とじかけた そら
あなた は いく
どこか へ ながれ て
だれ も いなく なり
どこ も
いつ も
さかせ て いつか
あなた は
ゆく
夕立が来る
渦巻いて
吐きそうな色の雲に稲妻が光る
津波のような口の中に向い
雷雨に呑み込まれる
限りなく罪
野良猫上がりの
私の肌を撫でるのは何故 ....
1
ビデオテープの町には
あの頃のままの
恋人がいて
老人は
画面に張り付き
色の雨粒を見ている
2
空と地面に一本の線が伸びる
その端っこを
紙コップにつなげて
い ....
雨に煙る国道は
遠く空との境が曖昧で
その上を僕等は はぐれないように
線を引きながら
雨に迷うのはここでもあなたで
いつのまにか迷っているのは僕だったりして
ここまで迷ってしまうのは ....
あなたの好物を作ろうと
夕暮れ
サンダルを引っ掛けて買い物にでる
昨夜の 些細ないさかいの 償いに
海老の殻を
無心でむけば
いとおしさに変わるような気がして
という
無邪気な ....
国道にはいるまでの
大きなカーブを
みつばちにまたがって
オレンジ色の夕日を背に
はしる
ガソリンの匂いと
飛ばされるビニール
カラフルなベランダ
耳たぶでうなる
かぜのおと
....
うまれおちたとたんに
呼吸のしかたを忘れてしまった
たったいま、吸い込んだものは
なんだったろう
流れてやまない日々は いつも
右手を砂へ
左手を空へと のばして
手をつなぎたが ....
つぶやくように
こみあげて
ながれて は
いかない
さからいなさい と
て をにぎりしめる
つけっぱなし の
けいこうとう
うすい かげり
たたまれ ....
にゃんでか知らにゃいけど
「にゃににゅにぇにょ」
が言えにゃくて、全部
「にゃににゅにぇにょ」
ににゃる
日常生活に支障はにゃいもにょにょ
こにょままでは
僕が僕でなくなってしまう
....
彼女と喧嘩して
いい加減にしろ
と怒鳴るつもりが
いい加減にすれ
と言ってしまった
こらえたがやっぱだめで
吹き出してしまった僕の
少し後に吹き出した君
ふたりで涙を流して ....
なんとかがんばって
ごはんをつくってみたけれど
よくよくかんがえてみると
これっぽっちもたべたくなかった
つっかけをはいて
きばらしにそとへでてみても
いきたいところはどこにもなかった ....
一日を過ごすたびに
何かを覚える事を期待されているけれど
僕はそんなに沢山の事を覚える気はないし
たぶん覚えることはできない
おぼえられることは
好きなことだけ
例えばあなたの好きなタ ....
思い出になれば
美しく見えるなんて嘘だ
それは僕らが
過去を飾るから美しく見えるんだ
思い出を
本当の思い出を
上手に思い出すことは難しい
現在にいたる時の流れは
飴のように延びき ....
未来への道を歩いている
時々、過去へ向かって歩いてみるけれど
自転の速さに負けてしまう
何とか逆らってやりたいと立ち止まってみても
やっぱり未来へ進んでしまう
諦 ....
目が覚めると
右手がチョキになっていた
いったい僕は何と戦ったというのだろう
夜中、こんなものを振り回して
援軍の来ない小さいベッドの上で
正気なうちに 帰ろう
まっかな顔で 父さんが
にこにこ と ひそっと 言う
あはは と 笑いながら
母さん に よっぽど 言われたな
私は 濃いめの お茶を入れる
....
僕たちは
そんなにも 長い間
夢を見続けた
夢は見続けていたら
叶う、と
信じていたのは
いつの頃までだったか
今はただ
明日に追いつくことだけに
必死で
昇る太陽を ....
牧場の柵に座った熊の親子
夜空を見上げて何思う
あの星座はなあにお母さん
あれはね小熊座 あなたの星座よ
と言う声が聞こえてきそうな
絵
が描かれたタオル
が浴室のハンガーに掛か ....
悲しい時に
悲しい、と
さみしい時に
さみしい、と
たったそれだけのことが
無理難題となり
ぼくらの額や
ぼくらのひざ小僧に
重くのしかかる
その気もないのに
笑っ ....
僕には好きな湖がある
久しぶりに行ってみたよ
1人で
そこで小さな光を見た
煙草の赤い光でもない
錯覚でもない
僕の目の前を
二つの光は
寄り添い離れ
....
説明が出来ない
キッチンの片隅
気付かれないように
涙が流れた
想いは
こぼさないように
シンクの横に
そっと置いたまま
君の夕飯を作った
テレビに目をやりながら
明るい声 ....
触れてしまうと
消えていくものがある
まなざしに耐えられず
溶けていくものがある
凍えるべきは
私の手だ
蔑むべきは
私の目だ
暗闇の中
独り 閉じ篭って
見据 ....
桜散るのは夕日の丘か
日暮れ近づく夕日の丘か
散りゆく桜は薄紅色
薄紅色の十二単
十二もまとった春の衣
一枚脱げば夏の予感
呼んでいるのは母の声か
遠い故郷の母 ....
1
縁側につるされた風鈴を
さやかに押すその御手
彼らは海峡をこえてゆく海鳥の
滑空する翼の先端に生まれ
たたみで昼寝をする私の
ほほをなでて死ぬ
2
二人 ....
曼陀羅寺へは湖沼の脇のあぜ道を
通って行かねばならない 丈の低
い湿原植物の群生が道を覆い隠す
ように拡がっている 湖沼にはぼ
んやりと霧が立ちこめ向こう岸は
見えない 風はなく水面はほとん ....
目を書きます
スケッチブックいっぱいに目だけです
切れ長の目がいっぱいです
瞳は黒く睫毛は長く
目だけだと表情までは分かりません
けれどきっと優しい人です
黒いアバヤの中の愛しの貴女
....
クローバーの海に沈みながら
流れてゆく雲を見た
雲がちぎれ また別の雲に繋がり 空の色に染まり 風に操られる
疲れ果て
クローバーの海に身を任せ
四葉を探すついでに
忘れていた涙を地球にあ ....
わたしは砕け散った
地面に乾いた音を立てて
散ったわたしのかけらに
蒼空が映ったことが 以外で
嬉しかった
ふっと蒼空が影って
君がわたしのかけらを覗きこむ
綺麗だな 光 ....
きたいが充満している
息を吸い込むだけで口や鼻から入り込み全身を巡る
生きるために必要不可欠なもので
明日は今日よりも良い日だといいなって感じと手触りが似ている
明日が来る喜びに今日が去る悲し ....
深夜、男友達から『お前のことずっと上海してた』と電話。ひどく
驚き、『ごめんなさい』とだけ応えて電話を切る。自分の言動を振
り返り、しばらく彼には会わないでおこうと決める。図らずも点と
点 ....
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