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人は
なんどころんだら
上手に歩けるようになるのだろう
人は
なんどないたら
上手に笑えるようになるのだろう

だいじょうぶだよ
まるでごむまりのように
やわらかいきみをだきしめる
 ....
 放課後、中学校の西向きの図書室には、まぶしいばかりの光が降り注いでいた。

 全校六百人ほどの生徒の中で、読書なんて今時流行らない趣味を持つ人は、おそらく少数派だ。調べ物ならパソコンで事足りるし ....
自分という存在が、絶対的にひとりだと、気づいたのはおそらく子どもだった頃と思う。
なんでもない日の、なんでもない朝。赤いランドセルを背負い、竹で出来た定規をそのふたの隙間からのぞかせていた、小学校へ ....
もうひとり私の中にいるやつが決まっておまえと呼ぶ近場から

もし薔薇に棘がなければ退屈だ死にそうなほどでないにはしても

おそらくは見えないだけで居るこども「ほら自動ドアちゃんと開いたよ」
 ....
人が奥歯を噛み締める時はどういう時だろう。
何か重いものを持つ時とか、野球でバットを振る時とか、一瞬に自分のありたけの力を込める時とか。
もしくは、口に出来ないような怒りに対して耐えるほかない時と ....
いっとき
誰かをおもい
泣いたとしても
朝が来れば
人は顔を洗い
食事をし
読みかけの本の頁を開く
晴れていれば
陽を浴びに出かけ
つばめが巣立てば
ほほえむでしょう
四葉のクロ ....
私が不治といわれる病気になった時
学校のことや
子供会のことなんか
代わって引き受けてくれたママ友に
「いろいろごめんね」と謝ったら

事情を知っている彼女は言った
「そんなこと、気にし ....
丸ごとの白菜は
野菜というよりは
赤子のような
生きている重量があって
大切な預かり物のように
抱きかかえれば
ここは冬の入り口

ひと皮むくごとに葉は
正しく小さくなる
まるで
 ....
今、空の底にいます
屈折した光に包まれて
案外うまく歩けています
地図を読むことは
相変わらず苦手だけれど
磁石を温めて
風を読むことが出来れば
目的地にはいずれ
たどりつくかもしれま ....
美味しそうなものに向かうと
全身全霊、前のめりでピンと張る

いつも一緒かと思いきや
左右別々に、動いてもみせる

音を拾います
そこから
ここまでの
世界を知るための複雑な情報であ ....
美しい言葉を
うすぺらいと
思う人もいる
人の心や現実というものを
わかっちゃいないねと
笑う人もいる
そこへたどりつくまでの
流した涙を知らずに
美しい言葉を
幻想だと
突き返す ....
どんなにおそろしいか
どんなにふあんか
まくらやみのなかで
ふみだす そのいっぽ

声をかけられなかった
ずっと昔
学校帰りの交差点で
その人は白杖を持って
信号待ちをしていた
声 ....
音という大きなくくりのなかにいて 君の声だけ特別でした

もふもふとやわくてぬくい善きものがしっぽで返事 猫の縁側

履いてから捨てると決めた靴下をなぜだか今日も洗濯している

卵からひよ ....
いきぎれ
しそうな予感は
いきている
最中には 何度かあるものだ
あかぎれ
とは 苦しさの温度が別物で
薬草を塗っても
それは
しずまらない

いきぎれ
とは もしかしたら
生 ....
椅子になってみようと思って
椅子にはなれなかった
三秒で挫折した
たゆまぬ努力なしに
椅子は存在しえない
私の大腿四頭筋は悲鳴を上げ
痙攣を始める

あまねくすべての椅子は
慈悲とい ....
雨が降っていた

同じ小学校だった女友達と
ゆうべ電話で話す
今度何十年かぶりにする
同窓会のこと
思い出話なんかも取り混ぜて
時々あったお弁当の日
彼女のお弁当箱には
美味しそうな ....
みみたぶは
いつも冷えている
熱い鍋肌にうっかり触ってしまった
わたしの指を冷やすために
みみたぶは
きっと知っている
それがうっかりではなくて
わざと、であったかもしれないことを
知 ....
支柱にありがとう、と言った

夏のあいだじゅう
あなたが支えてくれたおかげで
私は安心して背を伸ばし
太陽に近づき
あおい葉を繁らせ
たくさんのこどもを生むことができた
赤い血がしたた ....
ねじられた
つぼみは
夜のさざなみに
ゆるゆると洗われて
空が
ほんのりあけるころ
星の形に開きます

命、うすむらさきに笑ってる

私の心も
ほどけてゆきました
哀切という音を見送る 九月の蝉声 あれはハーメルンの笛だろうか いくぶん体温の高い
あなたを胸に抱けば
心の真ん中にある
バターが溶け出し
私は
ホットケーキになった

ふくらんで
ふくらんで
痛いほどふくらんで
あなたに与える
ちょっとのほ ....
時々
じょうごがあったらなぁとおもう
たとえば
砂の粒を透明なびんにあつめる時
たとえば
湖水を小分けして胸にしのばせる時

{引用=いちみりも
こぼさずに
うつくしく
やりとげな ....
ばーばに手を引かれ
ゆるい坂道をてくてくいけば

「コカ・コーラ!」
わたしは畑に捨てられていた瓶を指さして叫ぶ

ママ、という言葉は知っていたけれど
ママ、と呼ぶ対象がいなかった
日 ....
圧縮された白い時間が
空に取り付けられた
タイマー仕掛けで吹き出した
入道雲

あなたが使うシェービングクリームみたいだ
毎日せっせと伸びるヒゲ
剃っても剃っても
誤作動せずに
めげ ....
連れてってというものたちは
刺をもつ

過ぎ行く時間のすそに
そっと
刺をさす

──エクサンチウム ストルマリウム
野山で遊んだ私たちは
君をくっつき虫と呼んで投げ合った
いつか ....
人は
はぎとった他者に
記し
記してきた

鳥は記さない
慈しみあう
つがいの声は
白い森に響き
溶けて消えていくだけ

{ルビ草子樺=そうしかんば}は
カバノキ科シラカバ属  ....
ゆくすえは
どこまで見まもることが
できるのだろう

吃音のことで
それほど悩んでいたなんて
知らなかったけれど
親は子の悩みを
まるごと肩代わりすることはできないし
してあげたいけ ....
【緑の風】

一輪車に乗った子供が
緑の風をうけてゆく

不安定なのに
軽快に

不安定だからこそ
愉快に

たったひとつの輪さえ
あればいい


【蕗によせて】

 ....
次の冬のために
てぶくろを洗う
寒くなると
きまって血流障害を起こす
私のやわな指先を守るための
カバーたち

毛糸で編まれたもの
外国のお土産でもらった
ムートン製のグローブみたい ....
一枚の紙を
折りたたんでいく
半分に折れば
にぶんのいちの面積の
しかくが出来る
そこには
重なる相似形

出来上がりの形を
思い描きながら
そっと指で伸ばしていけば
ちいさなさ ....
鵜飼千代子さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(102)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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少し幸せになるおまじない- そらの珊 ...短歌1013-11-9
いきぎれ- そらの珊 ...自由詩1113-11-6
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フレンチトーストとおちょこ傘- そらの珊 ...自由詩1313-10-25
みみたぶ- そらの珊 ...自由詩1613-10-23
秋別れ- そらの珊 ...自由詩16*13-9-28
ほしのはな- そらの珊 ...自由詩17*13-9-21
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家族の音がする- そらの珊 ...自由詩16*13-3-4

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