すべてのおすすめ
1
指先の吐き出す音は
宇宙で絡み合う
としても
糸の無い繋がり
華やかな彩りも
時の経過に
消える夜の虹
孤高の富士は
大地に根を張り
世界の山々と融合するけれど
彼 ....
青天の霹靂
風神
雷神
天の声
大太鼓と小太鼓を打ち鳴らし
祭礼は始まる
天を仰げば
天が撒く雹に頬を打たれ
冷たく痛い神異を受ければ
己の未熟を思い知る
我 ....
沢山の人に読んでもらおう 色んな人に批評してもらおう そんなの傲慢じゃないですかね 特定の人にだけ読まれ ただ情報だけを提示し すぐさま廃棄されていくけれど 物事が機能するためには不可欠の言葉が世の中 ....
誕生日
私の多面体の面が
またひとつ増えた
生まれた瞬間は
まんまるだったはずなのに
歳を重ねるごとに
ひとつずつ面が増えて
今では寄せ木細工にも似た
得体の知れない多面体 ....
石灰岩の岬で その木は咲いていた
岩礁を咀嚼する波しぶきで、真夏だというのに咲いていた 桜の木
あの花は きっと永久の入り口を見たのだ
桜は黄泉を観ていた
泣いている人々のことは ....
誰にも
知られたくないことって
本当は誰かに
いちばん理解して
もらいたいことなのかも知れない
止まっていた
私の時間は
君に出逢った
あの瞬間から動き始めた
....
分からない仕事を先輩に教えてもらう
先輩が笑顔で丁寧に教えてくれる
その優しい笑顔にときおりのぞかせる厳しさが
先輩と僕との間の優しさを成り立たせている
担当の係員へと書類を提出す ....
満開のソメイヨシノ
春の強い風に散り
工場のタンクや配管に
まばらな花が咲く
工場の町の春景色
自家不和合性のこの桜は
開花して
ソメイヨシノどうしで
受粉して結実 ....
人々が果実のように生っている
呼ぶ声が開く匂いの輝きに
寄り添うように開きだす応える声
こんなにも血が発酵した生き者同士
互いの表皮には場違いな分電盤が
静かに接続されている
....
君は空を見るのが好き
僕も空を見るのが好き
自然のものに魅力を感じる
心のアンテナは
常に敏感に反応して
自然の美しさに導かれる
自然と一緒に過ごす
身体に害を及ぼすものはな ....
最近の子供は、外で遊ばない。
だからだめなのだ。
体も、心も、社会性も育たない。
家の中で、しょっちゅうゲームとSNS。
昔はこうじゃなかった。
最近の子供は、まったくだめだ。
■
....
座禅
靴下を裏返すように
自分の端をつまみ
引っ張ってひっくり返すと
私は
闇に包まれ
遮音され
触覚も
痛覚も
温点と冷点もなく
声を出すことも
食べることも
匂いを嗅ぐ ....
破裂した精神から
無数に咲き乱れる
色とりどりの気球
大気圏を目指すアストロノーツ
「僕らはこの星の火傷そのもの
剥離する瘡蓋だ―― 」
――なのに捨てきれない!
抱き寄 ....
誰もが夕暮れには傾いて見える
家へ酒場へあるいは虚空へと
夕暮れに姿勢がいいのは
電信柱と案山子だけなのかもしれない
僕はきみに傾いてゆきたい
いつかきみの傾きとぶつかるまで
下を向いて歩いていたら
電柱にぶつかった
下を向いていたのだから、あたりまえだ
ぶつかったところを触ったら
赤い血が指先についた
ひどくぶつかったのだから
血が出ても、あ ....
食べ物買うのに言葉はいらない
ましてや売る人の心など
風邪薬は効き目を買う
心配そうな言葉など鬱陶しい
陳列棚から取り出した飲み物
黙って値段を示せばいい
すぐに飲もうと だれと飲 ....
いまは幾度めの春なのだろう
遠い昔のような
つい昨日のような
子供たちもそれぞれに
この世界のどこかへ
紛れていった
いまも日々の食をもとめて
彷徨う身にも春はやさしい
な ....
空がこんなに青いのに
死にたいと嘆く 冷蔵庫101号室に住んでいるレモンなんてジュースにして
空のそらぞらしさなんて
御構い無しに たわわに実った 金柑の実を小鳥のようについばんで
よもぎのパ ....
君に会えないその時は
花でも摘みましょうか
それとも窓辺で
恋歌でも歌いましょうか
花占いももう飽きた
君は{ルビ何処=いずこ}の空の下
誰を待っているのでしょう
さらさらさらさ ....
左耳が嗤ってる そんな時は
真鍮の針を心臓に突き刺して
鼓動の波で全身を海にする
皮膚という皮膚に群がる蟻が
感情の熱で蒸し焼きになるまで
ただ立ち尽くして真理の老木を{ルビ凝視=みつめ}て ....
三月のかた雪の上を歩いて
湖を行くと
半分水につかったまま
凍りついた樹の枝に
ふくろうがいた
ふくろうは目を閉じていたが
やがてゆっくり見開くと
私をみつめた
ひらべったい猫に似 ....
聞こえるだろうか? 一枚の、
絵画が
まるで、狂喜の
舞踏会 そして 夜のしじま
戻りなさい
描くように 描くように
微笑みを浮かべながら
描くように
....
桜は
冬から咲く準備を
しているらしい
前へ
前へ
進まなければ
今は明日のため?
今日は昨日の結果?
のんびり見上げたはずの
桜が遠く感じる
春は自分を省みるとき
乗用車一台通れば
塞がってしまうほどの道幅
両側の家並みに
人は暮らしているのか
いないのか
どこも無口で
通り抜けるにも 身構えて
足音忍ばせ
辺りに目を配る
ここは都会 ....
昔大きな戦争があったことを
食卓のバナナは太陽に教えてもらった
黄色い時代だったという
バナナは自分が青かった頃に住んでいた国について
通りかかった風に話し始めた
小さな島がたくさんあっ ....
親愛なる友人に捧げる。
彼はミュージシャンだった。
バンドマンだった。
人生の中で一度だけ、スポットライトに照らされた。
だけど、彼の生涯は孤独と絶望と罰に塗れていた。
....
僕の通っていたひかり幼稚園は
お寺の中にあって
墓地は恰好の遊び場だった
4月8日は花祭り
お坊さんの園長先生は
あまりおいしくない甘茶をみんなに飲ませて
毎年自己紹介させる
め ....
あの大きな地震から三年たって
家を建て直した人の窓ガラスが悪意で割られるという現実
廃炉問題や生活再建や瓦礫処理はまだまだ続きその一方で
こちらの生活は元通り
スーパーで売っていないものはない ....
廃屋に一本の桜が立っている
誰一人愛でる人もなく
人知れず枝を伸ばし
花を咲かす
月明かりの夜
街灯に照らし出されて
ぼんやりと薄桃色の
その姿を浮かび上らせていた
夜の静寂に ....
春風に舞う桜も
あるものは ひらり 舞い落ち
あるものは 高く
天空へと舞い上がる
舞い落ちる花々は
人々を楽しませる
これも人生。
舞い上がる花は
どこまで
どこまで行くのだろう
....
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