誰にも知られたくなかった
僕の宝物は人の物
本当に欲しいものならば
奪い取っても仕方ないだろ
・
輝きを失った宝石を
見せびらかして
びくびくしながら笑って
誰にも知られないように
....
サテンの光沢まばゆく
風が雲の緞帳を翻すとき
ひととき白日夢に眩む
まだ蕾、とも呼べぬ小さな膨らみは
幼すぎて花の名前を知らない
その風の名残のなかで
わたしは繰り返される春を
....
生きたいと思わないんだ
でも
死にたいとも思わない
リスカしたいとか
吐き出したいとか
何も思わないんだ
でも
苦しくて
何か感じてて
どうしょもできなくて
....
恋人の意味
友人の意味
家族の意味
自分の意味
人間が存在する意味がわからない
大切な人には
全部言わなきゃいけないの?
大切な恋人がいるのに
友人のことで悩んじゃいけない ....
透き通る石が相手なら
わたしの瞳もまもられそうで、
こころゆくまで
あずけて
うるむ
そんな夜には
ゆびも優しくなれるから
ゆめをすなおに飲み干して
爪は爪のまま
....
そのピンクの唇を唾液で汚したい
絡み合う嘘が心地良い
その小さな乳房を舐め尽したい
乳首を舌で転がしてもミルクはまだでない
その綺麗な性器を指でいかせたい
最初から濡れてたことぐらい知ってる ....
真夜中に沈んでいく終電で
疲労をぶら下げた男たちが吐く息で
今日何度目かのめまいに襲われる
脆弱なんだ
きっと他意はないその言葉に
ぎっ と
音がなるほど唇を噛んでしまったのは
....
1
うすい意識のなかで、
記憶の繊毛を流れる、
赤く染まる湾曲した河が、
身篭った豊満な魚の群を頬張り、
大らかな流れは、血栓をおこす。
かたわらの言葉を持たない喪服の街は、 ....
書きなぐった原稿
溢れたごみ箱から漁りだし
我が人生を振り返る
私は
なんてたくましく
なんて非情なのだろうと
頭をがむしゃらに振り回す
語るのは文字
語りかけるのは ....
ある夜
それはカリカリに焼けたトーストを頭に乗せていた夜のこと
私の足の周りには
とてもざわざわ緑の海
私の頭の遠くには
とても大きなお月さまが光ってた
たまたまパンを見つけた ....
冬の町に灯がともり
羽を休める
男たちは どこからか集まり
酒に身を許す
女たちは 寄り添い
夢を奏でるように
触れあうことさえ
視線を重ねることさえ
....
「もっと好きになりたい」好きになってもいいですかと
子供のような体温で背中にしがみつかれ 私は
だめです だめです と
気配で背中越しに伝えようと
きつく目をつむり 微動だにせず寝たふりを ....
朝まだき春の焚火のやはらかく
四十雀日雀春田の修飾符
曾祖父は清水一家や忘れ汐
春の海見やり枯木に火を点ける
野火猛る猛れども焼き尽くさずに
焚火して未だ青春の語を背負ふ ....
{ルビ微睡=まどろ}んで、乗り過ごすうちに
春まで来てしまった
0番線から広がる風景は
いつかの記憶と曖昧につながっていて
舞いあがる風のぬくもりが
薄紅の小路や
石造りの橋や
覗き ....
高校の時の現国の教科書に載っていた小説に惹かれて高校
をサボって海を見に行った事がある
普段乗る電車の向かい側の電車に飛び乗って30分ほど揺られた
私は真面目だったし学校をサボるなんて事 ....
僕は男だから
産む痛みを知らない
同じくらいに
産まない痛みを知らない
痛みなんて知らない
ここは戦地ではないから
僕はあなたではないから
幸せになる方法を知らない
幸せにする ....
ねえ手を繋ぎませんこと
恥ずかしいのは私も同じ
否、と御即答されるのは
判っているけれど
はあっと息を吹き掛け
一瞬の合間に空気が
冷やされ地面に落ちて行く
まるで貴方 ....
殺人現場のレポーターの後ろ
カメラに向かって必死にピースマークを送る
嗚呼少年よ
この国の平和をそんなにも伝えたいかい
嗚呼少女よ
化粧はちゃんと塗れているさ
なあ笑う ....
みどりいろのなかで迎える早朝は
あんなにもわたしを浄化してくれるのに
錆びたビルやコンクリートに囲まれていると
自分がとても汚れているのだと思い知らされる
だけど全て全てひとが作り出したものだ ....
家に鍵をかけなくなった
怖いものがなくなったのか
もう失うものが何もないのか
祖母は離れの鍵を閉めなくなった
あれほど何かに怯え
家族にさえも恐怖に感じ
この地上のどこにも安全 ....
皆、ミンナ
居なくなって
どんどん
コトバが邪魔になって
ボクは少しだけ
キレイな涙を零した
{ルビ熟=う}んだ柘榴を ひと齧り
愛しいあの子の味がする
{ルビ魄=たま}に根付いた夜叉の念
如来に帰依せど 忘らりょか
ぷつりと潰れた舌触り
あの子の目玉と瓜二つ ....
俺の片目は何時も赤いけれど
何故か知ってるかい?
兎みたいに
寂しいと死んじゃうんだ
知ってたかい?
と言うと
君は心底可笑しそうに笑って
それじゃあ
鏡の中に映るあなた ....
きんいろは
かなしいすべだと思います
闇夜のはなは
もっともあかく
ひとみを閉じこめて
火から、
結ばれてゆく、
果実のことなど、
だれもが、
とが ....
わたしはまだ
運ばれてゆける
むずかしい物事を
ほかの名前で呼ぶよりも
ここが峠の途中なら、
そらにまぎれず
澄み渡りたい
あなたのそばには無い数を
おだやかに
....
空は逆さになる
深い青の世界から
固い白黒い世界へ
重力は私を手離さない
頭を
手を
身体を
足を
離さない
結局逃れられなかったのか
最初から逃げる気がな ....
たぶん、ここの現役さんのなかで投稿された作品を一番読んでいるのは、ぴ@じゃないのかなと思っています。お名前を勝手に出して申し訳無いのですが、ここでの古参のおひとり、たもつさんが4187ポイント出して ....
凍えてしまえば
つもるものに
かけられる冷気にも
なれてしまって
記憶をなくしていくことだけが
自分へのやさしさ
ぬくもりにさえ 気を許さなければ
白い唇のまま 冬に 終えたのに ....
エアー、夏のように
薄い服を着たあなたが
少し口を開けて
世界とつながっている
あなたの唇も手も皺に慣れましたね
前より縮んで
それでもまだ懐かしい
エアー、吸えるものは
たくさん ....
いま銀縁の壁掛け時計に蠅がとまり
文字盤を透かしたガラスの上を音もなくあるくまず12から
2
1
鉄の壁が溶ける
溶けて落ちてすべて床に染み込んだ
夕暮れだった
聖人がひとり ....
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