この星この時に生まれた
このからだが私
煙と骨になる日まで
私を運んでね
今日も歩けました
蝶を見ました
自転車に乗れました
ヒヤッとしました
お食事できました
しあわせです ....
花柄の
可愛いアイロン台を買ってきた
座ってかけるアイロン台も
興味があったけれど
高かった
いつも
面倒なアイロンがけが
楽しくなりそうだ
でも
今日はやらない
....
冷房のままで空き地に棄てられし軽トラックが消えた秋の日
足首に薔薇のいばらをくくりつけあなたはをどる秋と告げれば
ほとばしる滝の飛沫の花びらを浴びるあなたの背骨が欲しい
....
秋ですね 松茸入りのお吸い物
金木犀が優しく香る
私の
モチベーションの何割かが
復讐で出来ていることを
きっと
あなたは知らないし
それはそれでかまわない
だけど
あなたは会うたびに
輝いていてしまうから
私も
置いてい ....
心地よい風が吹き
国道近くの喫茶店は
おしゃべりで満たされてる
空気みたいだった
あなたとの時間は
あのあと一年くらい
続いたのだったかな
だからそう
まだ大丈夫
とてもリアルにあの ....
おどりばの大きな鏡に
一匹のやもりがぺたんと張り付いていた
どうやらぼくの前世のようだった
今世のぼくは前世のぼくを見て
ついなつかしくなってしまったというわけ
やあ…と声をかけた
や ....
お茶をいれましょう
このひとときが素敵
緑の森を連れてくる葉っぱに
深呼吸
ヒトハダよりも フタハダの
温かな水で
ふたりぶん
カップは
お気に入りをひとつ ....
パーティーは散々だった
おやすみ、のあいさつの方角へと
だいだい色のシロップが
ゆっくりと流れて
しだいに
粘性を増してゆく、
夜の
水の底で ゆうべ、まき散らされて
わたし ....
君はあっちを向いているよ。
なぜ あっちを向いているのか私は知らない。
君は何か考えてたよ。
何を考えてたのか 私はわからない。
でも 背中を合わせて
私はこっちを向いて
君と一緒 ....
寂しがりやの人格は
寂しさを乗り越えるためのもの
生まれてきた日
愛に溢れていたことを
ただ思い出すだけ
臆病な人格は
おそれに立ち向かうためのもの
小さな手足をして ....
ぱさぱさと干からびて
色褪せてしまった
大学ノートを
赤い爪先で繰りながら
ため息ひとつ
セピア色と呼べば
聞こえはいいのだけど
少女じみた丸文字の
拙い言葉の羅列が苦 ....
透き通る水色のふただった
おそらく夏に気づいたせいでしょう
見上げると光るその水色が
海の底でなくなったとき
少しなつかしい
バースデーケーキの香りがした
透き通る水色 ....
スーパーを出たら突然の青い雨
夕立が行き過ぎるまでと
僕は煙草をふかして
隣では君がまたあの話をしていて
少しだけ尾ひれが付いていた
泳ぎ出しそうだ
街中が青く青く染まって
話を ....
まるで他人行儀な
挨拶で書き始めたのは
あなたの選んだ便箋が
何だか照れ臭く
上目遣いにさせたから
感情を露にせずとも
温かな文となるようしたためたい
そんな課題 ....
色のない朝に目を覚まし
音のない世界におはようをいう
返事がかえってくるのもまたずに
わたしはせっけんをあわだてる
すずめとくるまに声を与え
カーテンと食卓に色をつけた
なにも書かれて ....
夜の底で つながる人と
朝の{ルビ水面=みなも}で すれ違う人と
誰も見上げない空を{ルビ航=わた}る
柔らかい月の
温度は 少しずつ
上がっていくのでしょう
忘れられないほどに
....
明日は翼が折れて
二度と飛べなくなったとしても
今日の青いこの空を
飛ぶことはやめない
飛び立つときの
地を蹴る勇気
畏れを抱いて
憧れ抱いて
まだ見ぬ明日の
自分を探し ....
紫の灯りめがけて飛ぶ虫を 笑うあなたと笑えない吾と
そんな字がやさしさにだって欲しかった 高圧電流さわるな注意
君はいう 川面に映る街は幻 私はつぶやく 恋もいっしょだ
....
ふうせんのうちがわに
わたし とかいた
そとがわに
ゆめ とかいた
おおきくふくらませて
くちをしばると
そらへまいあがることも
じめんにおりることもできずに
ころころ
あたりを ....
ブルー問ふ京の都の古家ぬけ落ち込むぼくに空指しながら
麗しき姿であれどきみに問ふ如何なる意図や人魚の胸像
高速の指の運びに混ぜられてゆく鍵盤ももはや灰色
「色たちが心中し ....
反すうする
ある種の
草食動物は
記憶をいつも
もぐもぐ やってる
本人は
けっこう やめたいのだが
回りからは
案外
幸せに見えるらしい
あく ....
輪郭だけをのこしたまま
あのひとがいなくなってしまったので
いつまでもわたしは
ひとりと半分のからだで過ごしている
明かりの消えた部屋で ひとり
アルコールランプに、火を点ける
ゆ ....
口紅がはがれた後のりんご飴 確信犯のうつくしいきみ
こんなにも渇いていたと知らされる 始めのひとくち貪る夕べ
日に焼かれ濃縮された僕達を還元しては味見する海
やわらか ....
うだるような暑さ
浮かぶ汗は彼の人を飾るオパール
薄いガーゼのシャツ
肢体を包んでいる
あまい匂い
バニラアイスみたいな
舐めたくなるような
誰にでもこんなことするの
と
わたし ....
あなたが飼っている猫はわかる。
不思議な名前ばかりつけているから。
時々自分の服を見ては、
白い毛を取り除いている。
そんなあなたを見ているのが好きだった。
あた ....
恋はね
結局
摩擦熱だと思うんだ
ことばと ことば
むねと てのひら
触れあって
熱を帯びて
たぷたぷの
バスタブで
あなたを
ちょっぴり思い出す ....
追いたいと思う心理を知り尽くし残り香すらも残さぬウサギ
いつもはね慎み深い私なの 貴方は特別“私を食べて”
「首を切れ!!」怒鳴るクィーン黙々と従うスペード恋は盲目
30 ....
思う
絶え間なく思う
この時その時あの時の分かれ道
二分の一の右左右左の岐路に
それぞれ違う選択をしていたら
今私は違う私だったんだろうかと
天文学的確率の曲がり角
歩 ....
窓のむこうに
降るのは
あかるい雨
夏の日差し
真っ白な雪
網膜の向こうで
立ちつくし暗転する
背中の音
いつも風景に
変移を求めていた。
わたしが変わっていく事になど
....
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