なつぐも
{引用=―エミリ・ディキンソン " AFTER a hundred years --"に基づく―}

ともだちがだれもいなくなったとき
わたしはその野原にいき ....
やさしいと
感じてしまった愛じゃなく
あれはみんなにやさしい小悪魔


こころ堕ち
欠けた十字架とかも好き
汚れたリアルな愛とかも好き


憎しみを
人の数だけ持つ身だが ....
1.
買ったばかりの鞄に縫いつけられていたロゴを鋏で切るとき
海沿いの坂を上るとき
痛みを覚えた数だけ
報われるわけではないのは知っている
一部を忘れて一部を忘れないで、拗れてゆくのは自分の ....
からだを崩して
水の音が静かに静かに
重力に逆らい天上へとそそぐ

赤ん坊がボールの中で宙返りをしている
老婆は手編みのベストを厳かにまとって
庭木は樹海の水脈を眩しげに浴びる

洞穴 ....
【 ぽつんとしてる 】

石垣に咲いた たんぽぽ
ぽつんとしている
杉木立の山道で 電柱
つん、と 立つ
ガードレールの下に大きくなれないままの大根の花が 
それでも りっ ....
{引用=*筆者より――筆者が本フォーラムでの以前のアカウントで投稿した作品はかなりの数になるが、アカウントの抹消に伴ひそれら作品も消去された。細かく言ふと二〇一五年十二月から二〇一七年二月までの間に書 .... 僕のからだは四肢を欠如し
口だけがやたらめったら気取っていて
目にはencyclopediaが縫われている。

石の頭だけを大きくして
あらゆるものを知っていると
古ぼけた紙のにおいを吸い ....
濃い
牛乳を
まだ薄暗い
牧場の朝
飲んだ
東京を棄てた


影は長く
りんごの木まで伸び
わたしは大人気のタピオカ店を
なぜか思い出し
青くなった空を見上げ
人を

 ....
金の明かりに照らされた
夜桜のトンネルのした を

屋台の光が金色だ。林檎飴をひからせている。

夜叉か、この、爪、爪を磨いて、
夜桜の香にあてられる、
この手が銀の羽になろうとしている ....
まばゆさに目をとじれば
暗闇となった世界に浮かんだ
円が燃え上がる
そんな遊びを繰り返していた

あれはぶらっくほーる
宇宙への入り口か出口だった

だれもかれもみんなおとなになってし ....
駅から続く桜並木
だらだら坂のドン詰まり
君がいた病院があります。

桜並木の木の下には
死体と狂気が
埋まっています。

もう四年も前の想い出ひとつ
今年も桜の木の下で
散りゆく ....
ゆるしておねがい
何か舞う
かけらかに
かけらに
花びらよ雲よ私よ
そして私たちよ
ゆるやかに
ゆるやに
月が満ちて帰ろう
明日から
そう明日から
新しいよ
僕たち
「家族は唐揚げ」
どこからともなく
湧いて出た
その一句
そのしゆんかんから
なにゆえか
俺の心を とらへて離さぬ

幾百万もの言葉があり
百の何乗だかの組合せがある中で
天使 ....
水ぶくれに縫い針を刺した
ねずみ色の朝 そうだ、サラダでも食べよう

人参を千切りにする
かなり細く綺麗にできた
玉ねぎの生食は胸焼けするから
レンジでチンして、水にさらして
レタスをち ....
どこかが開いている
この部屋には
窓がないのに

寝息が 夜をみたし
空の端をそめていく
昏さは
甘えようとすると裏返る

すきだとおもった指あとも
いまいましく沈んで

 ....
メノウのような波
渚にかききえる泡たち
たゆたっているのだ

だきとめたかった
欠けてしまったからだを
小さく、小さく、まるめて

原石の真珠
秘められたままでいい
このまま眠るか ....
ぼくの朝は完結しないつめたい夜を引きずってはいない
ぼくの大腸は閉塞して夜をためこんでいたけれどもね

カーテンを引くと天使はねぼけまなこで羽ばたいている
窓からのぞくと景色のはじに満開の桜の ....
 少女の告白した罪を
 ゆるしてあげたかったわたしも、
 少女であった

のどけき春
光のさなか
惑いにとらわれた指のかわりに
野花をそっとよけ
スカートのひだが重なりあう

 ....
真珠はだれに殺された
孫娘に殺された。

 (はないちもんめ あの子が欲しい)

孫娘は泣いている
おうちに帰りたいと
泣いている
真珠の背中のぬくもりが
帰るおうちよ
ほたほた落 ....
 花瓶の近くに置かれた姉の唇が燃えてゐる。

 うす紫色の炎が小さく上がつてゐて、読んでゐる文庫本に今にも火が移りさうだ。

 目を細めて見ると、表紙に「菜穂子」と書かれてゐた。
 ....
表通りの あわただしい正午に
ようやく腰をおろすと
さっきまで 見知らぬ背中が座っていたはずの
この 革張りのカウンターチェアが
ぽっかり冷たい

ーー記憶を失くした 若いピアニストのよう ....
飲んでもよい水なのだろうか
川辺の花は
瑞々しい

夢が夜霧に濡らされて
私に指が生える頃

花を摘むのが
私のしごと
花を摘むのが
私のしごと


舟が渓間をぬって
流れ ....
パジャマに血が滲んでいる朝は
なぜか少し早く目覚める
眉をしかめシーツを確認する
空は綺麗だ



わたしを好きと言う
その唇が
おどけにも見えるし真面目にも見える
アイスコーヒ ....
詩が書けるヤツはドンドンアップすればいい。
ネット以前だったら新聞・雑誌に投稿しても、
選考するヤツの目にとまらなければ早々と水子にされる。
出版業者に頼んでみても「字が書けない脳性マヒの少 ....
静かだ
ただ ただ 静かだ

そんな中で母が逝こうとしている
チューブに繋がれ点滴を打たれ死と対峙している

春だというのに
桜の花が咲こうとしているのに
母が死んでしまう
無力 無 ....
そっと、やりすごす

3月に降る雪のように
待ち焦がれた春のぬくもりを
追いやってしまっても

身の置き所もない苦しみも
雲間から射す刹那の空想も
砂浜に打ち寄せる静かな波が
押して ....
船はいつものように鎖でつながれるだろう

青い月あかりが尖った夜の冷たさで
恋人たちを未来へと追い立てるだろう

ビルの上を飛ぶアホウドリの
啼き声がなにを求めているのか
大空を ....
単純にじっとしていられなくて胎児は未熟なその足の片方で蹴った。
に過ぎなかったのに、女はそれが嬉しくていとおしくて、側にいた男に報告した。
「私たちの赤ちゃんが今元気にお腹を蹴ったわ」
まだ生ま ....
 低気圧が近付いてゐる午後。

 少年が鉛筆を削つてゐる。

 室内に、新しい芯の匂ひが満ちる。

 「隆、下りてらつしやい」

 と、羊羹を切り終へた母の声が階下から聞こ ....
詩というのは、心情の吐露とか、綺麗な風景を綺麗に書くとか教訓めいたこと、哲学めいたこと、社会批判、を共感を得やすいように、大勢が納得するような比喩をつかったり美しい表現をしたり、あるいは素敵なぐっとく ....
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