すべてのおすすめ
ほら今日もラインは元気に流れてくる
あなたよりあたしより元気に
たぶんこの工場の中でダントツ元気に
あたしは箱を広げる
あたしは箱に折り目をつける
あたしは箱を組み立てる
あたしは箱に ....
ママチャリを漕いで
16号線を走った 少年の日
太陽はじりじり肌を焼いた
片道40? カモメのジョナサン
のように自らを鍛えるために
でかけたのだった
....
いつか来た道を
なぞる度に消えてしまう
机の上のあの地図は
濡れたままでいる
一番と名前のついている街には
今もあなたが
住んでいることになっている
い、ろ、は、で振り分けら ....
布団を上げると
やもりが一匹
ぺったんこになってました
どこも腐ってなくて
見事に水気が無くなって
臭いもありません
ミイラという言葉より
押し花という言葉が
頭に浮かびまし ....
奪われたものは奪われたままに夜は消え
春をいろどる明るい粉は素知らぬ素振りでダンスする
海はかたちあるものを映すことができずただ光を反射し
あまりに眩しいので虫たちはみな死に残るのは切り絵だけ
....
私は大地だなんて今更そんなこと歌いながら歩いてゆく
まひるの高速道路さすがにちょっと危険
でも引率する彼女の後ろにはぞろぞろと娘たちがついてくる
娘たちは美しかったり美しくなかったり
あるいは ....
熟しては落ちて
眠って
芽吹いて育つ
女は
ちいさな死と再生を繰り返す
熟しても奪われない
非日常を望む
片方のこころの疼く日に
少なくある
真剣なまなざしに
ゆるやかに
目を向けたい
何か距離をとって
ぼくらのやさしさが
いかに否定的なものであるか
何か距離をとって
夜の光をみる
堤の上で風を ....
もしも翼があったなら
鳥と間違われて鉄砲で撃たれるかもしれません
飛行機と間違われて
誰かが搭乗しようとするかもしれません
とり人間コンテストの会場はこちらですと
高台に案内 ....
名刺を裏返すと虫がいるように
人の裏側にも虫はいる*
母は書道の師範だが
いまはグレゴール・ザムザのように
変身している
虫は口が効けない
母はいも虫のように這ってくる ....
うっそうとした森の中では
樹齢何百年という倒木が横たわっている
かすかなひかりの帯を浴びて
そこにはみどりの新芽が生えている
根をしっかりと下ろして
樹 ....
新しい雨合羽を買うという
同じ色で良いだろうという父に
母はピンクがいいと言った
野良着は 弟のお古でも いい母であった
農作業の汚れは しつこい
捨ててもいいような服を 着ては ....
文字を言葉で発したアナウンサー
文字を白紙に敷き詰めた作家
文字をカメラで撮った写真家
文字を装飾したファッションデザイナー
文字を建ち並べた建築家
文字を生けて ....
無数ともいえる
ボタン
を
ひとつずつ、かける
かけ終えたそのとき
もっと別の
なにか
きらりと光るような、に
心をうばわれて
せっかくかけ終えたそれ
を
一気にはずす
そんな ....
久しぶりにチョコベビーを買った
ちいさな、円筒形のチョコレートだ
どうやら仕掛けがあるらしい
あのちいさな断面に
スマイルマークとか 星マークとか
付いてるものがあるらしい
「見つ ....
僕の猫しりませんか
行方不明です
指名手配にします
探してください
どこへいったのでしょう
わかりません
どうしていなくなったのでしょう
わかりません
僕が何かをしっていそうです
そ ....
シュガーポットに指を突き立て
どんなに
左右を探っても
あなたにはわからない
甘さも
闇も
そんなふうに
たぶんあなたは間違っている
とらえる場所を
こころを
さら ....
皮膚のすぐ下は清冽
流れゆく血が私を
結びつけているのだ
家と人と肉と そして
全ての生きているものたちと
血によって私は
辿り直されることを許す
血によって私は
絶えず内 ....
古い橋は渡らない
細い縦糸
ほつれた
少女の白いカーディガン
茶褐色の肌
それは鳥取砂丘
バンカー手前の
モスグリーン
国の名前
言葉の意味は
「寒波がやってくる」
ねえ寒いの
....
まるみをおびたふち
から
足をすべらせて
フラスコの中に落ちた
としても
意気消沈する必要は
ない
そこでなにかできることを
さがせばよい
そこにも
陽はさす
屈折さえし ....
ネオンの中にまぎれてばかりやと
体に悪いって信じててん
今日なんか変なルートたどってるねん
あのままじゃ、きっと
なじみのないBARで
40代の男の近くに
しらじらしく座りそうやったわ ....
船の停泊しない
図書室には
匂いがない
ブラインドの隙間から
斜陽
カウンターに落ちた
向こうで
司書が背中の羽を
二度動かす
白い付箋のはられた
いくつかの椅子は ....
嵐のいった後はいつも
いろんなものが電線に引っかかっていて
奇妙な陰だとか
擦り切れた音だとか
さっきまで巻かれていた自由なもの
全部
西日を受けてしなだれている
多分みんなが
風 ....
遠いお話を
忘れないために
僕等は
指を折りながら
花の咲くのを待っている
寝返りの度に
蒸発してしまう夢を
朝のそばで
取り戻そうとしている
見つからないままでいる ....
枝で割れ
高くてたまらない空から降る日の光と共に
枝で割れ、枝から漏れ
枝で割れ枝から漏れる紅い朽ち葉は
可愛い可愛いと思った者への
女の、口付けの跡の
剥離、
塵、
....
かさむ 夜のしおり
長く 読み続けた 香りに
ぽとり と落ちた
蜃気楼
恵みの火
溶けない爪のくず
明日というものが
あるらしい
たたむ手を
寄り添わせないよ ....
高速道路の下で猫が一匹死んでいたから
ラムネ水の泡はあふれて
誰かの右腕に落ちた
こんなときに聞こえる音は
芯をえぐられた風の音で
必要な季節を呼んで
....
そら、なのか
から、なのか
どっちでもいいけど
「宙」と書いて「そら」と読ませるよりも
「空」と書いてなんと読むのかわからない
そんな曖昧さがわたしはすき
そら、だったのか ....
バスケ大会の決勝で、本田クンにアピールしようとしたのが悪かった。
ボールをキャッチミス。左、親指を骨折。病院行き。
真っ白であったギブスは、すでに文字で埋め尽くされ、
ちょっとしたアート ....
もう出会うことのない
未来の恋人たちに
かすかに血の匂いのする親密な
Hello
自転車の荷台にフランチェスカが座る
バスタブのお湯がフランチェスカのぶんだけあふれる
回送電車 ....
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