お遅うございます。
夜ですね。
昼行性の私達は眠る時間です。
今日も一日しっかりと体を弛緩させてください。
データをバラバラにして整理してください。
自分の事をずいぶんシンプルと思っていまし ....
黄昏が
輪郭を奪い
ネオンが灯りだした
町並みの真上
薄雲に隠れ
ほのかに
きょうの月
ああ
そうか
僕は君の
輝きばかりを追い求めて
ついにその形を
知ること ....
夕焼けは東京タワーに盗まれた
冷風に反射した空雨近く
寒いねと囀る 風とスカートが
花火より緑の夜ざくら見ていたい
っっっ風 今の強いね 飛ばされたね
きっと僕ら、お ....
なすときゅうりの馬なんて
のれないよねえ とつぶやいたとき
お兄ちゃんは
ひらたくて少し冷たい手のひらで
あたしの手を
つかんでいた
じいん と鳴る
すずしいかぜに
....
あなたはわたしの何もかもを知らないし
わたしはあなたの何もかもを知らない
それでいいと思う
それでいいと思ったら
夏の柔らかい部分では
雨の方で都合をつけて
わたしとあなたを
水たま ....
海の世界は
しらない
だから海に
身を投げて
底深く
沈んでみよう
青い空も
頬触る風も
友達にも
なったけれど
次に逢う時は
知らん顔なのさ
....
この世界には もう
ひとつも乾いた場所など無い と
そんな風に思うほど
360度 水浸しの溢れ出る水槽です。
窓を開けると 外は白い縦線で埋まる巨大な水鏡で
映った私の全身から ....
男は冷蔵庫の中で傘を飼育している
夜の方が良く育つときいたので
朝になるとわくわくしながら傘に定規をあてるのだが
傘の長さが変わっていることはなく
その度にがっかりする
けれど男は知 ....
クジを引いて、中をみたとき消えるもの
花が咲いて、そのとき消えるもの
求めて求めてやっと辿り着いて、消えるもの
氷でできたグラスが消える
名のない匂いの記憶が消える
人には言えない重 ....
夏のことをよく知っている人がいて
その人は
例えば緑の葉っぱを重ねたような人で
ときどき
鮮やかな花を咲かせていたりする
ただ画家がその人の絵を
描こうとするとき
その人は
たちま ....
あの日から
わたしのからだは
透明なゼリーに
くるまれていて
それはずっと
あなたの温度を保っている
その感触は
やさしくて あたたかで ぷるるん
いつまでも
その中にいては ....
かけおりた坂道のおわりには
ボーダー柄の、夏が
波のような顔をして
手をふっていた
それから、 と言ったあとの
あのひとの声が
ノイズにのまれて、ちらちらと
散ってしまったので
....
毛むくじゃらの家猫が出かけて行ったきり
帰って来ないものだから
庭の木で啼くスズメの声が
遠慮なく鳴る目覚まし時計で
最近は、誰よりも早く窓を開けて
新しい風を味わう
あめ色の古机の上 ....
ある時世界は小さく頷いて
私の肩に優しさを呼ぶ
私は水の中でユメを見ていた頃のように
水の外で地べたに頬を添わせていた時のように
優しさの幽かな震えに私を預ける
しかし気が付けばいつ ....
悲しみが生まれた頃は
見えないものなのです
それは
徐々に姿を現すのです
時間が経つにつれ
小さくなることはありません
同等の質量を維持したまま
心の真ん中に居座り続けます
....
夜になると
魚は目を閉じて
消えていく泡の行く末を思う
消えていく
自らの姿に思いを馳せ
静かに
目を閉じている
夜になると
魚は目を閉じて
自らの見ることのなかった風景を見 ....
コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
いってらっしゃい
と手を振り
別々の時間が始まる
あなたは電車に揺られて会社へと向かい
わたしは洗濯をはじめる
あなたはお昼頃わたしを思い出し
1時にはわたしを忘れる
わ ....
知らない方角から
明るさを取り戻してゆくかのように
朝はぼくのもとにやってくるのでした
遠くの響きは
古い透き間から静かに流れ
ぼくを取り囲むのでした
後戻りする物音は見あたらないのでした ....
郵便受けに溜まった新聞が日焼けしていた
古い日付は、風に晒されて
更に風化した遠いあなたの
背中に張り付いて
帰ってこない のに
201号室の、窓から入る西日を受けながら
忘れて ....
からだの曲線にそって
あなたは
かんたんなじゅもんなのだと指を折った
てのひらをそっとひらいて
りゆうもなさそうにわらった時
すこしだけ
えんえんとつづいてゆく
朝の風景を おもいだして ....
ごめんね、わたしといるとつまんないよね
ほんとう、ごめんね
つかれるでしょう?わたしといると
だって・・・
なにしゃべっていいのか、わからないんだもん
だから、つまんない ....
初夏の夜、首が痛くなるほどに
高い空を見上げて、
あれがかんむり座だよと、
いつかそう教えたのに、
あなたは忘れてしまった。
七つの星でできた王冠を、
あっさりと投げて捨て ....
手をつないで
深いところまで、いってしまった
引いてゆくまにまに
記憶の砂がすれあっては
かすかに音をたてる
ノートブックの波に
毎日つづった、日記
夕立ちをよけて、キスをして、 ....
1.
かみさまは、どこですか。
2.
かみさまは、どこですか。
道すがらたずねると
あっち、と指をさした人がいたので
ひたすら あっち、に向かって歩いた
歩いて歩 ....
かのん、は
「入院」がだいきらい
だから高熱で白目をむいて
こんなにも
「あつくてさむいよお」ってふるえているのに
「いきたくないの」って
ベッドから起き上がっておかあさんにしがみつく ....
静寂が満ちるのを待つ
あなたは
広げた想像の張力に身をゆだねて
空を映す水面に静かに浮いている
手のひらをつぼみにして
ゆっくりとふくらませるとき
わずかな空間の揺らぎが
水中を ....
指先であそぶ旋律がピアノの鍵盤の上を流れて
部屋に溢れるやさしい音階のすきまに
天球図は青くひろがってゆく
東のかなたの
さそりの心臓は自ら発火し
そのきらめきは引き出しの奥で眠るルビー
....
ミルクが欲しい1歳は
男が欲しい21歳に
あっけなく捨て去られる
新しいゲームソフトが欲しい12歳が
プラダが欲しい32歳の
財布から金を抜き取る
夢が欲しい33歳は
安定が欲し ....
若く情熱があり頭の回転の早い人たちは、はやく自分が何者であるかを定義したがる
早く世界に出て自分の態度を説明しようとする
どれだけ自分が一人前であるのかを社会に認めてもらおうとしている
分かる、 ....
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