そうぞうしいみちのうえで
林檎が鳴った
歯をみせて おとは失せる
あなたのつちいろの肌
ゆうぐれと 宵のすきま
てれびをぼんやり ぼんやり
ながめてすごす
ふとしたとき
とばさ ....
いま泣いたら
なぜかもう二度と
笑えなくなるような
そんな気がしたから
空に向かって入道雲を
ググっと睨んでやった
まひるに嘘をついたりしてはいけません
善良なあたしは
....
あたし達は多分
できかけのべっこうあめみたいに
ぐにゃ、ぐにゃ、してる
べっこう色、
きれいな固い肌も
もってないし
白い上白糖の、
さらさらした柔らかさも
なくしちゃったし
....
どうしようもないくらいの
空の返還が
わたしに帰ってきた
わたしの唇は青いことでいっぱいになる
空に着歴がある
それは長い長い数列
雲は遠くの蒸気と会話したりするけど
やがて話が尽き ....
きれぎれの雲 とうめいな空
あなたがここにいないということ
元気だよ
ちょっと
へこんでるけど大丈夫
いつか また
夜の密度を
あなたと感じられたらいいね
違った角度
違 ....
ビー玉の模様を見つめ問いかえす今日の天気は晴れだっけ
ため息の数だけ幸せ逃げるよと言われ思わずため息ついて
新宿の喫茶店から外眺め忘れものを忘れてる
手についたドクダミのにおい汗の色 ....
気温が下がると
外が気持ち良さそうに
ほどけているので
わたしはサンダルを履いて
恐る恐るドアを開ける
群青色の夕方
白いお月さま
ここはどこですか
自分のことを忘れ
感情を ....
思い出の森をさまよう僕はもう少年時代の歌詞から遠い
おにぎりの形している山登る今はまだまだ海苔の真ん中
紫陽花に紋白蝶の眠る午後わたしが汚れているのが解る
花粉から誘われ ....
忘れたよ 待ち合わせてた 花水木
やさしい声も あなたのキスも
覚えてる? 笑ってくれた あなたのやさしさ
涙も枯れた うつむくわたし
すきだった すき ....
探さないでください
そんな手紙を残して
君がいなくなってしまったから
僕はちまなこになって探したんだ
押入れ、風呂場、トイレ
良く行くレストラン、レンタルビデオ屋
何処にも ....
風船がしぼんでゆくのは見たくないだから今すぐ針を刺してよ
箱ならば開けてしまうよ血管を通うわたしのパンドラの血
飢えている仔猫にミルクあげるとき黒い何かの目覚めに気付く
....
火曜午後喫茶店のコーヒーを猫舌ですくう君の口元
窓枠の銀色のふちと重なった空の灰色二十代の時
さっくりとすすむ静かな五月の{ルビ陽=ひ}自転車こぐ足軽く浮き立つ
アヤメつらつら うた歌い
アゲハがいちわ陽に透けて
あすを夢みて歩くのだ
きょうをふみしめ丸を描く
きのうはどこへいったやら
「あなたの愛は、枯れはせず
二時間後待ち合わせをした駅に居る君の背中を想って黙る
甘茶色耳にかかるべき髪の毛を指で遊ばせ五分の間を埋め
梅雨前の最後の晴れに出かけよう三浦海岸二人乗りの午後
まっすぐに続く空とい ....
両頬に掌そえて読み取った肌のにおいと温度とカーブ
いるはずもないのについつい振り返る前頭葉は未練がましい
端正な顔立ちの君が言い放つトイレの匂いだよ絶対に
円盤の奏者がギターを置いた ....
いじわるな 雨
知らずに傘を 忘れて
舗道を 行く
少し 寒いのも
寄り添う 薄い 雲に
心 写して
宿る 屋根
捜しながらも
走らない
身体の熱が
冷たい粒の ....
ら
うたが
ら
らら ら
うたが聞こえる
ら
静寂のみが記された
らら ら
白紙のページに埋もれた夜に
....
コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
海の見えない
深い森の中で
事件は起きた
たまごから
孵ったばかりの
おたまじゃくしは
幼いから
なにも知らずに
鰓呼吸をする
木の葉が沈んだ
たまり水で育つ
藻を食べて ....
夕暮れ時わたしは足元が見えなくなるまで歩いた
足元が見えなくなると笑いながら歌った
お腹が空いて寂しくなったので
知らないガチョウを食べた
コマドリたちが騒がしいよ
外はすっかり晴れた
夕べの雨
あれ、嘘だったんだ
緑なんかつるっとしてて
ビニールや何かみたい
走ってくる赤い点は君
氷をほっぺたにくっ付けて
びっく ....
目の前を何回か通り過ぎたと思ったら
いつのまにか腕の中にいた
陽だまりのなか
生まれた熱をくるむようにして
うっとりと瞳を閉じたのは僕の方だった
いたらない
わたしが
なきながら
てのひらにうけた
こもれび
なにがよくて
わるいのか
おしえてくれた
あしもとにおちた
こもれび
そこをみつめて
そこからはじま ....
主旋律はもう
ピアノを離れた
(羽をインクにつけたとき
諦念が私に絡みつく)
幼き日々よ
最終楽章に向かうのか
草原を駆ける二人の影は
五線譜の上を踊る
アマデウスの傍
....
はかりしれないほど
スィートな加速度で
ぼくたちは走っていたので
日々の円周ばかりを、何十回とまわり
あしたの記憶だけ
どこかに置いてきてしまった
クラクションが、鳴ってる
....
{引用=高速で回転している花束を見ている朝の洗濯機の前
小窓からしゃぼんの香り飛び出して空に散らばる雲の石鹸
仰ぎ見る雲は雨雲どんよりと黒い何かをぬぐえぬ散歩
....
浦安にあるアレである。
俗に「ネズミ園」なんて言って茶化す人がいますね。気持ちはわからないでもない。
日本一メジャーな遊園地だし、いつ行ってもひたすら混んでいるし、妙に晴れやかで、
悪口を言いた ....
シーソーと電池の切れたラジコンときみのなみだとそしてさよなら
かくれんぼ3つ数えて工場の敷居を越える(サンタはいない)
この町で一番長い煙突が君と僕との待ち合わせ場所
この町と ....
はっぱをめくればなめくじ
みんなにきらわれて
しおをまかれたりする
おまえなめくじ
うまれてからずっと
からだじゅうでないている
おれだっておなじ
みんなにきらわれて ....
降りやまぬ雨の重さにうつむきし額紫陽花より珠の零るる
泥濘に踏みにじられしすいかずら晴れない空と泣かないアタシ
わたくしが果てたらどうぞお食べなさい林檎の花は楚々とほほ笑む
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