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胸に火炎の種を宿して産まれてきた
赤子の時は泣いて火の粉を散らし
成長するにつれて自分で消火し
胸の印を隠して生きてきた
あなたに出会った時
胸が疼いた
忽ち火炎が咲いて
私が私に目 ....
時間を巻き戻す懐かしさ
沈黙は少しも気まずくない
文字にはない温もりが
耳をやわらかく包んだ
本心を打ち明けた後
ひとり笑って何かをごまかす
寄りかかってしまうな
今だけもう少しだけ ....
あたし、詩脳と思った。
自由に込めた魂のロシアンルーレットで当てたい。
生まれた時から詩に始めている。
詩を味わうとゾクゾクする。
アドレナリンが放出されてナチュラルハイになるから、詩脳詩 ....
九月半ばなのに猛暑
しかも歩き過ぎていた
これ以上歩ける気がしなくて
目の前にあった喫茶店に入った
落ち着きのあるいい雰囲気
コーヒーの香りに大きく息を吸った
アイスコーヒーを頼んでほーっ ....
水色ではない水の色
透明ではない透明の色
その透明の色彩で
僕の傷を塗りつぶした
傷ではない傷の色
触れようと無数の手がのびてくる
遊牧民時代の血が
僕に色の螺旋を埋め込んでいた
透明 ....
昨夜の嘘はあなたには通用しなかった
思考の引き出しにある秘密が小さく震えるのを抑えきれず
あなたの唇が弱いところに触れると思わずこぼした
照準は1ミリの狂いもなく急所をとらえ逃すことなく
脳天 ....
組織の飼い犬がビルから落下し凄惨な死を遂げた。その跡は通勤電車で誰かが溢した酒のようにベタついていたが次々と踏まれて下足痕で上書かれた。素直に弔おうとすれば同じ志のはずの誰かは必ず組織のスパイだ。散り ....
夕暮れ
公園で
重なることのなかった影
夜に滲むまで佇んだ
ボールを蹴る音や
笑い声も消えて
ベンチにやってくるのは
大人の時間さ
ムードが僕を追い出して
帰り道
細い ....
神社にいる猫
神様の飼い猫
手の匂い嗅がせたら
背中を撫でさせてくれた
もふもふ
もふもふ
祈りより
心無い肘鉄喰らわされた時の怒り
湧き立つ感情の置き場所を
この毛並みに沿 ....
過去に帰ろうとしたら
暗い海が広がっていて
もうそちらへは行けず
冷たく足を濡らした
現在地に戻ろうとして
位置情報を解放しても
検索されずに行方不明
知っている景色がないか
....
外に出れない日
窓の外を眺めていると
窓辺に小鳥がやってきた
淀みを断ち切るような
透明な鳴き声
心に新しい領域が生まれる
心の面積は無限大
小鳥が去った後も
余韻が心を満たし ....
ポカリスエット身体に沁み込ませても
ぜんぜん足りない水分
寒気と火照りのせめぎ合い
身体中の痛み
視界はサンドペーパーで引っ掻いた荒さ
糸の切れたマリオネット
背負 ....
少女の前から飛び立った白鳩
戻ってくるかはわからない
支配者たちの甘い囁き
はしゃいでいいよと言う
平和ための手榴弾
安全ピンを外させるという罠
利益のための囮
偽物の白鳩が空を舞う ....
爆ぜてふわりと広がる火の粒
無数の思いを映して漆黒の宙に咲く
見上げる顔は様々な色に照らされた
今の自分がパッと開いて
苦悶する思い散らして
心に纏わりつくものが
だんだん落ちてい ....
他愛無い話をして笑い合った
そこが病室であることを忘れてくつろいだ
しかし血色の無い唇は落ち切った砂時計のようだった
帰る時
私の頭から爪先まで目に焼きつけようとする瞳が潤んで光っていた
....
米米米米 米米米米
買いにいけども
米が無い 米が無い
米の棚にはインスタントラーメン
米の棚にはインスタントラーメン
米が無くても生きていけるけど
心の底辺に流れる不安
インス ....
世の中は
予測できることできないこと
絡み合って
影響
思わぬベクトルが伸びて
大騒ぎになる
新聞紙の上
爪を切れば
いくつかは
あらぬ方向へ飛び出す
そのうち一つは
飲んで ....
教科書だけを頼って
知らず知らず
顔を失っていく
巨塔にエスカレーターで
上っていくの
顔はわからない
でも名刺はあるの
肩書きの交差点
顔なしたちが渡り歩く
心配はないの
皆同じ ....
魑魅魍魎の叫びのように鳴る
アラーム画面をタップ
眠りたい自分から
夢を孕んだ自分が剥がれ落ちた
脳がスヌーズを頼ることを確認し
束の間の静寂に身を委ねた
いつの間にか夢に包まれて ....
残酷な絵だからと
もう誰も教えてくれない
焼け爛れた日の記憶
キノコ雲に被われた
町にいた人々のことを
スクールバスはどこへ行く
地球は机上で分断され
核の傘という見事な絵空事
地 ....
雨の降り始めに
雨の匂いがする
君の傘がだんだん小さくなる
追いかけられずに
鼻の先ツンとする
肺の中が雨の匂いで満ちて
辺りは水溜りだらけ
一人立ち尽くす
影となり
....
藍に満ちた
心のグラデーション
だんだん濃くなってゆく
晩御飯の残り
冷めたまま出した
いつもと違う気配
神経張り巡らせて探す
藍色の夜更け
背中を向けながら
じっと見つめて ....
熱せられた窓をガラッと開けた
外気がもわっとなだれ込む
蝉の声が木々に繁っている
グラスに入れた氷がカランと崩れる
エアコンの呼吸音が大きくなった
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