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さようなら、晴れる人
暮れ際の暖かさ、名残、手のひらの名前を
呼んでいる、聞いている、思い出している
花びらの震える下で潜り抜けた門を
指先で触れるくらいの気配で通り過ぎる
一度過ぎた言 ....
夕暮れの後の雨はどこも優しい
平静な音が響いて
空間が深まっていく、窓の外
思い返すほどに
心落ち着いていく
世界は円になっている
そんな
額面通りにはいかないらしい
言葉が繰 ....
駅前で
ギターで歌い続ける少年の
声を誰も覚えていない
ギターの音色が日付を越える頃
繰り返している月のかたちを
誰も答えられない
すっかり冷えきった自動車の
エンジンをそっとかける
....
透明に
張り詰めた
ガラス窓から
朝日が零れているよ
覗き込むと
昨日が
音も立てずに沈んでいくところで
空間
四角く区切ったそれを
大勢の息で共有しながら
積み上げられている ....
あの空の話
もう遠くなった映像の中では
坂道の向こうの太陽と
薄くなるグレーの空とが
混在していて
蝉時雨
引いては寄せて
寂しさを反芻している
知らない知らな ....
ぐおん
と唸りをあげて
自動販売機が震え出す夏
電車のゆれる空間で
ヘッドフォンの君を見る
ひどく 暑い
冷房が壊れているとか何とか
聞き取りにくい声でアナウンスしていた
ような気 ....
街に忘れかけられた
公園のベンチに座って
西日の中の滑り台の上では
始まりかけた夏が
くるくると回っている
夜に向かっている
夕暮れの片隅で
ジャングルジムの天辺じゃ
出たがりの金 ....
大きな円を描いて
ゆっくりとゆっくりと
海沿いの風車
丘の上から
当たり前にそこにある日々とか
ここで今に生きてることとか
海に臨んで
やわらかい強風に
回転している
....
6月の快晴に出会って
やあ久しぶり なんて手を挙げたりして
からからに乾こうとしてる街を
隙間を見つけながら走り抜けたりする
名前も知らない鳥が
真似できないような声を出してる
それに ....
この街は地図に載っているのに
どうして迷ってしまうんだろう
いつも見る夢のイメージで
飛び越えてみようとしたけれど
上手くいかないものだね
今日と明日の境界線は
思いのほか広い
....
空にはたくさんの色があった
傾いたその縁に支えられたのはいつだっけ
鉄塔が突き刺さった夕日
思い出せないほど前から続く
そんな夕暮れ
帰ろう
が口癖だった頃
いつも隣のあの人が
....
その路線の終着駅は海沿いで
寂しい駅舎には
潮風が染み付いていた
流れている景色が
ゆっくりと落ち着いて
溶けていた車窓の奥で
海が空にゆれている
向かい側の席から
ゆっくりと ....
寝室の窓を開けて
目の前の林の
緑色の香りを
一番に吸い込む
休日の朝の夢は
のんきな天気に溶けていった
笑えるものだったと思う
今ここにあるこんな普通を
今ここだけのものとし ....
ごうごうと響かせる飛行機と
大小不揃いの草むらの間
用途不明の建物が
誰かに忘れられてそこに居た
穴だらけの屋根はもう屋根じゃなく
その上でロケットみたいな煙突が出っ張っていて
いつか ....
雨に煙る国道は
遠く空との境が曖昧で
その上を僕等は はぐれないように
線を引きながら
雨に迷うのはここでもあなたで
いつのまにか迷っているのは僕だったりして
ここまで迷ってしまうのは ....
いつか いつか
笑えたらね
そんな頃に会いましょう
穏やかに 穏やかに
春は何度でも巡ってくるから
いつかゆっくり背伸びができたら
乗り越えるものが大きいので 今は
続いてる ....
所かまわず
一面にのどかな
そんな景色だったので
家と家とに挟まれた
小さいままの公園に出掛ける
左は小さい右は大きい
一列に背比べする鉄棒で
僕は右端お前は一つ下
ぶら下がる ....
振り向いた先が
届かない思い出だったなら
胸に少しの痛みを
感じることでしょう
昔のノートを整理していると
ページに挟まってあなたがいました
ピントの合っていないぼやけた横顔でも
....