グラスの中に
いっぴきの金魚をかっている
パンくずを散らすと
指までたべるようにふあふあと
くちをあけてえらをぱくぱく

まどをあけると
なつの空はあおく
そこにうかぶ雲は魚のかたちを ....
サンダルをはいて
かわべりをあるく
ゆうだちのあとの
なつのにおいはわたしの
あしのつめににじんで消える

わたしがいなくなる
みどりのなかにとけはじめ
ゆっくりとかぜにながれる
上 ....
カーテンを開けると
山が見えて
その中腹には墓が並んでいる
集団住宅を思わせる密度
西の端にペンギンのような像
人に聞くと観音菩薩像らしい

部屋の端で
卵と砂糖と薄力粉をかき混ぜる
 ....


つきゆびは
いたい
流水になかゆびをひたして
いたみを
あらいながす

つきつきしびれ
あかくはれる
命のいろはなかゆびにあつまり
みずにひえる
ひじの
てくびの
そ ....
街灯はあたりをてらし
川はなにかのために流れる
夢のなかにいるような
うっとりと甘い夏のあめのなかに
かえるのくしゃみをきいて
はすの葉のうえにとびのった

傘がみずをはじく音
遠くの ....
灰ぶちのねこのしっぽを追いかけて
角のコンビニでりんごジュースをかう
こいびとはきゅうに消えたわたしをさがし
視界から消えるなとおこる
このしあわせはいつまで続くのだろう

雨色の雲がおひ ....
水面をゆらしながら
初夏のかぜが吹きすぎる
こいびとの手をひいて
堤防をころげた

草についた水滴はあまくひかる
さかなが跳ねてぱちゃんと音をたてた
はねまわる ころがる
だきしめる  ....
雨に打たれ散る花のことなどしらない
サボテンのとげが雲に向かって伸び
天上では太陽に向かって縮れた風が伸び上がる
カップに入れた珈琲はいつものように薄く
カレンダーは四月のまま終わらない

 ....
なんだか
おなかがへった
ふつかも固形物をのみこんでいないから
あたりまえかもしれない
歯をみがくのがめんどくさいので
みずばかり飲んでいる
ときおりおかゆさんを食し
うがいだけですます ....
話したいことがあるんだ
君は恥ずかしげにわたしにそうささやいた
トイレスリッパを突っかけて
ゆっくりと橋をわたる
はばひろい川の橋は坂が急で
調子の悪いわたしの体を
いたわろうともせず
 ....
きみはきまぐれ
洗顔料をはぶらしに塗りつけて
靴を磨いている
それはちがうと虫はささやき
猫はその虫をくわえて去った
葉の落ちた柿の木がゆれる
ほりかえされた桑が叫ぶ

ハンドクリーム ....
母さん、明後日のゆうはんはなんにしようか
夕べはほうれん草のおひたしだったし、
今朝はやわらかなチョコレートパンだった
昼もやわらかなチョコレートパンで
夜はまだなんにしようかきまっていない
 ....
空がゆっくりわらうから
わたしはよるを待ちました
つきはわたしを見下ろして
二月はさむいといいました

雪もふらないのに何を
ふくらみはじめたつぼみを前に
ぱちんとひとつ音たてて
わた ....
ないないないない
さがしているものはいつもみつからない
ゆびさきにふれる未来のようなものはいつも
すぐにすり抜けてゆく

ないないどこにもみつからない
発作を起こしながら部屋中を駆け回るけ ....
つちのかたまり
きのかたまり
一つ一つ刃を入れて
ぬのをまきつけてひとをつくる
ななだんかざりや
さんだんかざり
硝子のなかのふたりきり
いちまさんはひとりきり

ほそいまなざし
 ....
小さな輪と大きな輪に
おやゆびとその他のゆびを差し込んで
しょきしょき 振りまわす
年代物のたちばさみは
わたしの手に大きすぎて いつも
切りすぎてしまう

on the 眉毛のまえがみ ....
わたしはまだおわらない
きみもまだおわらない
おわるのはだれだ
昨日や今日や今年のよるか

今日がおわる
明日がおわる
今年がおわる
ふりかえらない

毛糸がおわる
てぶくろがで ....
二月ぶりに実家に帰り
仏教徒のくせにクリスマスに会う
きみはいつもの通りアニメソングを口ずさんでいて
まるで昨日別れたようにわたしに声をかける

いつものように15分遅れて
待ち合わせ場所 ....
http://mother.cside.com/

なんだかいつもわたしも「母さん」に報告するような
文章を頭の中で作っています。
おふろに一緒にはいってくれるきみへ
にくにくしいねといったときに
なぐらないでくれないか
わたしはこんなにほねほねしいのに
といったときに
胸のふくらみをつつくのをやめてくれないか

と ....
ひるまに
今年はじめての
しろい息をふきだした
わたしの口は おそらく
しろい雲でおおわれていたことだろう

わたしは雲をうみ
そう ひつじのかたちをしたしろい雲を
ながめて
ながめ ....
あなたに手紙をかいた
ながいながいマフラーに
愛情だの執念だの絶望だの
うらみごとを鈎針でえんえんと
かきつづけた

読み返そうと
手繰り寄せたマフラーの編み始めに
秋が見える

 ....
震える指先が凍りついて
いつか口に含んでも動かなくなったとき
幾度も自分を納得させる言葉を吐いた

私は人より多少不自由なだけ
壊れた右耳は機械の力で補える
動かない指先は動く片手で補える ....
空はややこしく物悲しい
こつこつと誰かの一人帰る音がきこえる
車の高いクラクションがなる
冬の風が耳にしみる

先ほどまでうすいシャツ一枚でいられたのに
わたしはカーディガンをはおり
つ ....
目を閉じて
自分の身体をなぞる
髪がある 冷たい感触
耳がある したのほうが柔らかい
眼窩がある 目が飛び出そうで怖くなる
鼻がある 少し油っぽい
唇がある 言葉が溢れそうだ
首がある  ....
ねむるためのよるに
ねむらない

とかすはずの砂糖を
とかさない
珈琲は苦いほうが目に痛い
肝油ドロップをふたつぶ口に入れて
つくりかけのシャツをつくりきる

かたづかない部屋に
 ....
20時半発の夜行バス
わたしは財布片手に飛び乗った
12時間かけて向かう先は東京
海山川を越えて
わたしは東京に向かう
ただ埴輪に逢うために

前の席に坐ったサラリーマンのいびきに
仕 ....
目をとじると
だれかの鼓動が聞こえる
机のすみや天井やそのダンボールのかげからも

だれのものかはわからない
けれども だれのものでもいい
わたしの気配をうかがう
いくつもの鼓動

 ....
わたしの背後にいる
うさぎの目はぐみのように赤く
釦のようにかたい

静かな夜に
わたしをじっと見つめるそれは
たぶんうさぎでなく
うさぎの姿を借りた別のものであろう

わたしはうさ ....
外があまりにもしずかなので
わたしはまた音を失ったかと思いました
外があまりにもうごかないので
わたしはまた光を失ったかと思いました
外があまりにも秋らしかったので
わたしはまだ冬がきていな ....
竹節一二三(72)
タイトル カテゴリ Point 日付
あめのあいだに自由詩104/7/12 18:17
あしのつめ自由詩504/7/10 14:25
わたし自由詩204/7/8 19:57
ゆびの自由詩304/7/5 21:34
だれが自由詩104/6/11 0:52
午後自由詩504/5/24 21:59
ちぢにみだれる自由詩804/5/18 20:42
ひとりきりの日曜日自由詩504/5/2 14:19
たびだつまえに自由詩304/4/10 20:04
トイレスリッパ自由詩204/4/8 20:59
きまぐれ自由詩404/4/5 23:16
ゆうはんのしたく自由詩404/4/5 13:40
二月に自由詩304/2/11 22:18
ゆびさきに自由詩104/1/30 20:20
ひいな自由詩104/1/23 23:05
はさみ と自由詩104/1/22 22:19
おわること自由詩203/12/30 22:28
プレゼント自由詩403/12/26 0:08
母さんおすすめリ ...603/12/22 22:47
きみに自由詩803/12/18 1:49
ゆるやかにいきる自由詩403/12/12 2:31
冬を寄せる自由詩203/12/9 2:26
指先と神様自由詩503/12/6 2:33
冬の、自由詩203/12/3 20:03
からだ未詩・独白403/12/1 4:49
ねむるためのよるに自由詩603/12/1 4:38
会うために自由詩503/11/25 18:49
つながる自由詩103/11/20 22:36
うさぎの目自由詩003/11/19 19:51
まひるの丘自由詩403/11/18 13:45

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