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あの時の理解は宇宙に染み渡ってゆくのだ。

ほかのまぜものを食べてみようか
黎明の貧困のうち商売が成り立たないから
廃墟に廃棄される、ロボットの哀しみの夜を知れば
凍てつく空気を ....
 くつを洗う

 何も考えたくない時

 くつを洗う

 冷たい水

 タワシの感触が

 トゲトゲの胸の内を鎮める

 泡に埋まる真っ白だったスニーカー

 太陽の光を浴 ....
*

・・・・・・・、・・・・・・・、・・・・
・・・・、・・・・・。
・・・・・・・・
・・・・・
・・・、・・

いいえ 堕ちたのは君たちです
堕ちてしまったから脳を損傷したので ....
窓から
射しこむ
ひかりに揺れる
小さな寝顔のうえで
未来がうず巻いている

シエスタ
君は宝島を見つけたのか
シルバー船長や
オウムのフリント
うず巻く海原を越えて
高らかに ....
メノウ色の小瓶がたったひとつ、初めて立ち上がろうとする動物の子のように、リノリウムの床で転がって、鈍い非常灯の光を微かに反射していた、わたしはなにか他のことをしにその部屋に訪れたのだが、そのせいで .... おまえの手には
もう半ば潰れた
折鶴が死んでいた

折鶴がまた羽ばたくことを信じようとする
瞳に縋りつきたい誘惑、がある
だけど、告げなくては
いけないのだ、小さな手よ

おまえの手 ....
前歯を光モノに替えてやろうと思う
「ピカリ、が眩しいだろ?スズメ
奥歯の歯周ポケットから小銭が溢れだして
それを溶かせばいいだけのお誂えさ
ここだけの話しだけど 」
使えば使うほど ....
まるい夜空の温度を
瞼の裏で受け取りながら
狭い歩道をなるべく真っ直ぐになら
ないように歩いた
水の流れた跡も
通り抜ける車の種類も
聞こえてくる音楽も
昨日と同じ
2日前とも
2年 ....
 *

川沿いの萌え木はふるえている
見えない愛を実感したくて
目を閉じて 身をゆだねた

 雨の弦 爪弾く眼差し

貝殻を拾う仕草で
またひとつくぐる風の裳裾
昨日も今日も 
 ....
          l'impromptu


殴る拳をキノコに

罵声を鈴虫の声に

出会う人々すべてから戦意を奪い

あまねく老若男女に和みをもたらし

あらゆる争いを無化し ....
歌が、つたっていく

庭の忘れられたような手水鉢に
雨どいからひとしずくひとしずく

水はいつか溢れるだろうか

歌が
ひとの器から
溢れだすように

きくものをえらばない
染 ....
くまたちが春をわすれると
街はわあっと暑くなる

なんでもない顔をして
生きていかなくてはならない。
箱が産卵する
そして部屋には
部屋のかたちの夜がはいってくる。

眠れずにい ....
夜中に目を覚ましてしまい
それから朝まで眠れなかった

夜が明けた頃
カラスが鳴き出した

そのぶきみな鳴き声に
何だか不吉なものを感じた

以前
道に放置された猫の轢死体の内蔵を ....
1. ドアを開ける
2. ドアを通過する
3. ドアを閉める
4. ドアを開ける
5. ドアを通過する

ドアを閉めなければ次のドアを見ることができません
次のドアの前には空間が ....
夏の空、玄関口
立ち尽くす己
庭木の揺れ、うねる大気、光の庭

ああ世界が広がっていた!
己とは無関係に
何処までも眩しい異郷が

五歳の時のその体験を私は決して忘れない
じぶんとは ....
わからないんだ
青空がなぜあんなに悲しいのか
夕べ見た夢を思い出せない訳も
わからないんだ
故郷においてきた記憶の破片が
なぜ懐かしくないのかも
わからないんだ
テーブルに爽健美茶のボト ....
夢みつつ、ひとつふたつ
昼間から夢ばかり数えて
そんなあなたには猫だって
退屈を噛み殺しているわ

そんな皮肉にもぼくというやつは
こたえもせずに退屈ってのは
どんな味がするんだい、と
 ....
縮れた葉っぱに青虫が転げて
砂利の中に風格ある化石もどき

静かな空におじいさんのくしゃみ
ドクダミの鼻にキッス

川の流れのようなワンピースを着て
牛糞香る路地をのんびり散歩

無 ....
おれが居たんは楽園とかいう果樹園やが
アホウな鳥が啄んだあげく
雲ん上で糞ひり出したもんだから
おれは泥ん中に落ちちまってよ
隣で生ってたあいつらあ
灼然な御神木だとか
世界一臭え花だとか ....
てのひらに
零れてしまったら

死産でしょうね、きっと

背骨が裂ける瞬間より
翅を広げず、駆け出した


(荒野の果てで
空を背負って暮らします)


わたしは粗野で
 ....
先生の一言にさめざめと泣き崩れ
大好きな先生を嫌いたい夜を走りますよ

愛情嫉妬の量を間違えてメラメラ音を立てて
燃える純情ごころも大嫌いっていいますよ

各個の自我が邪魔になるって心の壁 ....
遠い火をみつめている
どこにいても遥か彼方で
ゆらぐこともなく燃えている

あそこを目指していたはずなのだ
臍の下あたりで、眼球のうしろで
わたしのいつ果てるかわからない
火が求めている ....
母は美しい
だから母の死体はきっと美しい

閉ざされた瞼にわたしは
小さなダイアモンドを飾りたい
「石なのに、この世で一番綺麗」
耳にツンとくる冷たい声が蘇る……

母の死因はきっと病 ....
ある日突然 少女たちは愛に目覚める
砂漠の朝 あるいは雪山の夜に
一頭の馬のように私のもとへ
走って来る そして駆け抜ける愛の痛み


運命だと知るには遅すぎるだろうか
少女たちは祭壇に ....
俺の主張は間違っていない
自称詩人は有害でとても危険なのだ
最初はしおらしいこと言って近づいてくるが
親しくなった途端
いきなり首もとに噛みついてくるんだから
ほら、ジュラシックパークで
 ....
はく っ、 りっ

耳を塞ぐと虫の音が耳のなかに響き渡る、鈴虫が皮膚をぞろぞろぞろぞろ這っている。
そも、これは、すずむしか。でも鳴いているだろうが。

り、りりりりっり、りりり
鳴くよ、 ....
優しさのグラデーション
増えた色 密度も増し 煌めきが尖るメルヘンの角
舞って秒を光の粉にして 吹いてゆく 風の小さな心臓

あなたのメッセージを見ると元気が湧く
優しくなったね 昔 ....
魂の相性が気持ちいいの
やわらかな摩擦がいい……

言葉と心を
大切に汚し、ゴミにするの

海の中の、どこかには
息ができる場所があるって
夢に見るほど、憧れてたのに
あなたにすべて ....
夏の夜に眼を閉じて世間を遠ざける
蚊取り線香の燃えていく匂い

いえ、あれは父が煙草を吸い尽くす音
いえ、あれは兄が穴を掘る遠い音
いえ、あれは舟に乗せた人にふる音

どこに行けばいいの ....
あおぞら
シーツが風に舞っている


ひとり
取り残された午後
しろい夢は
触れても何も感じえない


ただ繰り返す呼吸


紋白蝶がふわりと
青に透けて
ひらりひらり舞 ....
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