副題は「影との戦い」である。
主人公であるハイタカことゲドが、影から逃げ回る話だ。
なぜ戦わないのか? 勝てない ....
 ミヒャエル・ゾーヴァをご存知であろうか。
彼は私の好きな画家の一人で、絵本の挿絵なども手がけている。
彼の絵画を見知ったのは、高校生の折に図書館から借りて読んだ
童話『ちいさなちいさな王様』の ....
触覚で考えてみるとこうだ
たとえばいまきみが四六時中スーツである必要があれば世界は終末をすでにむかえている
そんなときは生き残っている事実を中心に思想を固めるべきだとわたしはおもう
今はまだシャ ....
     今夜も僕はこれから詩を書くだろう。
     この世界の何処かで初冬の密かな風に震えて
     独り詩情を求めて街灯の灯る夜の小道を歩く
     名も無き「も ....
 思い返せば僕にも「青春」と呼べる時期はあった。新宿・歌舞伎
町で地面にダンボールを敷き、夜明けの始発の時刻に僕等は立ち上
がり、それぞれの現実に向かって歩き出し、駅の改札で互いの手を
打ち鳴ら ....
すれ違うままに、時折り消えていく存在。

かすかに足の裏が傷む。その感覚が拡張され、次第に、体全体へとその痛み蔓延する。血流の呪いか、はたまた肌に溶け込んだ電子の波の影響か。
大量に流れ出る汗は ....
高温のベランダ。光が照らす形。光に溶けていく体。ここから先へはいけない。夜が待っている。
蛙は水田で鳴く。鳥は空で鳴く。人は蛙と鳥のあいだで鳴く。ここから先へはいけない。朝が待っている。

芸術 ....
彼女達の足がモデュロールを刻む。スポットライトが暗闇のステージを照らす。観客はステージを凝視する。ダンスピープル。彼女達の足が刻むモデュロール。

魅力的なのは妖艶なのか。無印の、無垢の、表情が重 ....
形状と言えば、影の淵の庭に続く、丸みを帯びたプール。死んだ水滴の集まる、丸みを帯びたプール。

形は、そこに記されている。それが見えなくとも、匂いで分かる。影の、淵の、庭のような匂い。それらの形は ....
水蒸気が薄く空の前にはばかっている。鮮やかな青空はこうして、くすんだ青空を獲得した。目の前に広がる、見なられた景色。今じゃ、コクコクと変化していく時間に褐色じみた進化を見せている。だけど、少子化の拍車 .... ある物理学者が、人の数だけ次元は存在するといった。人と人が出会うたびにそれらの次元はゆがみ、分裂し新たな次元を生み出していくと。

21歳の春。地元の小さな山の上。見晴らしのいい場所だった。その場 ....
プテラノドンさんの散文(批評随筆小説等)おすすめリスト(40)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
仕事- ブライア ...散文(批評 ...112-10-15
結婚式、ラップタイム、二日酔い- ブライア ...散文(批評 ...6*10-8-11
透明で無害な煙草、倍速で行われる会話、無目的的な快速電車- robart散文(批評 ...110-1-9
消印のない手紙——参考資料⑥- robart散文(批評 ...110-1-7
365分の1としてのクリスマス、あるいは本のカバーについて- robart散文(批評 ...209-12-26
口髭で人はノロけられるのか- robart散文(批評 ...109-12-5
回覧車Ⅳ- ブライア ...散文(批評 ...1*08-9-25
【エッセイ】裏庭について_–_それからすこし家の ...- mizu K散文(批評 ...5*08-1-8
ダニエルは飛び込んだ!- ブライア ...散文(批評 ...1*07-3-31
蛙声- ブライア ...散文(批評 ...3*07-3-17
ゴッホとの対話〜オルセー美術館にて〜_- 服部 剛散文(批評 ...407-3-9
言葉について- ブライア ...散文(批評 ...1*06-9-16
驟雨或いは詩についての覚書- panda散文(批評 ...206-8-22
台風が近づいていた- たもつ散文(批評 ...8*06-4-11
託されている- たもつ散文(批評 ...1406-4-9
当たり前のこと- たもつ散文(批評 ...1206-4-7
忘却についての、ささやかな省察_(1)- 竜一郎散文(批評 ...1*06-3-31
玄関からはいると何かの匂いがした- 篠有里散文(批評 ...2*06-3-28
「中間」とは何か_—無関心に対峙する—- 竜一郎散文(批評 ...2*06-3-17
『ゲド戦記』と『指輪物語』(書評)- 竜一郎散文(批評 ...1*06-2-20
ミヒャエル・ゾーヴァの「スープ皿」に関する言及- 竜一郎散文(批評 ...1*06-2-13
カジュアルなポエムをという思想- モリマサ ...散文(批評 ...9*06-1-6
詩人の墓前に祈る_〜北鎌倉・東慶寺にて〜_- 服部 剛散文(批評 ...9*05-11-20
改札で詩友達と別れた後に- 服部 剛散文(批評 ...7*05-9-26
不確かな存在3(風が起きるまで)- チャオ散文(批評 ...3*05-8-10
光の声、闇の声。一つの声- チャオ散文(批評 ...4*05-7-19
フリースタイル3_(ダンスピープル)- チャオ散文(批評 ...2*05-7-12
銀色のコップ- チャオ散文(批評 ...2*05-7-11
不確かな存在2__(空、のその後で)- チャオ散文(批評 ...1*05-7-4
不確かな存在- チャオ散文(批評 ...2*05-6-29

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